鋼鉄神の帰還、スラッシュメタルの帝王ファイナル……二万人が熱狂した『DOWNLOAD JAPAN 2019』完全レポート

Live Reports
遂に日本初上陸となり開催されたラウド。ミュージックの祭典『DOWNLOAD JAPAN 2019』。
オジー・オズボーンが病気により残念ながらキャンセルとなったが、最終追加ラインナップに2016年にグラミー賞のベスト・メタル・パフォーマンス部門を受賞し2014年の『SUMMER SONIC』以来2度目の来日となるGHOST、昨年素晴らしい来日公演を行ったJUDAS PRIESTが出演と発表されるとファンの間でもグッと熱が高まった感があった。そしてあのスラッシュ・メタルの帝王SLAYERのファイナル・ツアーの一環として、その舞台が『DOWNLOAD JAPAN 2019』となっているのである。最終的には2万人ものファンが集結し、記念すべきこのフェスの1回目を見事にSOLD OUTで飾った。会場となった幕張メッセには『TEARS STAGE』と『BLOOD STAGE』の2ステージが向かい合う形で組まれ、熱演が交互に行われ会場のファンを熱狂と感動のドラマへと誘っていた。

日本初上陸となったラウド・ミュージックの祭典『DOWNLOAD JAPAN 2019』現場より完全レポート!


遂に日本初上陸となり開催されたラウド・ミュージックの祭典『DOWNLOAD JAPAN 2019』。
オジー・オズボーンが病気により残念ながらキャンセルとなったが、最終追加ラインナップに2016年にグラミー賞のベスト・メタル・パフォーマンス部門を受賞し2014年の『SUMMER SONIC』以来2度目の来日となるGHOST、昨年素晴らしい来日公演を行ったJUDAS PRIESTが出演と発表されるとファンの間でもグッと熱が高まった感があった。そしてあのスラッシュ・メタルの帝王SLAYERのファイナル・ツアーの一環として、その舞台が『DOWNLOAD JAPAN 2019』となっているのである。日本、そして日本以外のファンも多数来場。最終的には2万人ものファンが集結し、記念すべきこのフェスの1回目を見事にSOLD OUTで飾った。会場となった幕張メッセには『TEARS STAGE』と『BLOOD STAGE』の2ステージが向かい合う形で組まれ、熱演が交互に行われ会場のファンを熱狂と感動のドラマへと誘っていた。

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LIKE A STORM


記念すべき『DOWNLOAD JAPAN 2019』のトップでの出演となったのは『TEARS STAGE』に立ったニュージーランド出身のヘヴィ・ロック・バンドLIKE A STORM。どことなくお経を感じさせるSEに乗ってメンバーが登場、翳りあるメロディとヘヴィなリズムの中に激情を溶かし込んだサウンドの“Pure Evil”が集まったファンを早くもグルーブの渦に巻き込んでいく。その熱狂ぶりにクリス・ブルックス<vo,g>は「ファッキン・オーサム」と驚きの声を上げ、「コンニチハ、トーキョー。ニュージーランドのライク・ア・ストームです」と日本語で挨拶し、初来日そしてこの『DOWNLOAD JAPAN 2019』に参加出来た喜びを述べる。

彼らのサウンドの特徴となっているのはオーストラリアの先住民であるアボリジニの民族楽器「ディジュリドゥ」を導入していること。ディジュリドゥは髑髏にV字に抱えられる形でステージの上手と下手に設置、楽器としてだけでなくオブジェとしても独特のオーラを放っていた。“Solitary”ではメランコリックで切ないメロディにディジュリドゥの悪魔の呪文の様な独特な音色がアクセントとなりサウンドに奥行きを与えている。最後の“Love The Way You Hate Me”ではクリスはステージを降り、感情を直にファンにぶつけるといった感じに柵前で熱唱。この曲でのディジュリドゥの怪しい響きもファンを虜にしている。最後に「また戻ってくる」と述べると、『TEARS STAGE』に集まったファンからは当然待っているといった大歓声で彼らを送り出した。

Text by 別府伸朗
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LIKE A STORM
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LIKE A STORM
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SETLIST◆LIKE A STORM

01. Pure Evil
02. The Bitterness
03. Solitary
04. Complicated (Stitches & Scars)
05. The Devil Inside
06. Love the Way You Hate Me

AMARANTHE

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AMARANTHE
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AMARANTHE
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『BLOOD STAGE』の口火を切ったのはヴォーカリストを3人擁するAMARANTHE。ステージにはスモークが立ち込めグリーンのライトが派手に照らし、スモークが晴れると共にメンバーがステージに姿を現すし拍手や歓声で彼らの登場を歓迎する。最後にエリーセ・リード<vo>が登場し、スクリームを一発決めると歓声は更に大きなものとなった。そのまま“Maximize”のダンサンブルなリズムがスピーカーから放たれるとファンは跳ねる様にリズムを取る。エリーセの澄んだ声、ヘンリク・エングルンド・ヴィルヘルムソンのグロウル、ニルス・モーリンのハイトーン・ヴォーカルとAMARANTHEの大きな武器となっているトリプル・ヴォーカルが早くも炸裂、AMARANTHEの音空間にグッと引き込まれていく。その反応にエリーセは女神を思わせる笑顔で応える。

