傑作「HUNTING TIME」完全再現&禁断の「森川vs坂本」詳細レポート ANTHEM『HUNTING TIME 30th Anniversary Live』8月3日@マイナビBLITZ赤坂

Live Reports
名盤「HUNTING TIME」のリリースから30周年を記念して、そしてこのアルバムのプロデューサーでもありANTHEMとの繋がりも非常に深かった今は亡きクリス・タンガリーディスへ捧げられた一夜。第一部はその「HUNTING TIME」完全再現ライブ、第二部は禁断とも言うべき『森川之雄vs坂本英三』で行われたこの日の公演を完全レポート。

“Running Blood”が終わり、一呼吸おいてから「『森川之雄vs坂本英三』を楽しんでいますか?」と柴田が言うやいなや、ファンからは喝采が巻き起こる。ここで坂本を呼び込み、二人のシンガーを並べ見ながら柴田が少し笑いを交えANTHEMの二人のシンガーについてコメントを述べていく。この対決に決着をつける必要はないんじゃないかとオーディエンスに問うと賛成といった大きな拍手がファンから起こる。その拍手は、今後の為にも勝負は引き分けとして、決着はもう少し先へとお預けにしようという柴田の言葉で歓声に変わる。

そうは言いつつも、この日の対決はまだ続いていく。そして勝負は第三ラウンドへと突入。第三ラウンドは同じ曲の中を二人がパートを分け合い歌うというツイン・ヴォーカル対決。森川が煽り、坂本のタイトル・コールから名曲中の名曲“Bound to Break”が始まる。シャウトを決めてから森川はステージ下手のお立ち台、坂本はステージ上手のお立ち台に立ち対決の舞台が整う。ステージ中央では柴田と清水がこの対決の立会人という様にそれぞれの愛機を操っている。1番を森川が熱唱すると負けじと坂本も2番をシャウトする、サビは両者がバチバチに火花を散らしながら一緒に歌い上げる。中央に二人が並びファンを煽り、時に向かい合い、時に肩を組みシャウトを決めるシーンは背中をゾクゾクさせられる様なカッコよさだった。そんな二人のバチバチぶりを目の前に、俺も負けられないといった凄まじいソロを決めてくる。勿論、柴田と田丸の鉄壁のリズム隊の髪を振り乱してのプレイはいつも以上に燃えている感じだ。

この対決もあっという間に最終ラウンドを迎え、「アツイアツイ毒をぶちかますぜ!」と森川が“Venom Strike”とコールする。この曲ではさっきとは逆に坂本が1番を熱唱し、2番を森川がシャウトする。サビでは向かい合いながらシャウト、ファンは激しいヘッドバンギングでこの対決を楽しんでいる。森川がそんなファンを煽れば、坂本は激しいドラミングの田丸に負け時とヘッドバンギング。清水は歯を食いしばる様に感情をむき出しながらギターを弾きまくり、柴田はベースを高く突き上げていつも以上にアグレッシブなプレイを披露する。ステージのどこに目をやっていいのか分からない位の熱演が展開された。最後はステージ上手のお立ち台に立った坂本と下手のお立ち台に立った森川が向かい合いながらシャウトの交換で『森川之雄vs坂本英三』は終了となった。
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いつまでも鳴りやまぬこの日一番の拍手と歓声に応えるべく、再びステージに姿を現すANTHEMのメンバー。柴田が「HUNTING TIME」とクリスへの思いを語る。そして、この日のショウが作品になるかもとサプライズが告げられる。続いてこの日のゲスト・ミュージシャンをステージに呼びこみ、クリスに捧げる意味でクリスが作詞した“Show Must Go On!”が力強く始まる。森川も坂本も、田丸と大内も共演モードでツイン・ヴォーカル、ツイン・ドラム。それにYUHKIも加わってまさに『SUPER ANTHEM』とも言うべき贅沢なメンバーでのプレイをファンも心の底から楽しんでいる。サビでは会場一体となり盛り上がっていく。

そして、忘れがたき素晴らしい一夜の最後にプレイされたのは必殺の“Wild Anthem”。この豪華な一夜を締めくくるに相応しい曲で、ステージでは“これぞまさに特別な一夜”と言っても過言ではない程のいくつもの名場面が繰り広げられていた。スペシャルな夜もこれで終わり、楽しい時間は何と早く過ぎてしまうことか。そんな思いはいつまでも鳴りやまないファンの歓声と拍手に現れている様だった。曲の終わりに叩ききったぜとばかりにスティックを後ろに高く放り投げた田丸、それがこの日の象徴にも見えた。
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この日のショウを見て感じたのは、やはり柴田直人の持つカリスマ性と、見事な統率力だった。これだけの内容を見事にまとめあげ、しかも完璧なメタル・ショウとして成立させてしまうあたりは、さすがとしか言いようがない。

また、ショウを通して特筆すべきだったのは森川と田丸の意地だった様に感じる。ともすると坂本と大内にフォーカスが集まりがちなこのステージに立つということでプレッシャーを感じていたとも思う。勝ち負けを超えて、今の俺がANTHEMなのだという気概が両者のプレイからビシビシ伝わってきたし、それが何度も魂を揺さぶってもきた。勿論、柴田や清水がこの日にかけた思いも、鬼気迫るプレイから強く感じられた。今のANTHEMの活動が充実しているからこそ、こういった特別な企画も実現が可能なのだろうと帰り道で噛みしめていた。

本当に素晴らしい一夜だった、その一言以外に言葉は見つからない。
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そして、ANTHEMの戦いはまだまだ続いていく。満員御礼のマイナビBLITZ赤坂の次は、伝説の超接近戦「LIVE CIRCUS vol.4」。果たしてANTHEMは、この10公演でどんなドラマを、どんな表情を我々に観せてくれるのだろうか?

ぜひ注目して欲しい!

Text by別府“VEPPY”伸朗
Photo by MAMORU SUZUKI

次のページではこの日のセットリストと「LIVE CIRCUS vol.4」の詳細について掲載!

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