夏のメロディック・メタル/パワー・メタルの祭典『Evoken Fest 2019』8月30日@渋谷 duo MUSIC EXCHANGE

Live Reports
夏のメロディック・メタル/パワー・メタルの祭典『Evoken Fest 2019』。その初日となる8月30日(金)の渋谷 duo Music Exchangeでの公演のレポート。

夏のメロディック・メタル/パワー・メタルの祭典『Evoken Fest 2019』。その初日となる8月30日(金)の渋谷 duo Music Exchangeに足を運んだ。これまでにも様々な「まだ見ぬ強豪」を招聘してきたこのフェス、毎年楽しみにしていたファンも多かったと思うが残念ながら招聘元であるEvoken de Valhall Productionが事業休止を発表したことで来年のフェスの開催がないことがアナウンスされている。ただ、廃業ではないので、事業復活の暁にはファンの皆が楽しみにしていたこのフェスが復活することを祈っている。

今年の『Evoken Fest 2019』のトップを飾ったのはVICTORIUS


会場に入るとこの日トップのVICTORIUSが既にステージにてパフォーマンス中。ジュラシック・パワー・メタル・バンドとの触れ込みのこのバンド、それだけならどんなゴツイ音を出すバンドなのかと構えてしまうファンもいるかと思うが、HELLOWEEN直系のメロディアスなパワー・メタル・サウンドで場内の反応は上々。少し甘めだがキャッチーでフックのあるサビとリフはかなり強みとなり、初見のファンもグイグイと引き付けている様にも見えた。

ラストはメタリックで爽快感溢れるメロディと共に駆け抜け、場内一体となるコーラスが高揚感を煽る“Metalheart”でフィニッシュ。曲名に絡めてメンバーはステージから手でハートマークを作り、ファンに満面の笑顔で感謝を伝えていた。メンバーに華があり、楽曲もプレイも良質だっただけに平日金曜日の17時のステージが惜しくも思えた。
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●VICTORIUS 2019年8月30日@渋谷 duo Music Exchange

01.Dinosaur Warfare
02.Legend of the Power Saurus
03.Razorblade Raptor
04.Hero
05.Empire of the Dragonking
06.Lazer Tooth Tiger
7.Starfire
8.Metalheart

ロシアからEPIDEMIAが奇跡の来日


シンフォニックなSEと共にロシアからやってきたEPIDEMIAのメンバーがステージに姿を現す。ネットが普及しているとはいえ、情報が日本に入ってこないロシアのヘヴィ・メタル・シーン。彼らはロシアではシーンを牽引している人気の高いバンドであるが、そういったバンドのライブをこの日本で体験出来るというのは大変貴重なことである。

オープニングはツイン・ギターのハモリが心地よい“Zvon Monet”でショウはスタート。続く“Chas ispytaniya”ではイントロが鳴った瞬間に黄色い声援が飛び、ステージのメンバーもその声に嬉しそうに笑顔を見せる。
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耳を引くのはサウンドのユニークさで、軸はクサめのメロディック・パワー・メタルなのだが、ロシア民謡を少し感じさせる哀愁エキスがジンワリと滲み出ていてそれが良い感じにアクセントになっている。ロシア語ならではの巻き舌節で情感を込めたなハイトーン・ヴォーカルも絶品。少しポップな“Zhizn'V Sumerkakh”、ヘヴィな縦ノリと泣きのメロディがユニークな“Vechniy Voitel'”とショウは続き、フロアの盛り上がりは右肩上がりだ。

ラストはメタリックな“Oskolki Proshlogo”でフィニッシュ。約30分のステージはこれからというところで終わってしまった感じもあり、まだまだ観たいという飢餓感がかなりあった。
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●EPIDEMIA 2019年8月30日@渋谷 duo Music Exchange

01.Zvon Monet(Звон монет)
02.Chas ispytaniya(Час испытания)
03.Zhizn'V Sumerkakh(жизнь в сумерках)
04.Vechniy Voitel'(Вечный воитель)
05.Oskolki Proshlogo(Осколки прошлого)