「ジャンプの用意はいいか?」とニルスのMCで始まったのは“Hunger”。フロントの3人がメロイック・サインを高く掲げジャンプすると、それに合わせて『BLOOD STAGE』に集まったファンもメロイック・サインと共にジャンプ。エレクトリック感がありヘヴィさを内包したポップでダンサンブルな彼らの楽曲はファンのヘッドバンギングというよりは体を自然と縦に大きく揺らす。そうかと思うと美しいピアノの調べから始まるバラード“Amaranthine”では別の顔を覗かせ、しっとりと感動的な世界に誘う。見つめ合いお高いの感情を絡め合う様に歌うエリーセとニルスを焼き付ける様なオレンジのライトが浴びせられたシーンは感動的で、エリーセの投げキッスで曲を締めくくった。ラストの“The Nexus”ではメンバーもファンもノリノリでジャンプ、ニルスのシャウトで彼らのステージは終了となった。

Text by 別府伸朗

SETLIST◆AMARANTHE

01. Maximize
02. Digital World
03. Hunger
04. Amaranthine
05. GG6
06. Helix
07. Drop Dead Cynical
08. Call Out My Name
09. The Nexus

MAN WITH A MISSION


バンド名と同じくBAD RELIGIONの“Man With A Mission”の疾走感溢れる切ないメロディがSEとして流れると彼らMAN WITH A MISSION登場の狼煙。バックドロップがないのは少し寂しいなと開演前のステージを観ていたのだが、このSEが流れるとゆっくりと彼らのロゴの入った大きなバックドロップが上っていく。やられたと思い、バックドロップが昇っていくのと同調して高揚感と彼らへの期待感も高まっていく。ステージには日本語を操る狼の頭を持つ究極の生命体が登場、“Datebase”のリフが『TEARS STAGE』のステージに炸裂するとファンは歓声を上げ、メロディに身を任せ、コーラスでは力強く「オ~オ~」と叫ぶ。ラップ調のトーキョー・タナカのヴォーカルがそれに追い打ちをかけるようにファンを歌に踊りにと更に熱狂させる。

彼ら目当ての熱狂的なファンも多く、パンキッシュな“Broken People”のサビではいくつもの手がステージに伸びていく。ステージを観ればジャンケン・ジョニー<g>とカミカゼ・ボーイ<b>がステージ狭しと走り回り、曲が終わるとタナカは感謝の気持ちを表す様に左手を胸に当てる。「今年日本での初ライブ」とタナカが告げると待っていたといった大きなリアクションが『TEARS STAGE』に集まったファンからステージに送られる。タナカは感謝の言葉を述べ、「その内その辺に交じっているけど誰も分からないだろう」と言うと『TEARS STAGE』は笑いに包まれる。出演後に世を忍ぶ仮の姿でこのフェスをファンと一緒に楽しんだのであろうか?気になるところである。

美しく胸を打つメロディから疾走していく“Raise Your Flag”では何人ものクラウド・サーファーが人の波を転がっていき、ファンはリズムに合わせてジャンプし声高らかに歌い上げている。会場一体となった美しいコーラスは聴く者の胸を打つ。ラストは必殺の“Fly Again”。ファンのノリは最高潮でまるで巨大な生物となった様に一体となって、会場を揺らしている。曲に合わせて沢山の上げられた手が右に左に揺れる姿は見ていて本当にウキウキするし、スクリーンに映し出されたファンの顔はどれも本当に楽しそうだ。

お馴染みの「♪Fly Again イエ~イエオ~」のサビでの会場の高揚感はなかなか味わえない最高のものだった。カミカゼがベースのネックに噛み付くファンにはお馴染みのパフォーマンスを見せる中、(恐らく) タナカがMAN WITH A MISSIONのタオルを誇らしげに高く広げるとファンも彼らのタオルを高く掲げ忠誠を誓い、究極の生命体の熱演は終了した。

Text by 別府伸朗
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MAN WITH A MISSION
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MAN WITH A MISSION
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MAN WITH A MISSION
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SETLIST◆MAN WITH A MISSION

01. database
02. Broken People
03. Get Off of My Way
04. Dead End in Tokyo
05. Raise Your Flag
06. Left Alive
07. Take Me Under
08. FLY AGAIN

HALESTORM


ギター・ノイズがHALESTORMのショウの始まりを告げる。リジー・ヘイル<g,vo>は「コンニチハ!」と力強く挨拶。黒のレザーでビシっと決めたリジーはカッコいい女性のアイコンと言えるだろう。リジーは足をグッと踏ん張り凛とした表情でヘヴィなロッキン・ナンバー“Black Vultures”を熱唱する。エアジェイ・ヘイルのドラムから始まるポップで縦ノリな“Mz.Hyde”は退廃感もほんのりと感じさせ、エアジョイは立ち上がりファンを煽る場面も。そして次の“Love Bites (So Do I)”でファンに嬉しいサプライズが用意されていた。

