CHURCH OF MISERY ワンマン・ライブ・レポート!

Live Reports
日本が世界に誇るマーダー・ドゥーム・ロック・バンド、CHURCH OF MISERYが2018年12月22日渋谷CYCLONEにて行ったワンマン・ライブを完全レポート!
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日本が世界に誇るマーダー・ドゥーム・ロック・バンド、CHURCH OF MISERYの年末恒例行事となりつつあるワンマン・ライブが渋谷CYCLONEにて12月22日に行われた。多くの人に溢れカラフルな賑やかさの年末渋谷、その地下では街の喧騒とは真逆、毒にまみれたCHURCH OF MISERYのヘヴィ・ミュージックによってジンジンに痺れさせられることを考えると少し可笑しくなってくる。そんなことを考えながらCYCLONEへの階段を一歩一歩と降りて行った。
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ほぼ満員となった会場が暗転、“El Padrino”のオープニングSEが会場を覆いつくす様に流れ、それまで映像が流れていたスクリーンがゆっくりと上がりステージの全貌が露わになる。CHURCH OF MISERYのロゴが大きく描かれたバックドロップがレッド・ライトに照らされている。ステージはレッド・ライト一色だ。まるでこれから始まる轟音惨劇を象徴するかの如く生々しい血の様に赤い。そのライトの中、メロイック・サインを掲げメンバーが登場。フィードバック・ノイズが鳴り響く中、メンバーのシルエットが浮かびTatsu Mikami<b>が手を上げると待ってましたとばかりに歓声が上がる。Hiroyuki Takano<vo>は「We Are CHURCH OF MISERY!」と告げ、ステージ中央にセットされたテルミンを操りスペイシーな音空間を作り出している。さぁマーダー・ショウの開幕だ。SEからそのまま“El Padrino”のヘヴィなリフが鳴り響き、Hiroyukiはマイクを握り咆哮。ワウを利かせたベースを弾くTatsuが指差す先にはYasuto Muraki<g>が長髪を振り乱しリフを刻んでいる。ギター・ソロとベース・ソロでは大きな歓声といくつもの拳が突き上げられ、Tatsuはモニターに乗りフロアを見回しもっと来いよとばかりにフロアを煽る。終演後にTatsuが「“El Padrino”を超えるオープニング曲を作らないと」と言っていたが、本当にこの曲のオープニングでのインパクトと殺傷力は絶大だ。“I, Motherfucker”ではHiroyukiが「I MotherFucker!」と叫びフロアに向かって中指を突き立てる。ヘヴィでどこか挑発的なリフにテルミンが絡み、一人、また一人とその音に殺られているようだ。歴代ドラマーの中でもメタル度数が高い感じのするJunichi Yamamura<ds>のヘヴィ・メタリックなドラミングがこの曲の輪郭をさらにクッキリとさせる。高々とベースを掲げるTatsuに合わせ、いくつものメロイック・サインがステージに向けられる。序盤戦からファンも彼らの世界に完全に引き込まれている。ファンの歓声をTatsuのヘヴィなベースが乱暴に打ち破り、“Badlands”の重厚なうねりが会場の雰囲気を一変させる。フロアを睨む様に鋭い視線を放つHiroyuki、ブルーのライトの中でYasutoのリフがジワリジワリと聴く者の胸にゆっくり深く突き刺さっていく様だ。
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Tatsu Mikami<b>


メロイック・サイン、拍手、歓声、彼らのショウを歓迎するファンに向け「サンキュー」と一言放つ。まだまだショウは始まったばかりだが「アツいなぁ」とステージ上でポツリと放った言葉が耳に入る。Tatsuがビールをグイっと煽る。「モッシュ・タイム!」と言って始まったのは“Born to Raise Hell”、縦ノリで、ある意味ダンサンブルでもあるこの曲に合わせてファンは体を揺らし、サビでは一緒に叫び拳を上げている。Tatsuは何度もネックを立て、Yasutoはネットリとしたギター・ソロでファンを酔わせる。再びブルー・ライトが照らされたステージ、Junichiのバス・ドラムに導かれ“Make Them Die Slowly”のメタリックな質感のリフが弾き出される。ステージを舐める様なライトの中で、目を見開き叫ぶHiroyuki、フロアを指さし何やら呪文を唱えている様に何かを呟いている。その脇でTatsuとYasutoは長い髪を振り黙々とヘヴィな音塊をスピーカーから放ち、ファンは激しく体を揺らしている。そしてキャッチーでノリの良い“River Demon”でファンはそのグルーブに酔いしれている。ここまででまだ6曲、何と贅沢で濃厚ななのだろう。曲が終わるとHiroyukiは「サンキュー!どうもありがとう」とフロアのファンに言葉を放つ。
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Hiroyuki Takano<vo>


