ダーク・メタルの祭典『TDF Presents DARKEST GARDEN』 ソールド公演の一部始終

Live Reports
デス/ブラック/ゴシック・メタルを中心にしたエクストリーム・ミュージックを奏でるバンドを集めて行なわれる『TOYKO DARK FEST』が約4年振りに再始動した。

前2015年時出演バンドはNECROLUST、INTESTINE BAALISM、COHOL、BELLFAST、ETHEREAL SIN、VOLCANOと、現在も現役で活動を続け国内シーンを盛り上げる偉大なバンドばかりだが、今回は『TOKYO DARK FEST Presents DARKEST GARDEN』としてJILUKA、IMPERIAL CIRCUS DECADENCE、THOUSAND EYESとかなりフレッシュな選出となった。

彼らは先人達に続くバンドとなり得るのだろうか?それは4年後まで判らない。
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pic by Shuhei(ICDD)

JILUKA

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宴の幕を開けたのはエクストリーム・メタル・バンドのJILUKA。
Ricko<vo>、Sena<g>、Boogie<b>、Zyean<ds>の4人編成で、「ヴィジュアル系か、メタルか?」と問われたなら疑いなく前者なのだろう。が、この日のタイム・テーブルはどのバンドも持ち時間は均等に1時間。非ピュア・メタルの彼らは前座ではなく、正当に演者の一角を担っているのである。

Rickoがフロアに躍り出ると前方からは手拍子の波が広がる。どうやらこれがJILUKAファン流の歓迎の儀式のようだ。V系バンドといえば歌詞やキメに合わせた緻密な振り付けがライブへの切符となっていることもしばしばだが、彼らのライブでは手拍子・ジャンプ・拳を突き上げるといった単純な動作だけが予定調和のようで、特に暗黙の了解に悩まされることはなかった。

YouTubeで視聴が可能な彼らの楽曲“Mephisto”は、一聴した時点ではギターのスウィープ奏法が頻出しすぎではないか?と感じたが、なるほど4人編成・ギター1本でのライブを想定した場合この音の詰め込み方はバッキング不在の穴を埋め、かつテクニックを披露する手法として適しているということが判った。

実は私が立っていたフロア前方と中方ブロックの間にピュア・メタル愛好者と思われる男性客がおおり、そこが盛り上がりを堰き止める壁のようになってしまっていたのだが、バンドが昨年の大ヒット曲“U.S.A.”を始めると心なしか態度が軟化したように見えた。すると、メタルヘッズの気恥ずかしさを感じたのか、終盤MCでは「体が勝手に動く、それでもいい。何もしなくてもいい。今日一日をお前が1番楽しめ」という熱い言葉が繰り出された。するとSenaの繊細なギター・ソロにヘッズもメロイックサインを掲げて歓迎の意を示した。それに呼応するかのようにハイトーン・シャウトが響き渡る。彼らの声は届いたようだ。

素直な感想としては、曲の展開に似た要素が多くあるという点で長尺の舞台ではいかに飽きさせず聴かせるかがポイントになるとは思ったが、デス・ヴォイスからクリーン・トーンまで使いこなすRickoのスタミナのすさまじさには目を瞠るものがあった。
4人編成という緊張感でパフォーマンスを研ぎ澄ませば、メタルヘッズ諸氏にも評価されてゆくバンドだと感じた。
Ricko&lt;vo&gt;

Ricko<vo>

Sena&lt;g&gt;

Sena<g>

Boogie&lt;b&gt;

Boogie<b>

Zyean&lt;ds&gt;

Zyean<ds>

JILUKA / Mephisto (PV full)

IMPERIAL CIRCUS DEAD DECADENCE

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(l. to r.)Hull<b>,Rib:Yuhki<vo>,Shuhei<ds>,奈槻 晃<vo>
次に顕現したのは異形のシアトリカル・エクストリーム・メタル・バンドのIMPERIAL CIRCUS DEAD DECADENCE(以下ICDD)。彼らはもしかすると、先鋒を切ったJILUKAよりも異色かもしれない。
元来『コミックマーケット』等の即売会や専門店への委託で音源を販売し、特定のレーベルに属さないいわば同人音楽形態の活動を行なっているバンドだからだ。

長尺の楽曲に詰め込まれた難解な歌詞と台詞、グロウルと妖艶な男性ヴォーカル、可憐な女性ヴォーカルが目まぐるしくその世界観を目の前に展開するスタイルは信者とも言えるファンを多く持ち、この日も熱心な信徒が集まっていることが窺えた。

というのも、彼らにとっては東京では約1年半ぶりのライブであり、足を運べるファンならば必ずや馳せ参じたい公演だったのだ。そのレアリティを売りにしようという気はバンドにはないようで、Rib:Yuhki<vo>は、少ない分1度の価値が重いのではなく、例え本数が多かろうと一つ一つが貴重なのだと話していた。

ICDDの不思議なところはこの日一番のメロディックな歌唱と、この日一番のエクストリームかつテクニカルな演奏が融和している点にある。暴虐な音に反して儚さも醸しており、特にア・カペラのセクションではDIR EN GREYの京<vo>を彷彿とさせるこわれやすさと強い意志を感じ、筆者も周りもこの瞬間にひと垂らしの水も差さないようただ息を呑んでステージを凝視した。