リジーの紹介でステージに登場したのは何とLOVE BITESのasami<vo>。LOVE BITESのバンド名がHALESTORMのこの曲に由来しているのはファンには有名な話。このゲストの登場にファンは驚きと喜びが入り混じった大きな歓声を上げる。日本語によるカウントからこのスペシャルな時間が始まった。黒で決めたリジーと白で決めたasami、お互い向かい合い歌う場面があったが、それはバチバチの火花飛び交うヴォーカル・バトルにも感じた。リジーに負け時と張り合うasamiにやるなといった感じで舌をペロっと出したリジー、なかなかの名場面であった。曲が終わるとHALESTORMにもasamiにも大きな歓声が上がる。その歓声を背にasamiはステージ袖に消えていったが、この日の出来事はこれからの彼女のバンド人生の中でもかなりのスペシャルな出来事になっていると思う。asamiを見送ったリジーは「小さい頃、東京に来るのが夢だった」と述べ、「ロックンロール、トーキョー!」と何度も叫ぶ。

そして、そのものずばりの“Tokyo”のヘヴィなグルーブが会場をシェイクする。ねっとりとした“Do Not Disturb”でのリジーの歌唱は艶めかしく、力強さの裏に隠された彼女の別の魅力を引き出す。気が付くと彼女の上半身は黒のブラトップ1枚、その姿はエロティックというよりもカッコいい女性の美しさを引き出している。この曲にはちょっとしたドラム・ソロも盛り込まれ、手にしていたドラム・スティックをチョップ・スティックと例え巨大なドラム・スティックを手にしてのソロも披露。

ギターを降ろし、耳に手をあてファンの声援に小悪魔的な笑みを浮かべるリジーはロング・シャウトを決めてからラスト・ナンバーとなった“I Miss The Misery”を熱唱する。ファンと一体となったコーラスはどこまでも響いていく感じ。コール・アンド・レスポンスの後に曲は終了となったが、まだまだこのステージで演奏していたいといった感じのエンディングにいつまでも酔いしれていたかった。

Text by 別府伸朗
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HALESTORM
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HALESTORM
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SETLIST◆HALESTORM

01. Black Vultures
02. Mz. Hyde
03. Love Bites (So Do I)(with Asami from LOVEBITES)
04. Tokyo
05. Amen
06. Do Not Disturb
~Drum Solo
07. Freak Like Me
08. Uncomfortable
09. I Miss the Misery

ARCH ENEMY


次にARCH ENEMYが登場となった『TEARS STAGE』には続々と彼ら目当てのファンが集結してかなりの熱気が高まり、それは少し息苦しい程。それだけ彼らのステージに注目と期待が集まっているということだ。巨大なバックドロップには「REASON TO BELIEVE」のアートワーク、そこに描かれた目がファンの集まって来るフロアの様子を静かにじっと見守っているように見える。場内暗転、彼らの登場を告げるSEが響きステージを派手なライトが照らすと期待と興奮の歓声は大きくなっていく。ダニエル・アーランドソン<ds>のシンバル・カウントに続いて“The World Is Yours”のリフが会場を切り裂く。

スポット・ライトの中でそのリフを刻むのはARCH ENEMYのブレインであるマイケル・アモット<g>。ジェフ・ルーミス<g>、シャーリー・ダンジェロ<b>もステージに駆け込み、最後に咆哮と共に登場はアリッサ・ホワイト=グラズ<vo>。役者が揃ったステージに向けクラウド・サーファーが早くも転がっていく。『TEARS STAGE』は早くも爆発した様な盛り上がりだが、「まだまだいけるだろ?」といった感じにアリッサは「カモン!」と両手を大きく広げる。マイケルとジェフの泣きのツイン・ギターも素晴らしく、会場の興奮度は上昇する。

間髪入れず“Ravenous”のリフが解き放たれると、その興奮度は更に上昇し会場にはヘッドバンギングの波、メロディに合わせてファンが大きなコーラスが発生する。曲のエンディングにアリッサはドラム・ライザーに立ち、両手を合わせて作ったメロイック・サインを誇らしげに突き上げる。時にマイクスタンドを振り上げ、カッコよくジャンプをキメ、両手で拝むようにしっかりとマイクを握りシャウトするアリッサの姿は、先に登場のHALESTORMのリジーとは違った女性のカッコよさを表現している。ザクザクとしたリフの“War Eternal”では大きなモッシュ・ピットが発生し、アリッサはやるじゃんといった感じでそのモッシュ・ピットを更に煽る。イエロー・ライトの眩しい中プレイされたヘヴィな“You Will Know My Name”で少しファンはクール・ダウン、ヘヴィネスの中をマイケルとジェフの泣きのメロディが曲の輪郭を際立たせる。アグレッシブな“Dead Eyes See No Future”ではもっともっと盛り上がれるだろと大きく体を折り曲げる様にヘッドバンギングするアリッサ。その姿に大きな歓声が被さっていく。うっすらとブルーのライトが照らされたステージから放たれたのは“As The Pages Burn”。サビではステージからフロアに向けてもっと歌ってくれとばかりに眩しいライトが舐める様に照らす。後半のマイケルとジェフの泣きのギター・ソロがドラマチックなエンディングを演出し、そのメロディが静かに空間に溶け込んでいくのと反比例してフロアの拍手は大きくなっていく。