スウェーデンからBLOODBOUNDが待望の初来日


ステージにはダニエル・ショーグレン<ds>が既にスタンバイしている。SEと共に大きく手を広げドラム・スティックをクルっと回しファンを煽る。場内の期待感が高まっていく中メンバーがメロイック・サインと共に登場。スキンヘッドのパトリック・J・セレビー<vo>は頭にツノを生やし、右目付近には悪魔を彷彿させる特殊メイクをしている。

シンフォニックなイントロから一気にツー・バス連打と共に疾走していく“Battle in the Sky”でスタート、せっかくのギター・ソロは機材トラブルで音がカスレてしまったのが残念だったが、ストレートな楽曲で掴みはOKといった風の盛り上がりを見せる。大きく腕を振り上げ力強いドラミングがグイグイと曲を引っ張っていく“In the Name of Metal”では勇ましいコーラスが観ている者の血をたぎらせるようだ。
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パトリックがメロイック・サインを高く掲げる横で、アンダース・ブローマン<b>は首を扇風機の様にグルグル回しファンの目を引き付ける。フォーキッシュな“The Warlock’s Trail”では「ジャンプ!ジャンプ!」と陽気に会場を盛り上げ、弦楽器隊は3人並んでフォーメーション気味のアクションもバッチリとハマる。少しダークなメロディでエモーショナルな面を強調した“Moria”では先ほどの会場の雰囲気をガラっと変え、聴き入り熱気が静かに渦巻いている様子だ。

アニメ調のキラっとしたメロディで疾走していく“Dragons Are Forever”では投げキッスでファンに感謝の気持ちを表すパトリックにファンの手が伸びていく。更に煽れば演奏を上回るのではと錯覚させられるリアクションが返っていく。ドラゴン2連発となり更に場内をホットにさせた“Rise of the Dragon Empire”では縦ノリの強い明るいフォーク調のメロディに合わせてジャンプで盛り上がり、ステージ上では弦楽器隊がポジションを激しく入れ替えながら楽しそうに絡んでいる。
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パトリックが感謝の言葉を述べると鐘の音が鳴り響きメロウなメロディが場内を包む。上手からローブ姿の怪物がステージに現れる。ステージ中央にやってくるとパトリックはひざまずき、その怪物に祈りを捧げるように朗々と歌い始める。シンバルの音が大きくなると共に「Scream For NOSFERATU!」と叫ぶパトリックと共に“Nosferatu”が展開されていく。IRON MAIDEN調の力強さのある正統派色の強いサウンドがファンのハートを熱くさせる。泣きのツイン・ギターは更にドラマチックに曲を盛り上げ、最後は何度もファンに手を上げさせてBLOODBOUNDのショウは終演となった。

ラストにファンをバックに記念撮影をしたが、その時に先ほどの怪物がシャッターを切っていたのが少し可笑しかった。
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●BLOODBOUND 2019年8月30日@渋谷 duo Music Exchange

01. Bloodtale (SE)~Battle in the Sky
02. In the Name of Metal
03. The Warlock's Trail
04. Moria
05. Dragons Are Forever
06. Rise of the Dragon Empire
07. Nosferatu

23年ぶりの再来日公演 GRAVE DIGGERが貫録のパフォーマンス


トリ前に登場は23年ぶりの来日となるドイツの大ベテラン正統派メタル・バンドGRAVE DIGGER。80年代から活躍していることもあってか、ライブ前にはフロアのファン層が入れ替わった感もあった。壮大なSEが流れると待ってましたといった歓声と拍手が沸き起こり、ステージには彼らのイメージ・キャラクターと言っても過言ではない死神リーパーが姿を現す。SEにサイレンの音が被さるとパッチGジャンで武装した長身のクリス・ボルテンダール<vo>がステージに登場、「準備はいいか!」と何度も吠える。ズッシリとしたミドルテンポの“Healed By Metal”でショウはスタート。クリスはステージ際でファンに噛みつく様にシャウトし、硬派なヘヴィ・メタルは自然と握る拳に力が入る。