「CHURCH OF MISERYです。ただいま!」とHiroyukiが口にすると大きな拍手と歓声が起きる。その反応に「We Love Tokyo!」と少し恥ずかしそうにHiroyukiが感謝を述べると、逆に「I LOVE CHURCH( OF MISERY)!」と返ってくる。「まだ1/3だ。覚悟しとけ!」とHiroyukiが少し嬉しそうに挑発すると、望むところといった大きな歓声。そんなファンの頭をガッツリと殴りつける様に“Candy Man”が乱暴に放たれる。レッド・ライトの中で4人の殺人鬼がジワリジワリとファンをヘヴィなグルーブで殺していく。ヘヴィなグルーブの虜となりどこまでも墜ちていく様な感覚に襲われる。そのまま“Taste the Pain”へと続き、ヘヴィなサイケ感のある曲は更に深く深く彼らの世界に引き込んでいく。じらしにじらしてから“Red Ripper Blues”が静かに不気味に始まる。ステージのライトは勿論血の匂いが漂ってくる様な赤。官能的なギターに絡むスペーシーなテルミンのノイズ、ジャジーなドラム、ワウの効いたベース、これらが作り出す空間はトリップ感タップリ、ジワジワと脳みその奥に沁み込んでいく。後半の激しいパートでは激しく体をぶつけあっているファンもいる。テルミンをいじっていたHiroyuki が「マーダー・フリークの皆さん、こんばんわ。まだまだ殺人ソング行くので」と言ったのを合図にする様に“Blood Sucking Freak”が始まった。ネットリ、じっとりとしたヘヴィなうねりに会場の熱がゆっくりと動いていく。背中の汗がゆっくりと垂れていく。スモークがかかったステージに蠢くメンバーの姿は個人的にはジョン・カーペンター監督の名作「THE FOG」とシンクロさせられた。スリリングなYasutoとTatsuの攻防にHiroyukiはフロアを煽り、拍手を要求する。曲の終わりには再びベースを高く掲げるTatsu。そのままJunichiが叩き出すヘヴィなビートに導かれ“Confessions of an Embittered Soul”が更なるヘヴィな恐怖の世界に導いていく。Junichiのヘヴィでメタリックなドラミングがグッと引き立ち、彼の叩き出すビートがかなり気持ちよい。Tatsuは彼独特の少し顔を右に傾けたポーズでフロアを見渡している。
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Yasuto Muraki<g>


この日一番の拍手と歓声、UFOの飛行音を思わせるノイズが鳴り響く中「年末にありがとう」と少しおどけた感じでHiroyukiが感謝の言葉を口にする。ショウも後半戦、激しいシンバル・カウントから70年代ヘヴィ・ロック調でノリの良い“Megalomania”がスピーカーから爆音で放たれる。派手なライトの中、ステージではメンバーが曲に合わせて体を揺らし、首を振っている。“Brother Bishop”では両手を高く上げ、拍手を要求するTatsu。ファンからの拍手の中、グルーブ感タップリの“Brother Bishop”が会場を支配する。不敵な笑みで会場を見渡し怪しく死者を呼び込む様に手を動かすHiroyuki、その前にいる我々はただ彼らの作り出すグルーブに殺られるのを待つ犠牲者だ。曲がブレイクし激しいパートに突入するとモッシュとは言わないが、激しく体をぶつけ合うファン。
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Junichi Yamamura<ds>