華のあるアリッサに目が行くが、時に背中合わせでARCH ENEMYの神髄を刻むマイケルとジェフのギター・コンビには心を奪われる。“No Gods, No Masters”では曲に合わせてファンはジャンプ、アリッサは最後にARCH ENEMYのフラッグを振り上げステージを駆ける。ラストにプレイしたのは“Nemesis”、疾走感溢れるパートと哀愁溢れるメロディのパートの構成が見事な名曲にファンの興奮度も高まり最後の盛り上がりを見せる。ステージには右手で高々とマイクスタンドを掲げるアリッサ、その姿は女神と悪魔どちらにも見える。エンディングSEが流れる中、ファンに向かって名残惜しそうに別れを告げるメンバー、大満足のパフォーマンスだった。

Text by 別府伸朗
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ARCH ENEMY
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ARCH ENEMY
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ARCH ENEMY
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SETLIST◆ARCH ENEMY

01. The World Is Yours
02. Ravenous
03. War Eternal
04. Blood on Your Hands
05. You Will Know My Name
06. Dead Eyes See No Future
07. The Eagle Flies Alone
08. As the Pages Burn
09. Dead Bury Their Dead
10. No Gods, No Masters
11. Nemesis

ANTHRAX

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ANTHRAX
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ARCH ENEMY演奏前から急激に人が増えていたのだが、確実に観客が増えているような気がした。眼の前に広がっているのは超満員の観衆であったが、ふと入口の方を見ると、観客がぞろぞろ入って来ている。この時点ではまだソールドアウトの発表はなかったので、一体何が起きているのか、と思うほどの状況に困惑した。これから登場するのはANTHRAX。1987年の初来日公演以来、来るたびに観たくなるバンドだ。

場内にIRON MAIDENの“The Number Of The Beast”が響き渡れば大合唱が巻き起こる。観客の熱が一気に高まった瞬間を肌で感じた。するとスコット・イアンのギターからPANTERAの“Cowboys From Hell”が鳴らされた途端にフロアは騒然となり、やがて“Caught In A Mosh”へと突入していくという、あまりにも見事な流れでショウは開始した。

冒頭の“掴み”によって、会場の空気を一変させた彼らは、問答無用のキラーチューンを連発していく。フェスにおけるセットリストの重要性をバンドは熟知しているということなのだろう。「Got The Time」の間奏におけるスコットのモッシュに誘発され、フロアの各地でモッシュピットが発生。巨大な会場は完全にANTHRAXの空間と化した。スピーディにステージを駆け巡り、グイグイと観客を引き込んでいく。そんなバンドのストリート感覚に溢れたステージは、初来日公演時からまったく変わらぬ強烈なパワーを放っている。

人気曲“Madhouse”が飛び出すと、フロアは湯気が立ちそうなほどの興奮状態へと雪崩れ込む。チャーリー・べナンテの安定したドラミングの上で暴れまわるフランク・ベロ<B>、観客を煽りまくるジョーイ・ベラドナ<Vo>。彼らの躍動する姿に嬉しくなる。緩急つけながら攻撃性と疾走感を完璧なバランスで展開させていく。終盤に披露された“Antisocial”でのシンガロングは、やはり何度やっても気持ちが良い。ラストの“Indians”までANTHRAXは一気に駆け抜けていった。お馴染みの“WARDANCE”では途中で演奏を止め、スコットが観客にウォール・オブ・デスを促す。最後はジョーイがマイクを持ったままフロアに突入、アウトロとして“Cowboys From Hell”のリフが再び鳴らされ終了するという、なんだかわけのわからぬ格好良さと爽快感に溢れたパーフェクトなショウだった。終演後は人が多くてトイレに向かうにも一苦労。それでもANTHRAXを楽しんだファンの表情はひたすら爽やかな表情をしていた。

Text by 倉田真琴
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ANTHRAX
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ANTHRAX
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SETLIST◆ANTHRAX

01. Caught in a Mosh
02. Got the Time
03. Madhouse
04. Fight 'Em 'Til You Can't
05. I Am the Law
06. Be All, End All
07. Evil Twin
08. Antisocial
09. Indians

GHOST

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GHOST
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『TEARS STAGE』のステージではGHOSTのショウに向けての準備が着々と進められ、教会を想起させる巨大なバックドロップが掲げられ、ステージの一段高いセットには下手にドラム・セット上手にキーボード類がセッティングされる。

GHOSTの出演時間になると場内暗転、ホラー映画風のSEが荘厳な不気味さと共に会場に広がっていく。ライトが激しく点滅するステージにはネームレス・グールズが登場、“Ashes”がプレイされると下手から燕尾服をバリっと着込んだコピア枢機卿<vo>が朗々と歌いながらゆっくりとした歩みで登場。彼が登場すると歓声は更に大きくなっていく。続く“Rats”ではパイロも炸裂。トリプル・ギターが奏でる怪しく美しいメロディに乗って、拳銃を撃つアクションを見せたコピア枢機卿はステージのセットに座り独特な歌唱スタイルで淡々と冷めた恐怖を歌い上げる。曲が終わるとスモークの柱がステージに立ち上る。

コピア枢機卿は不気味さとヘヴィネスが渦巻く“Absolution”ではステージ右に左にファンを煽り、不気味な美しさが静かに広がる初期の名曲“Ritual”ではファンから大きな歓声を浴びる。ブルーのライトの中でねっとりのプレイされた“From the Pinnacle to the Pit”ではファンの歓声を操る様に右手を動かす。ネームレス・グールズやグーレッツのパフォーマンスも素晴らしいが、やはりどうしてもコピア枢機卿に目が奪われてしまう。

