不屈の闘志、不滅のロックンロール魂 MICHAEL MONROE『SUMMER SONIC2019 DAY.1』

Live Reports
2019年8月16日(金)@幕張メッセ RAINBOW STAGE
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サマソニの前日、突如友人から「MICHAEL MONROEが下北沢のライブハウスでシークレットギグを行うらしい」との連絡を受けた。なんとELECTRIC EEL SHOCKのライブにスペシャルゲストとして出演するという。ELECTRIC EEL SHOCKといえば、MICHAEL MONROEのUKツアーのサポートを務めることがすでに発表されており、バンドの繋がりも深い。なるほど、明日に向けウォーミングアップ的に演奏するのだろう。この時点で開演の数時間前であったが、近所ということもあってわりと余裕で下北沢へ向かった。
3000円ほどでマイケルのステージを観ることが出来るなんて滅多にないことなのでたいへん嬉しい。結果的に最高のショウを堪能した。この日はミュージック・ビデオの撮影も行われるというサプライズもあった上に、たっぷり一時間以上も演奏してくれたのである。セットリストも最高で、サマソニのステージでは演奏しなかった“I Feel Alright”まで披露され、単独公演並みの充実したショウだった。気がつけば僕は最前近くで熱狂していたのだった。
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大興奮の一夜が明け、サマソニではフロアやや後方で待機し、じっくり観るつもりで身構えていた。
17時40分、RAINBOWステージにメンバーが登場する。SEはエンニオ・モリコーネ作『さすらいのガンマン』主題歌である。ちなみにSEの冒頭にはイタリア人歌手、Federico Scavoのナンバー“Balada”のイントロを一部使用しており、2曲を組み合わせている。
そして新曲“One Man Gang”からショウは開始した。

勢いよく飛び出してきたマイケル・モンロー<vo>は、いつものように忙しなくステージを動き回っている。彼の手にはアイドルのコンサートでよく使用されているペンライト、オタの間では“キンブレ”の愛称でお馴染みのアレが握られている。そういえば昨晩も持っていたのだが、ファンの誰かがプレゼントしたのだろうか。もしくは海外でもキンブレが売っているのだろうか。
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セットリストの頭3曲は新曲で、“One Man Gang”以外は初めて聴く人がほとんどだったはず。しかしキャッチーでわかりやすい、実にマイケルらしい安定のロックンロール・ナンバーだから、会場はすぐに盛り上がっていく。

マイケルの作る曲はどれも、彼の中にある“好き”を突き詰めたところにある。これまで数多くのカバー曲がレコーディングされており、彼の好みはファンもよくわかっている。だからわかりやすくて親しみやすく感じるのだろう。彼のロックンロールに対する造詣の深さは、現在に至るまでどの楽曲にも顕れている。

思えば僕はHANOI ROCKS及びMICHAEL MONROEによってロックのカッコ良さ、面白さ、楽しさなどを学んだ。アリス・クーパーもジョニー・サンダースもRAMONESもハノイのライブ・アルバムで知った。解散後にソロとなったマイケルがリリースした1stアルバム『Nights Are So Long』はカバーソング集で、これまたマニアックな楽曲が収録されており、西新宿でHEAVY METAL KIDSやFLAMIN' GROOVIESのレコードを探し回った。当時高校生の僕にとって、これはハードルの高い作業であったが、音楽を探求することの楽しさを知ることができた。マイケルは師匠のような存在である。
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続けて披露されたのは、2015年の『Blackout States』収録曲“Old King's Road”、続く“'78”は2011年の『Sensory Overdrive』収録曲。ここ数年のマイケル・モンロー率いる彼のバンドによる充実した楽曲はどれも素晴らしい。デビュー以来、彼が一度もブレることなくやり続けてきたロックへの想いが詰まっている。

やや後方で観ていたおかげで、わらわらと人が集まってくる様子も伺えた。僕のすぐ隣では若い女性がうっとりした表情でステージを注視している。確かにマイケルは今も変わらず美しく、華やかでキラキラしたオーラを放っている。男女年齢関係なく盛り上がれる普遍のロックンロールを歌っている。

皆が大好きなHANOI ROCKSの名曲“Don't You Ever Leave Me”で会場を和やかに一体化させ、DEMOLITION 23のキラーチューン二連発によってさらに会場を熱くさせていく。

ステージ上のマイケルはセットリストが進んでいくにつれ、より忙しなく動き回る。マイクを振り回し、スタンドを掲げ、ステージの端から端へと走っていく。さらにフロアへ降りてカメラピット内を疾走、柵に登ってまで歌うサービスぶりをみせる。後方で構えていたのに、マイケルがすぐ近くまで来て、僕の周囲にいた観客も大興奮となっていた。ちなみに、その都度マイクコードを捌いているローディさんは実に大変そうであったが、職人的な技で見事に切り抜けていた。

マイケルは時に扇子を振りかざし、何度も帽子を変えてみせる。柔軟な身体で見事な開脚も披露する。さらにはハーモニカやサックスも吹くのであるから、“忙しない”との表現は決して間違いではないだろう。ひたすらエネルギッシュなステージングに、我々はマイケルの動きから目が離せなくなってしまうのだ。HANOI ROCKSの人気ナンバー、“Malibu Beach Nightmare”によってフロアが沸点を超えていく。
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それにしてもマイケルは最高のバンドを作り上げたと思う。ここ数年は来る度に観に行っているのだが、いつもなんだか泣けてしまうのである。とくに演奏面において、現在のマイケル・モンロー・バンドは、あの奇跡のような全盛期のHANOI ROCKSにも匹敵するか、それ以上のバンドになったと感じている。

スティーブ・コンテ<g>の実力はもっと評価されてもいいはずだ。彼は菅野よう子が担当した『カウボーイ・ビバップ』のサントラにも参加するなど、マイケルのバンドに合流する前からNYで腕利きのミュージシャンとしてならしていた人物。盟友サミ・ヤッファ<b>はハノイ時代のイメージとは大きく変わって、いい塩梅に年を重ねた感じが本当にカッコいい。若いリッチ・ジョーンズ <g>とカール・ロックフィスト<dr>の奮闘ぶりも讃えたい。

ハノイ解散の原因も不運だったが、その後のマイケルは幾度もバンドを立ち上げては失敗を繰り返してきた。しかし彼は何度も立ち上がってきた不屈の男。そんな彼がようやくここまでのバンド築いた。古くからのファンはもう泣くしかない。

ラスト2曲はCCRのカバーでハノイ時代からのレパートリーである“Up Around The Bend”、オーラスは“Dead, Jail or Rock 'n' Roll”と畳み掛け場内を最高潮へ導いた。

最高のロックンロール・ショウを見せてくれたMICHAEL MONROE。年内にリリースされるはずである新作への期待がさらに高まった
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MICHAEL MONROE◆SETLIST
2019年8月16日(金)@幕張メッセ RAINBOW STAGE
01. One Man Gang
02. Last Train To Tokyo
03. Soul Surrender
04. Old King's Road
05. '78
06. Don't You Ever Leave Me
07. Nothin's Alright
08. Hammersmith Palais
09. Malibu Beach Nightmare
10. Up Around The Bend
11. Dead, Jail or Rock 'n' Roll

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