SURVIVE、最新作『IMMORTAL WARRIORS』を携えツアー開始!

2019年3月5日 更新 ライブレポート
SURVIVE、最新作『IMMORTAL WARRIORS』を携えツアー開始!

2019年2月11日 東京・渋谷CYCLONE


生きていくことと、生き残っていくこと。このふたつは、同じようでいて異なっている。その違いはいったいどこにあるのか? ふと、そんなことを考えさせられる瞬間があった。去る2月11日、東京・渋谷CYCLONEでSURVIVEを観ていたときのことである。

この公演は、最新オリジナル・アルバム『IMMORTAL WARRIORS』を携えてのツアーの幕開けを飾るもの。実のところこの作品は昨年9月にリリースされており、さらに同月にはバンド始動20周年を記念しての、まさに集大成的ライヴも東京・渋谷Club Asiaで実施されている。普通に考えれば、実に10年ぶりのワンマン・ライヴとなった同公演を皮切りとしながら新作を引っさげて各地を巡演する、というのが一般的でわかりやすい展開ということになるだろう。が、彼らは敢えてそこで沈黙期間を設けることを選択したのだった。

国内外での密度濃いライヴ活動やそれに伴うさまざまな実務、尋常ではない集中力をもって完成されたアルバムの制作過程における消耗度の大きさを考えれば、不屈のSURVIVEにもしばしの休息が必要だったのか、と思わされる部分はある。正式ドラマーのポジションが空座となったままであることも、単発的なライヴならともかく本格的にツアーを展開していくうえでは不安材料のひとつに数えられたはずだ。

しかし結果的に見れば、約5ヵ月に及ぶその時間経過は、『IMMORTAL WARRIORS』という作品をSURVIVEと彼らの音楽を支持する者たちとの間で熟成させることになったのではないだろうか。新曲をいち早くライヴで堪能できることはファンにとって最上級の喜びのひとつであるはずだが、逆にそこで考える時間を与えられたことで、各々がこのアルバムを噛み砕き、自分なりの解釈というものを経たうえでこの日を迎えることになった。そんな空気が、同夜のCYCLONEのフロアにはあった。

肝心のSURVIVEのライヴ・パフォーマンスについて述べる前に、この夜のゲストに迎えられた3組について触れておきたい。まず一番手として登場したのは、期待度No.1の若手として注目を集めているHELL FREEZES OVER。彼らが充分に温めたフロアの温度をさらに上昇させたのは、日本を代表するMETALLICAのトリビュート・バンド、HATTALLICA。そして早くも一体感に包まれた客席を、三番手のIN FOR THE KILLが超弩級のサウンドで威圧する。各バンドの演奏時間はごくコンパクトなもので、「もっと観たい」という食い足りなさが残ったが、それは裏を返せばこの3組の起用がすべて正解だったということだろう。もちろん各バンドの持ち味はそれぞれに異なっている。が、共通するのは「本気度の高さ」ではないだろうか。それが感じられるからこそ、HELL FREEZES OVERは目上の世代からも共鳴を集め、HATTALLICAは「要するにコピー・バンドの延長だろ?」などと軽視されることがなく、IN FOR THE KILLは「日本の地下シーンにはこんなすごいバンドがいるのか!」という衝撃をもたらす。
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完璧なバランスで構築された揺るぎないバンド・サウンド


そんな3組のステージを経たところで、すでに腹八分目くらいの充足感を味わっていた観客は少なくないはずだし、実を言えば筆者自身にもそんな感覚があった。同時に、この流れを経て登場するSURVIVEが自らに課したハードルの高さをも実感させられた。こうなってくると、さすがのSURVIVEでもゲスト・バンドたちに“喰われる”ことになるかもしれない――IN FOR THE KILLの演奏終了後のインターヴァルの間、ふとそんな思いがよぎったことを認めておく。もちろんそれをこうして正直に明かすことができるのは、最後の最後に満を持して登場したSURVIVEのライヴが、まさしく強力無比なものだったからに他ならないのだが。

暗転した場内に流れるのは荘厳なオープニングSE。ステージの背景には『IMMORTAL WARRIORS』のアートワークが描かれたバックドロップが、両脇にはそれと同じ色調の燃えさかる炎を思わせるスクリーンが設置され、そこは戦地を思わせる情景と化す。悠然とした足取りで配置に着くメンバーたちのたたずまいは、まさしく戦士。そして彼らのショウは、最新作と同様に“Degenerate”で幕を開け、“Wrath”へと雪崩れ込んでいく。完璧なバランスで構築された揺るぎないバンド・サウンドが場内の空気を制圧し、その場に熱が渦巻くスピードを加速させていく。助走の時間を設けることなく最高潮から始まるそのステージは、そのまま攻撃の手を緩めることなく、むしろ興奮のピークを更新し続けるようにして進んでいく。