「コンニチハ」と日本語で挨拶するコピア枢機卿は日本に戻ってきたことを嬉しいと述べ、「楽しんでいるかい?」とファンに向けると大きな拍手と歓声が上がる。そんなコピア枢機卿は劇的なイントロから始まる“Faith”ではお立ち台で堂々と歌い上げる。フルのステージ・セットを持ち込めなかったが舞台効果もGHOSTのショウを盛り上げ、パイロ、スモークの柱等が照明と共にファンの目を奪う。

宗教的で荘厳なイントロからフュージョン的な広がりある世界を展開していくインスト曲“Miasma”はネームレス・グールズやグーレッツの見せ場、ファンを幻想的な世界に誘っていく。その曲の後半にはサックス奏者としてパパ・エメリトゥスが登場。サングラスをかけて熱演するパパ、何世かは分からないがシワが増えゾンビ感が増した感じになっていた。その姿はスクリーンにも映し出され、このサプライズの登場にファンは驚きと歓迎の大歓声を上げる。バックドロップがレッド・ライトで赤く不気味に照らされ、ネームレス・グールズの不気味なシュルエットが浮かぶステージから荘厳でホラーチックな“Year Zero”が始まるとコピア枢機卿が再びステージに登場、静かに盛り上がりながらファンを恐怖の迷宮へとジワジワと引きずり込む。エンディングでは炎の柱が何本も派手に吹き上がる。メタリックな疾走感のある“Mummy Dust”ではグリーン・ライトが不気味にステージを照らし、コピア枢機卿は怪しく体を揺らし、そこにショルダー・キーボードでプレイするグーレッツが絡む。コピア枢機卿が腕をクロスして曲が終わると紙吹雪が宙を舞う。「ダンスしたいか?ダンスしようぜ!」と始まった“Dance Macabre”ではステージを七色のライトが輝き、コピア枢機卿が「アースシェイキン!」とファンを躍らせる。ポップでキャッチー、そしてその曲名通りダンサンブルだが、その裏に隠された退廃感と冷めた毒気、それがGHOSTのサウンドの魅力。キャッチーさとメロディの美しさがすっと耳に入ってくるが、後にその裏に隠されたクセのある毒気にやられる。気が付くとGHOSTの闇の世界に迷い込んで心が奪われてしまうのである。最後にプレイされたのはそんなGHOSTの音楽性をよく表わしている“Square Hammer”。闇の美しさに溢れたこの曲に合わせていくつこのメロイック・サインが揺れ、ステージとフロアをホワイト・ライトが作り出すいくつもの筋が照らしている。彼らのショウが終わると魂を抜かれた様な不思議な満足感に包まれていた。出来る限り早い時期に、今度はフルセットの彼らのステージを観たいと思わせる圧巻のパフォーマンスだった。


Text by 別府伸朗
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GHOST
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GHOST
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SETLIST◆GHOST

01. Ashes
02. Rats
03. Absolution
04. Ritual
05. From the Pinnacle to the Pit
06. Faith
07. Cirice
08. Miasma
09. Year Zero
10. Mummy Dust
11. Dance Macabre
12. Square Hammer

SUM 41

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SUM 41
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SUM41の登場をウキウキ気分で待っているファンがゾクゾクと集結していく『BLOOD STAGE』。「パンク・バンドだろ?」といった感じで冷めた風に見ていたメタルヘッズも多かったと思うが、彼らの登場を告げるAC/DCの“T.N.T.”が爆音で流れるとちょっと見ていこうかと多くのメタルヘッズが足を止める。グリーンのライトがステージを照らす中、元気にメンバーが走り込んでくる。「Are You Ready?」とデリック・ウィブリー<g,vo>の声を合図に4本の巨大なスモークの柱が立ち上り“The Hell Song”が炸裂した。

2015年にバンドに復帰したデイヴ・バクシュ<G>のメタル・ギターもキレッキレでその存在をしっかりとアピール。ステージを走るデリックは下手、上手、そして後方のファンに向かって「調子はどうだい?」とファンを煽り、会場を盛り上げ一体化させていく。ファンはジャンプ、クラウド・サーフにモッシュと彼らのサウンドを全力で楽しんでいる。いくつものスモークの柱が立ち上る中でプレイされた“Over My Head”では声を出していこうぜとファンを歌わせ、ロッキンな“Motivation”ではもっと楽しめよといった感じで手拍子を要求、デイブの高速メタル・ギターが弾き出されると、デリック、ジェイ・マクキャスリン<b>、トム・タッカー<g>の三人並びでフォーメーション。ヘヴィなリフから始まる“Goddamn I'm dead again”でデリックが「サークルピットを見せてくれ!」と言いステージからフロアーに下りると、ファンは大きなピットの渦の中をグルグルと周り、後方でも小さなピットがいくつも出来上がっていた。そのモッシュの渦を激しくすべくメタル・バンドさながらのメタリックな高速ツイン・ギターがガソリンを注いでいた。