「ありがとうございました。最後の曲です」と感謝の言葉の後にズッシリとヘヴィな“Murderfreak Blues”が会場を震わせる。「I’m Murderfreak」の雄たけびを上げ、高く掲げたビールをゴクリと美味そうに飲み干すHiroyuki。ヘヴィでスローなメロディに大きく体を揺らすファン。ヘヴィな反復リフ、不安感を煽るテルミンの音色、ステージでゆらりと不気味に蠢くメンバー、ここはDOOM天国か?地獄か?まるでメビウスの輪の様にいつまでも続いていく感じ。最後の音が消え去りテルミンの音と歓声の中、ステージ・ライトに照らされシルエットとなったメンバーがそれぞれポーズを取りながらステージを去っていった。
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大歓声に呼び戻されステージに再び姿を現すメンバー。「ビールをツケで買ってきて」とHiroyukiが言うと和やかな笑いが起こる。そんなHiroyukiはテルミンを操りノイズを放っている。ワウが効いたTatsuのベースに導かれ“Killifornia”が音源よりもタメをたっぷりと込めて放たれる。タメを強調したことによって内なる狂暴性を更に開放させた感じ。Hiroyukiはその狂暴性を視覚化した様に笑みを浮かべ右手人差し指を高く上げる。ヘヴィで不気味に忍び寄る死の影にいくつもの歓声が被さる。「土曜の夜だぜ、騒ごうぜ!」と爆裂都市チックなMCに導かれ狂乱のパーティー・ソング“Shotgun Boogie”が炸裂、フロアは蜂の巣を突いた様になっている。最後に「ショットガン!」と叫ぶと彼らへ服従を示す様にメロイック・サインが掲げられる。曲が終わり、メンバーがステージを去っても歓声は鳴りやむ気配がない。観念したかのようにメンバーは再びステージに登場。Hiroyukiは嬉しそうに「We Are CHURCH OF MISERY.You Are CHURCH OF MISERY.」と述べると更に歓声は大きくなる。「これが2018年、最後の曲です」と長丁場のマーダー・ショウの最後を告げ、「SAINT VITUS!」と咆哮一番始まったのは、SAINT VITUSのカヴァーである“War Is Our Destiny”。ノリノリのロックンロール・ナンバーでメンバーは楽しそうに激しくヘヴィなビートをかき鳴らしている。CHURCH OF MISERYからのちょっとだけ早い最高のクリスマス・プレゼントとなった。メンバーが去り、最後に残ったTatsuはクラウド・サーフを決めて「良いお年を!」と一言告げて締めくくった。
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2018年12月22日@渋谷CYCLONE
SETLIST

1.El Padrino (Adolfo de Jesus Constanzo)
2.I, Motherfucker (Ted Bundy)
3.Badlands (Charles Starkweather & Caril Fugate)
4.Born to Raise Hell (Richard Speck)
5.Make Them Die Slowly (John George Haigh)
6.River Demon (Arthur Shawcross)
7.Candy Man (Dean Corll)
8.Taste the Pain (Graham Young)
9.Red Ripper Blues (Andrei Chikatilo)
10.Blood Sucking Freak (Richard Trenton Chase)
11.Confessions of an Embittered Soul (Leonarda Cianciulli)
12.Megalomania (Herbert Mullin)
13.Brother Bishop (Gary Heidnik)
14.Murderfreak Blues (Tommy Lynn Sells)

Encore 1
15.Killifornia (Ed Kemper)
16.Shotgun Boogie (James Oliver Huberty)

Encore 2
17.War Is Our Destiny(SAINT VITUS cover)

※開演前のBGM(Selected by Tatsu Mikami)
1. Ten / Count Raven
2. Neither Time Nor Tide / Solstice
3. Perceptions / Sevenchurch
4. Autumn Leaves / Isole
5. The Return / Warning
6. Warlord / Memory Garden
7. Where Angels Dare To Tried / Solitude Aeturnus
8. Salvation's Answer / Revelation
9. Dark Cellar / Millarca


TEXT by 別府“VEPPY”伸朗
PHOTO by Akiko Nohara

この記事のキュレーター

別府 “VEPPY” 伸朗
別府 “VEPPY” 伸朗
新一万円札の顔となる渋沢栄一の生まれ故郷「深谷市」在住の兼業音楽ライター。メタルのレコードとシャツに囲まれての田舎暮らしですが、ノホホンとは出来ず残念!ベルボトムLOVEですが、サイズが…。

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