敢えてライヴではなく“ショウ”という言葉を使ったのは、彼らのステージが聴覚だけではなく視覚にも訴えるものだからだ。客席よりも高い場所で演奏する彼らは、着の身着のままの服装でそこに立つわけではない。棒立ちのまま音源に忠実な演奏の再現に専念するわけでもない。もちろん大掛かりな芝居がかった演出が用意されているわけではないが、ステージ上の彼らは常に完全武装であり、いつも良い意味で観衆の目を意識している。そして、そうしたパフォーマーとしてのプロフェッショナリズムが効力を発揮し得るのは、演奏面に不足するものがないからこそだということに気付かされる。
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SURVIVEの共鳴者たちを“Warriors”と呼ぶ


仮に彼らがステージ衣装然としたものを着用せず、ウォーペイントも施さずに、バックドロップすらないステージに立ち、棒立ちのまま演奏を聴かせるようなバンドだったとしても、僕は落胆を味わいはしないだろう。しかし、そうではないことがSURVIVEの強みのひとつであり、彼らが特別な存在たり得る理由なのだと僕は感じている。自分たちの素性や過去を知らない欧州の大観衆に向き合う機会を重ねながら育まれてきたショウマンシップの高さもまた、このバンドの大きな魅力であり、アイデンティティの一部だと言えるはずなのだ。

また、完全無欠ともいうべきバンド・サウンドを味わいながら実感させられたことのひとつに、今回のツアーでサポート・ドラマーとして起用されている土間りょうの貢献度の高さがある。ブルータルさとヘヴィネス、スピード感といったものがひとつでも損なわれるべきではない彼らのライヴにおいて必要なのは、どっしりと構えた重厚なドラミングよりも、むしろ彼のような若々しい感性によるスピードの解釈のあり方なのではないか、と僕には思えた。もちろん正解は他にもあるはずだが、NEMO (vo,g)、SINJILOW(b)、GAKU(g)の3人が繰り出す鉄壁のサウンドに絡むべきビートはそうした性質のものなのではないか、と実感させられた。

そして当然ながら、フロント3人の強靭さについては文句のつけようもない。彼らはこの夜も、本気で闘っていた。演奏することに必死になるのではなく、その場を自分たちの色で塗りつぶすことに全力を費やしていた。いや、実のところ彼ら自身には余力が充分にあったのだろうが、そこで余裕をかますのではなく、その空間内のすべてに目を配りながら、空気の流れを一瞬たりとも緩めることなくクロージングまでの時間を駆け抜けていった。

ほんの少しだけ、フロントマンのNEMOが穏やかな笑みを見せる瞬間があった。彼はステージ上からオーディエンスに語りかけるなかで、この夜のオープニングを務めたHELL FREEZES OVERが自分たちのファンを“Hellraisers”と呼んでいることについて触れ、SURVIVEの共鳴者たちを“Warriors”と呼ぶことにした、と告げたのだ。それはまさしく、彼がフロアにひしめく者たちを単なるリスナーではなく、同じ志を持った者同士として認めた場面だったのだと思う。

僕はライヴハウスでSURVIVEを観るたびに、毎回のように同じ錯覚を味わい続けている。自分がフロアの後方にいるにもかかわらず、背後に数千人単位の同志たちがいるような感覚になるのだ。それは、NEMOをはじめとするステージ上のウォリアーたちの視線が、常にライヴハウスの壁の向こうに広がる世界をも射抜いているからだろう。この『IMMORTAL WARRIORS』に伴うツアーはまだまだこの先も続いていくし、彼らの闘いはまだまだ終わるはずもない。この勇壮な物語がこれからどのように展開していくことになるのかが楽しみなところだが、その様子を指をくわえて眺めているのではなく、彼らが本気の闘いを繰り広げている場に一度でも多く足を運びたいところだし、共闘者たちのアンセムというべき“Immortal Warriors”の合唱の輪が広がっていくさまを体感したいものである。

安全な場所を確保しながら終焉までの時間を平穏に生き続けていくことではなく、闘い続け、自らの手で問題を解決し、共闘者を増やしながら生き残っていくこと。SURVIVEが自らの名のもとに実践しようとしているのは、まさにそれなのである。

Text by 増田勇一
Photo by Ko-ichi Mukoyama
SETLIST
01. Degenerate
02 .Wrath
03. Fuck Against Authority
04. L.M.W.O.L
05. In This Gray World
06. Shred 'Em All
07. Killing Field
08. Obey Your Own Army Corps
09. Rules Of Lies
10. Immortal Warriors
11. Blood And Sacrifice
Encore
12. Human Misery
13. Corruption
SURVIVE

SURVIVE

◆メンバー
NEMO (vo,g)
SINJILOW(b)
GAKU(g)
土間りょう(ds)※サポート