「手を振ってくれ!」と、スタートしたのは美しい調べから甘く切なく疾走していく“Walking Disaster”。デリックはピン・ライトの中で歌い、ファンも一緒に歌う様に煽る。ステージ全体をライトが照らすとそこには巨大なガイコツが鎮座、その左手の中指はしっかりと立てられていた。“Underclass hero”のエンディングが幻想的に広がっていったと思ったら、続けてPINK FLOYDの“Another Brick in the Wall”がプレイされファンにワン・コーラス歌わせる。そのまま“Fake My Own Death”に突入してフロアの盛り上がりは加速していく。大きな歓声の中、デリックはSLAYERやJUDAS PRIESTといったバンドと一緒にプレイ出来ることに対して感謝の言葉を述べ、メタル・キッズであることを告げてデイヴのギターから刻まれたリフはBLACK SABBATHの“Paranoid”。途中までの演奏となったが、このサプライズはフロアだけでなく通行中やら休憩中の人々も驚かせステージに目を向けさせた。名曲“No Reason”に続いてスペシャル・ソングとプレイされたのはQUEENの“We Will Rock You”、先のカバー2曲と違いかなりパンク調にアレンジされ1曲丸々プレイ。最後は大合唱で盛り上がりスモークの柱が激しく吹き上がった。

デリックが「皆の力が必要だ!簡単だ、この3ワードをよろしく!」と盛り上げていたのは“In Too Deep”。ジャンプで踊り楽しむオーディエンスはサビではきっちりとデリックの言葉に応える。アルバムを作成中で今年には出したいデリックは語り、“Fatlip”と“Still Waiting”と最後まで突っ走ったSUM41。正直このラインナップでの出演は苦戦するかと思ったが、そんなことを全く感じさせないパフォーマンスは流石の一言。彼らのパフォーマンスにはグイグイ引き込まれ鉄板選曲のご機嫌なステージは最高だった。

Text by 悪鬼
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SUM 41
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SUM 41
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SETLIST◆SUM 41

01. The Hell Song
02. Over My Head (Better Off Dead)
03. Motivation
04. We're All to Blame
05. Goddamn I'm Dead Again
06. Walking Disaster
07. Underclass Hero
08. No Reason
09. Fake My Own Death
10. We Will Rock You
11. In Too Deep
12. Fat Lip
13. Still Waiting

SLAYER


SLAYERのファイナル・ツアーの日本公演の地として選ばれたのは、この『DOWNLOAD JAPAN 2019』のステージだった。彼らが登場する『TEARS STAGE』には最後の彼らの姿をその目に焼き付けるべく多くのファンが集結している。私は後ろの柵辺りにいたのだが気が付いたら全く身動きが出来ない状態となっている。彼らがステージに現れる時間が近づくと更に圧が高くなり独特の緊張感と熱気が高まっていく。

客電が落ち、怒号にも似た歓声が上がると、ステージには大きな十字架が4つ映し出されそれがゆっくりと回り逆十字となっていく。その逆十字が重なりペンタグラムへと変化して広がっていくと歓声は更に大きくなる。ペンタグラムがスレイヤーのペンタグラム・ロゴへと変わると歓声は最高潮で天井を吹き飛ばす勢い、メンバーが登場前だというのに何という盛り上がりなのだろう。ステージ前の薄い幕が落ちると火柱が吹き上がり、スラッシュ・メタルの帝王がステージに姿を現す。ポール・ボスタフ<ds>のシンバル・カウントを合図にケリー・キングのギターから“Repentless”のリフが放たれると、フロアに集まったファンは内に秘めた暴力性を開放した様に暴れ出す。その熱波は私のいた後ろの柵付近も軽く飲み込んでいった。こんな盛り上がっている中でメモを取っていたのはファンに申し訳なかったし、冷静にレポートをすることを考えればSLAYERのことを嫌いになるくらいにグチャグチャにもされていた。でも本音を言えばメモをぶん投げて、SLAYERのサウンドに身を任せ熱狂の渦の中で全てを忘れて大暴れしたかった。いや、もうこの時点SLAYERのステージにレポートをすることも忘れ興奮していた。もしそのことでレポにならずに怒られたとしても、これが最後の仕事となったとしても悔いはなかった。まだ序盤戦、“Repentless”、“Blood Red”がプレイされただけ、それでもそう思わせるだけの帝王の存在と序盤からの圧巻のパフォーマンス。血に塗れたヘヴィネスでステージを赤く染めたかの様な“Mandatory Suicide”が終わると、大きな歓声と拍手がステージに向けられる。

ステージの中央に立つトム・アラヤ<b,vo>はその様子を感慨深げに眺め、感謝の言葉を述べる。
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SLAYER
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SLAYER
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トムの「イチ、ニイ、サン」と日本語でのカウントで始まったのは“War Ensemble”。殺傷力タップリのリフが刻まれると『TEARS STAGE』は再び戦場と化し、そのリフを生み出しているケリーとゲイリー・ホルト<g>は首を振っている。“Jihad”、“When The Stillness Comes”と続いた後は、“Post Mortem”に“Black Magic”とSLAYERクラシック2連発。この流れもファンを興奮させ、疲れを見せるどころか益々熱狂と狂乱度合は加速していく。そんなフロアを“Seasons In The Abyss”がクール・ダウンさせていく。スモークが焚かれ、薄いパープルのライトが照らすステージから不穏で不気味なメロディがジワジワと広がり、汗がじっとりと流れていく感覚を覚える。ケリーは前に少しかがみ込む様な独特のポーズで黙々とリフを刻み、首を上下に動かす。