曲が終わるとファンは23年待ち続けた思いをぶつける様な大歓声でバンドを迎える。そんなフロアの大歓声に耳に手をやり「調子はどうだい?」とまんざらでもない表情を浮かべ「真のジャーマン・ヘヴィ・メタルを楽しんでくれ!」と煽ってからアクセル・リット<g>の白黒ストライプ・ギターが刻んだのは“Lionheart”のリフ、勇壮なメロディをまといながら疾走していくこの曲ではヘッドバンギングにエアギターと盛り上がるフロア。勇壮なコーラスでは場内一体となり、哀愁を滲ませるソロを弾いたアクセルは曲の終わりに宙を蹴り上げる。
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コッテリとした重量級ナンバー“The Clans Will Rise Again”、ケルト調のイントロからスピード・アップしていく“Highland Farewell”と熱は下がることなく盛り上がっていく。「時代をさかのぼって」と告げて始まったのはステージを赤く染めたメタリックな“The Dark of the Sun”で、曲の途中では崩れ落ちるように跪きアクセルはソロを弾く。起承転結のメリハリが利いてジワリジワリと盛り上がっていく“Circle of Witches”でステージから降りて最前列のファンとハイタッチしながらのパフォーマンスで盛り上げる。

「王様についての有名な曲だ」と告げるとそこかしこであの曲かと次々よその曲名が口に出される。勇壮なメロディで切り込んでいく“Excalibur”が始まると、曲に合わせて誇らしげに拳を挙げるファンに流れるようなギター・ソロが更に熱狂を煽る。曲終わりにはこの日一番と思えるGRAVE DIGGERコールが起こる中、クリスはメンバー紹介する。静かに“Rebellion (The Clans Are Marching)”のリフが刻まれると歓声が上がり自然と大きな拍手へと流れ、クリスのアカペラ・ヴォーカルが続いていく。次第にファンの声の方が大きくなり、それが頂点に達するとゴリゴリとしたメタル然とした本編へと突入、グッと圧も高まっていく。
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途中のバグパイプパートでは先ほどのリーパーがバグパイプと共に登場してファンの目を楽しませる。「もう1曲聴きたいか?」と始まったのは彼らのアンセムとも言える“Heavy Metal Breakdown”で、それまでの曲と表情が違い80年代の正統派色強い楽曲に古くからの彼らのファンと思われる人たちが大きな声を上げる。サビでは勿論拳を振り上げ、声高らかに叫ぶ。大股を広が歌うクリスの下では座り込みギターを弾くアクセル、そして寝そべりながらギター・ソロで見せ場を作っていく。一度曲が終わったと思わせ、コール&レスポンスで場内にガソリンを注ぎ込んでからもう一度盛り上がりを見せてショウはエンディングを迎えた。
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長い歴史のあるバンドなのであれこれ聴きたい曲もあり過ぎるのだが、限られた時間の中ではベストと言えるセレクトだったのではないだろうか。次は23年も待たせることなく再来日公演を望みたい。ヘヴィ・メタルのカタルシスに溢れた素晴らしいショウだった。
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●GRAVE DIGGER 2019年8月30日@渋谷 duo Music Exchange

01.Healed By Metal
02.Lionheart
03.The Clans Will Rise Again
04.Highland Farewell
05.The Dark Of The Sun
06.Circle Of Witches
07.Excalibur
08.Rebellion(The Clans Are Marching)
09.Heavy Metal Breakdown

GRAVE DIGGERからBurrn! onlineご覧の皆様へメッセージ

23年振りの来日公演を行ったGRAVE DIGGERからメッセージ

激しく楽しくALESTORMが『Evoken Fest 2019』初日の夜を燃え上がらせる


上手に設置された大きなアヒルの風船人形待ちで予定よりも遅れてのスタートとなったが、コミカルなSEが流れるとガラっと場内の雰囲気が変わる。陽気でファストな“Keelhauled”が始まると掴みはOKといった感じで盛り上がり、この日初と思われるモッシュも発生する。「コンバンワ、トーキョー!」と彼らのテーマ・ソングとも言える雄々しい“Alestorm”が始まるとバンドとファンのシンクロ率が高まり、「もっと声を上げろ!」とクリストファー・ボウズ<vo,key>が高らかに叫ぶ。