退廃や狂気を歌うことが多い彼らだが、終盤には「純粋に前向きさを歌った曲」として未発表の楽曲を披露。サビの唱和前提のコーラスと泣きのギターというメロディック・パワー・メタルを想起させる意外性のある楽曲にしかしフロアは大盛り上がり。
更に嬉しいパフォーマンスとして、2ndアルバムより未だライブで披露したことがないという“暗黒の城郭に侵攻さる異形の狂姫”を演奏。サポート・メンバーである奈槻 晃<vo>がまさに深窓の美姫といった立ち居振る舞いで、長いスカートをなびかせながらステージを舞う様が楽曲の魅力を際立たせていた。

ラストの“謳”では盛大なシンガロングを浴びると、再び晦冥へと姿を消した。
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Kim<g>

Imperial Circus Dead Decadence 2017.12.30 @ Shibuya CYCLONE, Tokyo

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AKIRA<b>

THOUSAND EYES

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(l. to r.) YU-TO<ds>,TORU<g>,KOUTA<g>,DOUGEN<vo>
この日最後のアクトはご存じ国内ヘヴィ・メタル界を牽引する存在となっているTHOUSAND EYES。
1バンド目からここまで、グラデーションのように段々とメタル度合いを増してきていたが、遂に最もメタル色の濃いバンドへとたどり着いた。

ライブの幕開けは最新アルバム「DAY OF SALVATION」から表題曲の“Day Of Salvation”。待っていましたとばかりに、オーディエンスのエンジンが全開に。続けざまに人気曲“Bloody Empire”が畳みかけられ、待ちに待ったファンは完全に喰らってしまった様子。

圧巻だったのはDOUGENのフロントマンとしての貫禄だ。言葉を弄して働きかけたりすることなく、僅かなハンドジェスチャーのみで観客の心を掌握し、煽動してしまう。前2バンドとの対比として、いわゆる「信者感」のないファンが多いバンドであるにもかかわらず、だ。

約3カ月ぶりのライブとのことだが、そんなブランクを感じさせないくらいに新ドラマーのYU-TOが馴染んでいた。彼のドラミングは線が太く、どこか丸みや温かみもあるのだが、反して打音はやや硬質と、まだ掴み切れない魅力がある。以前は前任ドラマーとのスタイルの差に耳を傾けてしまったが、今夜はそんなことはなかった。

そして、中盤になってから徐々に感じてきたのはAKIRAのベースの音量が心なしか大きいこと。いつもは鋭角なツイン・リードが特徴的なTHOUSAND EYESの音が、どうもグルーヴィなのだ。その肝心のツイン・リードでは両ギターが泣きのメロディをハモらせることが多く、バッキング・ギターが不在の状況に陥りややサウンドに寂しさを感じさせることもなくはないのだが、この日はAKIRAのベースがいわば3本目のギターの役割を果たしており、ツイン・リードとグルーヴが融和することで格別の音像を作り出していた。きっと前方の、アンプ前で観ていたなら感じなかったことだろうから、後方で観ることを選択した自分を褒めたい気持だ。例えこの日限りの実験的なもの、もしくは偶然の賜物だったとしても、このスタイルは非常に良いフィールを作り出していると思った。

アンコールはお待ちかねの通称「バーンザスカイ」こと“One Thousand Eyes”。ボルテージは最高潮に達し、本編最後の“Rampage Tyrant”の時点で満腹だったメタル腹は胃もたれするほどだった。

THOUSAND EYESはライブだけ観れば漢らしいバンドに映るが、実は本人たちが掲げる文句「慟哭」の通り哀しみ、哀愁を内包しているバンドであるからして、この『TOKYO DARK FEST』復活版でトリを飾った理由は判然としていた。



現在運営側からは新たなアナウンスはないが、この日のチケットがソールドしていたことから見ても、来年の開催は望めるのでは、と思う。いや、心から望んでいる。

THOUSAND EYES - Day Of Salvation (OFFICIAL VIDEO)

pics by Ace Kudoh

今後のツアー日程

JILUKA

5周年記念ワンマンLIVE
「THE OUTIS」

【出演】JILUKA
【時間】開場17:30 / 開演18:00
【料金】前売¥4000(当日¥4500) ※別途ドリンク代
【チケット】
◎一般発売:2019年7月20日(土) 10:00〜
・チケットぴあ ● TEL:0570-02-9999(Pコード:155-849)● http://t.pia.jp/
・ローソンチケット ● TEL:0570-084-003(Lコード:74123)
https://l-tike.com/order/?gLcode=74123
・イープラス ● https://eplus.jp/sf/detail/2071750001-P0030011

ほか多数 詳細は http://www.jiluka-web.com/live まで

THOUSAND EYES

・2019/11/3(日)浜松Mescalin Drive

・2019/11/4(月)梅田amHALL
Soilwork Japan Tour 2019 サポートアクトとして出演

・2019/12/14(土)Shibuya Cyclone
THOUSAND EYES Presents BLOODY SALVATION Vol.2

詳細は https://thousand-eyes.com/live/ まで