“Born Of Fire”ではトムの「ファイヤ!」の叫びに合わせて火柱がゴウっと吹き上げられ、“Dead Skin Mask”、“Hell Awaits”と興奮は冷めることはない。“South Of Heaven”ではイントロに合わせてファンはメロディを「オ~オオ~♪」と大合唱、これもこの日の名場面の一つとなったであろう。“South Of Heaven”のじらすようなギター・ノイズのエンディングにポールのダダダン!というドラムの音が重なっていく。あの曲の始まる儀式というのはファンにはお馴染み。数あるスラッシュ・メタルの楽曲の中でも最高のインパクトと殺傷力を誇るイントロを持つあの名曲、“Raining Blood”がファンの狂気を開放する。真っ赤で新鮮な血をぶちまけた様にステージはレッド・ライトで眩しく照らされ、無数のメロイック・サインがSLAYERのいるステージに向けられる。イントロから一気に加速していくと、ファンはヘッドバンギングにモッシュ、サビでは大合唱でこの名曲と共に狂乱的に盛り上がっていく。出し惜しみはしないぜとばかりに“Chemical Warfare”がファンのその狂乱を更に煽り、最後にトムが「ケミカル・ウォーフェア!」と叫ぶと、ケリーとゲイリーのギター・チームにピン・ライトが当たる。

この日一番とも思えるSLAYERコールの中、弾き出されるリフ。それは日本公演最後の曲としてプレイされた“Angel Of Death”のリフだった。ステージのバックドロップはファンにはお馴染みのバドワイザーのラベルを模したもので、今は亡きメンバー、ジェフ・ハンネマン<g>の名前が大きく描かれたものとなっている。今もSLAYERのメンバーやファンの中にジェフは生き続けているのだ。SLAYER史上、いや、スラッシュ・メタル史上最強にして最凶の名曲が最後にプレイされると、悔いを残さじとファンもそのサウンドにその身を捧げる。何人ものクラウド・サーファーが熱狂する人の波を転がり、ヘッドバンギングの壁がいくつも出来上がり、モッシュ・ピットが熱狂の渦を巻いていた。約1時間半のステージも終わってみると、一瞬の出来事の様にあっという間に過ぎ去ってしまった。ただその内容はとても濃密なもので、記憶に残る場面もいくつも生み出していた。そして、ハイライトは最後の最後に起こった。日本のファンとの別れを名残惜しそうにしているメンバー、ケリーとゲイリーはいくつものピックを飛ばしてステージを去っていった。
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SLAYER
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最後にステージに残っていたのは、トム。まずステージ下手に立った彼はゆっくりとフロアのファンを優しい眼差しで見渡し、それをステージ中央、ステージ上手と続けて行っていった。何とも言えない表情をしているトムを見て、「ああ、SLAYERのステージをここ日本で観るのは今日で最後なんだ」と、下手に歩みを進めるトムを見ながらもう涙腺は崩壊寸前だった。そのままトムはステージから去ると思っていたのだが、一枚の紙を手にステージ中央のマイクスタンドに向かってトムはゆっくりと歩いて行った。トムはゆっくりと口を開き、一言一言じっくり噛みしめる様に言葉を放った。それは片言ながらも日本のファンに向かってしっかりと伝えるべく日本語で放ったものだった。

「私たちの最後のステージです。とても悲しい。またね」

文章にするとたったこれだけの言葉、これだけのことなのかもしれない。しかし、その場にいた人にとっては一生忘れることの出来ない感動的な言葉であったし、出来事であったと思う。最後に噛んでしまい少しその場に詰まってしまった場面もあったが、その時に見せたトムの苦笑いと悲しみが合わさった様なあの顔も一生忘れることもないだろう。最後の言葉を述べて、ゆっくりと静かにステージから消えていくトムをずっと見ていた。号泣しているファンも一人や二人ではなかった。ケリーがファンに向かって放ったギター・ピックには『REBORN 2020』という文字も刻まれていたという。トムの最後に言った言葉の中にあった「またね」がいつやってくるのか? それがこの日本にもやってくるのか、今は待っていたいと思う。例えそれが新しいバンドとしても、まさかのSLAYERだとしても、私は大歓迎で迎え入れるだろう。

Text by 別府伸朗
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SETLIST◆SLAYER

01. Repentless
02. Blood Red
03. Disciple
04. Mandatory Suicide
05. Hate Worldwide
06. War Ensemble
07. Jihad
08. When the Stillness Comes
09. Postmortem
10. Black Magic
11. Payback
12. Seasons in the Abyss
13. Born of Fire
14. Dead Skin Mask
15. Hell Awaits
16. South of Heaven
17. Raining Blood
18. Chemical Warfare
19. Angel of Death

JUDAS PRIEST

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JUDAS PRIEST
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JUDAS PRIEST
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オジー・オズボーン出演キャンセルの報せに多くのファンが落胆した。そもそも“生きているのが不思議”レベルの、常人ではない人物である。まあ、そんなことは世界中のファンが承知している事実なのだが、久しぶりに「Crazy Train」他、数々の名曲を生で聴きたかったとの思いが強かったファンも多いはずだ。とにかく、ご高齢だから仕方ないし、気持ちを切り替えるしかない。