「ビールの歌だ!」と“The Sunk'n Norwegian”が始まると、場内は海外のビアガーデンに迷い込んだと錯覚させる様な陽気な空気に包まれ、エリオット・ヴァーノン<key>はグイっとビールを飲み干し鍵盤を操る。場内の雰囲気にモッシュも肩を組んでのものに変形していた。サビでは勿論「One More Drink!」と酔っ払い讃歌を声高らかに叫ぶ。続く“The Quest”ではそれまでの陽気な雰囲気を引き締めシリアスに勇ましく疾走していく。ギャレス・マードック<b>は足を大きく広げベースを操っている。エリオットのキーボード・ソロにも耳を奪われ、ラストはクリストファーがジャンプを決めてファンの喝采を浴びる。
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「スロウな曲は好きか?」と始まったのはドラマチックな“Nancy the Tavern Wench”では陽気なだけでない彼らの別の面を見せる。船のオールを漕ぐようなアクション (船漕ぎモッシュとかヴァイキング・モッシュとか海外では言われているらしい)で盛り上がっているファンも少なくない。そこから秒殺ナンバーの“Rumpelkombo”にメドレー式に流れ〆るところもかなりニクイ流れだ。

「戦いの準備はいいか?」とフォーク調で戦いを鼓舞するかの如き“1741 (The Battle of Cartagena)”ではもっと来いよとばかり胸を大きく叩くクリストファーがフロアを高揚させる。続く酔いどれソングは曲名もズバリの“Hangover”はタイオ・クルーズのカヴァーで、アゲアゲな原曲を更に陽気に盛り上げていく。ステージにはゲストでアコースティック・ギター奏者やサメのマスクを被った男が登場、後者はラップ調のヴォーカルを披露したと思ったらメンバーに噛みついたりとお祭りイメージを強めていた。彼らのクラシックであり正統派パワー/スラッシュ・メタル調の“Black Sails at Midnight”でアクセントを入れ、「ALESTORMとパーティしようぜ!」と“Mexico”で再びファンを躍らせ、最後にクリストファーが投げキッス。そんなステージには止むことのなく声援が飛んでいく。
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“Bar ünd Imbiss”では会場一体となりサビに合わせて宙に突き上げられた手が大きく右に左に揺れるシーンでは胸を熱くさせられた。本編ラストとなったのは“Captain Morgan's Revenge”で、クリストファーは「頭を振れ!」と硬派な曲に合わせて自ら頭を大きく振り煽っていく。曲が一度ブレイクすると、口に人差し指を当て場内を静かにさせる。そして「皆、飛べ!」と大ジャンプ大会で盛り上げていた。
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これで終わりじゃないとアンコールを求める歓声と拍手の中、メンバー紹介と共にステージに姿を現すALESTORMの面々。重厚感のあるリフと酔いどれ歌詞の対比がユニークな“Drink”がアンコールの1曲目、ステージではメンバーが楽しそうに激しく動き回り、クリストファーとマーテ・オドール<g>顔を見合わせてくるくると回り拳を振り上げて「ドリンク!ドリンク!」と叫んでいる。楽しい時間もあっという間でラストはルーズなノリでファンな雰囲気タップリな“Fucked With an Anchor”で、ファンもバンドも楽しく中指突き立て陽気に騒ぎ、最後に「ファックユー、ジャパン!」でパーティ・ナイトを締めくくった。
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●ALESTORM 2019年8月30日@渋谷 duo Music Exchange

01.Keelhauled
02.Alestorm
03.The Sunk'n Norwegian
04.The Quest
05.Nancy the Tavern Wench
06.Rumpelkombo
07.1741 (The Battle of Cartagena)
08.Hangover (Taio Cruz cover)
09.Black Sails at Midnight
10.Mexico
11.Bar ünd Imbiss
12.Captain Morgan's Revenge

Encore
13.Drink
14.Fucked With an Anchor

ALESTORMからBurrn! onlineご覧の皆様へメッセージ


時間だけ見れば長丁場のイベントであったが、出演バンドのバラエティ豊かさ、そしてそのどれもが好パフォーマンスだったこともあって、終わってみればあっという間に感じたEvoken Fest 2019の初日であった。

EXTRA公演となった9月1日の吉祥寺Club SEATA 公演へ続く。