轟音の饗宴 FULL OF HELL 「WEEPING CHOIR」Release Show ミニリポート

Live Reports
all pix by ミツハシ カツキ

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アメリカはメリーランド出身のデス・メタル/グラインド・コア・バンドFULL OF HELLが、新作フルレンス「WEEPING CHOIR」のリリースを記念した来日公演を10月22日、新大久保EARTHDOMにて行なった。
その様子を手短にリポートする。

SUPER STRUCTURE

この日トッパーを務めたのはCOFFINS、LOYAL TO THE GEAVE、CRYSTAL LAKEなどなどの名だたるバンドのメンバーによって結成されたドリーム・チーム。
“点”ではなく“面”で襲い来るかのような重低音と、引っ掻くような高音ディストーテッド・ヴォーカルが混然一体となってオーディエンスをアジテートすると、会場のボルテージをみるみる引き上げてゆく。フィードバック・ノイズの洪水からまろび出る楽曲はどれも暴力的。
初っ端からステージ・ダイバーが次から次へとフロアへ零れ落ちてゆく様は圧巻だった。当初彼らがショウ・オープナーになるとは予想していなかったが、そこに配置された理由を音で判らせられた。
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BUTCHER ABC

日本を代表するデス・メタル・バンドとして名を馳せ、数々の海外フェスにて猛威を振るってきた権威がセカンド・アクトとして登場。彼らの楽曲にはデス・メタルが陥りがちな性急なテンポ・チェンジはなく、身を任せろとばかりに刻まれるビートがギターとベース、そして彼らのツイン・ヴォーカルが自由自在に暴れ回ることを可能にする。観客を歓喜させるその手腕には恐れ入る。
特にButcher Analtoshit<g,vo>のギター・ソロはメロディアスとさえ形容出来て、否が応でも心奮わせられてしまう。過激さを求める者、リズムの気持快さをもとめる者、オールド・スクールなデス・メタル・ヘッズの誰もが唸ったステージだった。
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CUNTS

続いて登場したのはここ数年で注目度鰻登りのヴォーカルとドラムの2人組グラインドコア・バンド。断続的にマシンガンがごとき音を息ピッタリにブッ放す。兎にも角にもトリッキーで、彼らもそれを自認しているのだろう、「どうせENDON観にきたんでしょう?」とアウェイであることを繰り返し主張しながらも「やってやろうじゃん?」とどこか嬉し気に繰り返していた。だが、実際はと言うと、観客からは「最高!」「そんなことない!」と愛のこもったヤジが終始投げかけられていたのが微笑ましい。
FrozenPanty<vo>の歌唱に歌詞はあってないようなものだったが、それは考え無しで叫ばれる音ではなく、思考を声に変換した声だった。なぜなら、時折聞き取れることばが混じるのだ。そこに隠されているものは何なのか、気になることしきりであった。

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ENDON

ノイズ、インダストリアル、ハードコア、アヴァンギャルドなど様々なジャンルを呑み込み異形の怪物と化したバンドが姿を現すとフロアは奇妙な静けさと熱気に包まれた。CUNTSも示唆していた通りこのバンドの熱狂的なファンが多く最前列に押し寄せていた。
この日のステージを見て思ったことは、ENDONの出すノイズは威嚇の類では全くないということ。もちろん露悪的なものでもない。ノイズは、人を殴る棍棒などではないのだ。極めて理知的なインダストリアル・ミュージック。だが、冷ややかな感触もまた、そこにはない。那倉太一<vo>の切実な叫びがそうさせない。両者の不可思議な乖離の前に、観る者は息を飲み佇むしかない。その夜フロアにいた誰しもが、ENDONと対等な関係にはなかったように感じた。と言っても、我々は傍観者に仕立て上げられたわけではなく、ただ、彼らの音が我々のキャパシティを超え、横溢しただけなのだ。
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FULL OF HELL

US出身のデス/グラインドコア・バンドが日本に2年振りの上陸を果たした。前作もあらゆるヘヴィミュージックにアンテナをはっている諸氏の間では話題に上っていたが、今回は今春発売のアルバム「WEEPING CHOIR」を引っ提げてのショウとなった。
音源だけ聴いていると、神経症的なアンビエント系サウンドの切り貼りがなされている楽曲があったりと、どんな奇特な人物が出てくるのかと身構えていたが、実物のFULL OF HELLは私の予想に反してフィジカルな強さを持ったバンドであったため、やや拍子抜けした。日本語を交えたMCで観客への謝辞を終始示していたが、パフォーマンス自体は猛烈なパワーを伴う湿った暴風といった雰囲気であった。ただ、贅沢を言うならば音源に閉じ込められているバンドの“静”の部分、幽玄かつ内省的な煩悶を携えたアルペジオなどの側面をステージに持ち込んだら一体どのような変貌を遂げるのかが観たい、と思った。
メンバーに音楽的な影響源を問うたところ「SWANSやMELVINSといったクレイジーでノイジーなものと、GORGUTSやCRYPTOPSYなどに影響を受けた」とのことだったので、おそらく前者が“静”、後者が“動”であり、今回のショウは“動”の部分でもって我々を迎え撃ってくれたのだろう。
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