その後しばらく、“代わりのバンドはいるのか”、“SLAYERがヘッドライナーに繰り上がるのか?”、SNS上では様々な憶測が飛び交っていた。ほどなくして『Download Japan 2019』のヘッドライナーにJUDAS PRIESTの名前が発表されると、鋼鉄神の帰還にただただ喜ぶという結果に落ち着いた。この充実したラインナップは“2万人ソールドアウト”という嬉しい成果をも呼び込んだのだった。

2019年3月21日は、一日中幸せな気持ちだった。どのバンドのパフォーマンスも素晴らしかったし、メタルバンドが多く出演するフェスでこんなに盛り上がっているという事実が嬉しくて仕方ないのである。もちろん疲れ果ててしまって会場からドロップアウトした人もいたけれども、それすらも幸せな出来事だったはず。

まもなく時刻は20時となる。ステージの開始を告げるBLACK SABBATH“War Pigs”で、来ることが叶わなかったオジーの声が場内に響き渡る。僕もさすがに疲れていたのだが、ヘッドライナーの登場に再び体が燃え上がる。ショウは“Firepower”で幕を開けた。

バンドの音を押し返すほどの大歓声によって迎えられたJUDAS PURIEST。ステージ中央にはロブ・ハルフォード<Vo>の姿が見えた。彼がそこにいるだけで胸に熱いものがこみ上げてくる。

昨年11月下旬に行われたジャパン・ツアーとは大きく変更され、日本のファンへの特別なセットリストになるという情報は、このステージが始まる直前に聞いていた。結果、去年とは8曲ほど入れ替えているわけで、これはアンコール公演としては最高の内容と言うべきだろう。前回の日本公演を体験した人も、これ以上ない神からのプレゼントに平伏すしかない内容となった。

セットには珍しい曲が並ぶ。5thアルバム『Killing Machine』(1978年)から“Delivering the Goods”、4th『Stained Class』(1978年)から“Saints in Hell”と、懐かしい曲が前半に組み込まれており、オールドファンを泣かせた。「Devil's Child」(1982年8th、『Screaming for Vengeance』収録)を聴くのは、個人的には初めてのことだった。2012年の『Epitaph Tour』以来となる“Rapid Fire”(1980年、6th『British Steel』収録)も嬉しい。“Some Heads Are Gonna Roll”(1984年、9th『Defenders of the Faith』収録)のひたすら漢らしい重厚感に痺れた。どんなに変化をつけても名曲がズラリと並ぶこととなる。自在にセットリストが組めるのは、長い歴史を積み重ねてきたバンドだからこその強みであろう。もちろん最新作の充実した内容もそこに加わっているから、JUDAS PRIESTは“最強”との結論に達する。
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この日、我々に残された時間もあと少し。多幸感溢れる空間に身を置いた1日、それだけで感謝の気持ちでいっぱいになっていた上に、JUDAS PRIESTのスペシャルなセットリストでその気持ちは沸点に達した。筆者は数日前に東京ドームで行われた巨人VSマリナーズのオープン戦を観たのだが、あの時も同じ気持ちだった。あの時はまさか引退するなんて思っていなかったのだが、生で目撃したイチロー選手に対し“ありがとう”という言葉しか出てこなかったのである。ヒットは一本も打たなかったけれども、彼が打席に立つだけで嬉しかった。その場所にいるだけで、幸せだった。どのアーティストのファンでもそういう気持ちになるのだろうけれども、我々にとってJUDAS PRIESTは特別な存在、“メタルゴッド”なのである。

ステージ上のロブは絶好調だ。彼の一挙手一投足を目に焼き付けようと注視する。もちろん、リッチー・フォークナーとアンディ・スニープ、2人のギタリストのコンビネーションもより良く進化しているし、後方ではイアン・ヒル<B>とスコット・トラヴィス<Dr>が安定したリズムを刻む、その光景も素晴らしいことこの上なし。JUDAS PRIESTを観るたびにいつも感じるのは、“いつ観ても最高”だということ。本日のセットリストからもわかるように、彼らは日本のファンを大切にし、そしてまた必ず戻ってきてくれる。それがいつまで続くのかは、神のみぞ知ること。限られた時間の中で、同じ空気を吸っているだけで幸せな気持ちになれるというのは、そういうことなんだと、改めて感じるのだった。

ショウは終盤に突入し、お馴染みの神曲が連発されていく。何度も言うが、何度観ても最高だ。この日、初めてJUDAS PRIESTを観た若い人も何度も観ている人も、すべてのファンが最高の表情をしていた。

熱狂とともに幕を閉じた『Download Japan2019』。このイベントの成功は、永くファンに記憶されるはずだ。

Text by 倉田真琴
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SETLIST◆JUDAS PRIEST

01. Intro~Firepower
02. Delivering the Goods
03. Sinner
04. The Ripper
05. Evil Never Dies
06. Bloodstone
07. Saints in Hell
08. No Surrender
09. Turbo Lover
10. Devil's Child
11. Killing Machine
12. Some Heads Are Gonna Roll
13. Guardians~Rising From Ruins
14. Rapid Fire
15. Hell Bent for Leather
16. Painkiller
Encore
17. The Hellion~Electric Eye
18. Breaking the Law
19. Living After Midnight
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