傑作「HUNTING TIME」完全再現&禁断の「森川vs坂本」詳細レポート ANTHEM『HUNTING TIME 30th Anniversary Live』8月3日@マイナビBLITZ赤坂

Live Reports
名盤「HUNTING TIME」のリリースから30周年を記念して、そしてこのアルバムのプロデューサーでもありANTHEMとの繋がりも非常に深かった今は亡きクリス・タンガリーディスへ捧げられた一夜。第一部はその「HUNTING TIME」完全再現ライブ、第二部は禁断とも言うべき『森川之雄vs坂本英三』で行われたこの日の公演を完全レポート。

第二部は禁断とも言うべき『森川之雄vs坂本英三』


第一部が終了してかなりお腹いっぱいな感じもあったが、更にここからは禁断の『森川之雄vs坂本英三』が待っている。ANTHEMファンにとってはなんと贅沢な夜なのだろうか。合間の休憩時間は、お互いどんな曲やるのかといった感じで第二部への期待が言葉となってファンの間で交わされていた。そんな緊張感あふれるザワつきの中、開始のゴング代わりに突如田丸のドラム・フィルを合図に演奏が鳴り響く。同時に緞帳が開いていき第二部は開始された。見ると、第一部のの深紅の世界と打って変わって、ステージはストロングな黒一色の世界に転換されていた。

「森川之雄vs坂本英三、行くぜ」と柴田が告げると、待ちきれないといったファンの大きな期待が大きな歓声へと変換される。そして流れてきたメロディは“Shine On”、2014年に坂本が再脱退して森川が再加入してリリースされたアルバム「ABSOLUTE WORLD」からの代表的な楽曲だ。ステージに駆け込み、マイク・スタンドを握りシャウトする坂本。あと少しANTHEMに坂本が在籍していたらこの曲を歌っていたのかもしれないと思うとオープニングから興味深い選曲であるし、いくつもの『もし』も頭に浮かんでいく。こういった表現が合っているのかANTHEMファンからお叱りを受けるかもしれないが、情感と哀愁を込めての森川の歌唱と違ったアツさを溶け込ませての坂本の歌唱が、珠玉の楽曲と一体となり雰囲気を醸し出す。哀愁とキャッチーさが絶妙なバランスの“Far Away”でも『もし』の世界は続いていく。何とも言えない不思議な感覚で見ていたのだが、坂本の歌うこれらの曲をANTHEMの演奏陣がどう感じながらプレイしていたのかを考えるとこれまた興味深い。とにかく禁断の果実の何と甘美なことか!ファンの声援に一礼してステージを去る坂本。
坂本英三<vo>※ゲスト・プレイヤー、ex ANTHEM

坂本英三<vo>※ゲスト・プレイヤー、ex ANTHEM


坂本への歓声と拍手を打ち破る様にドラマチックな“Overtune”がSEとして鳴り響き、ブルーのライトの中柴田が両手を突き上げる。清水のギターが“On And On”のリフを刻むと森川がステージに登場する。深くキャップを被った森川の表情は伺えないが、体全体から物凄い気合のオーラを発している様に見える。そんな森川に向かって怒号にも似た大きな歓声が覆い被さっていく。森川の現メンバーとしての誇りが艶のある情感となって曲の表情を見事なまでに変えていく。ここでもいくつもの『もし』が頭に浮かんでは消えていく。気合タップリの森川がもっとかかって来いよとファンを煽ると、いくつもの拳が森川に向けられる。

もっと行こうぜと森川がファンにガソリンをタップリと注ぐとヘヴィなミドル・ナンバー“Demon's Ride”が始まる。ダークさとパワフルさを見事に加えながら森川がこの曲をしっかりと自分の色に染め上げていく。森川がドラムライザーに立ちどうだとばかり右手を突き上げると、ライトが眩しくステージを包んで『森川之雄vs坂本英三』の第一ラウンドが終了。

柴田は「やらなきゃよかったと言われないように頑張ってくれよ」と森川に語りかけながらファンの笑いと歓声を誘い、この対決への経緯や思いを語る。最後にはANTHEMとして頑張ることを決意表明しながら、いつかはMICHAEL SCHENKER FESTみたいにツアーでもするかなと冗談交じりに語る。その話の流れから坂本を呼び込んで森川とのファッションの違いで笑いを取る。また、森川と坂本にそれぞれの曲を歌ってどうかという感想を訊いていたが、これもファンは聞き逃せないものだったろう。この様なトークを含め、特別な一夜をファンに楽しんでもらう為に、やはりすべては柴田によって計算しつくされているのだと感じる事ができる。そして対決は第二ラウンドへと突入していく。
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第二ラウンドの鐘を鳴らしたのは切なさと美しさが交差するバラード調の“Love of Hell”。森川に比べて昭和歌謡的な味付けがされているのが坂本流といったところか。ファンはその歌声に耳を傾けている。対決とは別だが清水の哀愁が零れ落ちそうなギターも絶品だった。坂本の声が消えていくのと反比例して大きな歓声と拍手が沸き起こる。そんな場内に感謝の言葉を述べて、ブチ切れナンバーを用意してきたと煽り、「田丸、カモン!」とシャウト一発決めてANTHEMらしいメロディと共に力強く“Pain”が疾走していく。ステージ上手に下手にと煽る坂本を後押しする様にいくつもの手が振り上げられる。坂本は右手人差し指を突き上げながらサビを歌い、アツいベースを弾く柴田に応える様に柴田に向かってひざまずきながらシャウトを決める。ここでまたステージを去る坂本を大きな拍手が送り出し、柴田が森川をステージに呼び込む。

まだまだ戦いは続くと柴田が煽ると「バリバリ行きますよ、よろしく」と森川も気合を見せる。「英三が“Love of Hell”を歌うなら俺はこの曲を送ります。“Walk Through the Night”」と森川が曲名を告げると、その曲を歌うのかというどよめきと期待交じりの歓声が沸き起こる。白色のライトが客席やフロアを舐める中、少し陰あるメロディを情感豊かで森川の声がフロアの隅にまで染みわたっていく。マイク・スタンド片手に少しうつむき加減で透明感あるメロディ・ラインを気持ち良さそうに少し体を揺らしながらの熱唱は心の奥を静かに揺さぶっていく。名演に酔いしれたフロアに喝を入れる様に「腐った魂、蹴り上げていくぞ!」と森川が叫び“Running Blood”がぶちかまされる。カモンとファンを煽り、大きなアクションと力強い声で魅了していく森川。そんな森川に引っ張られる様に会場を埋め尽くしたファンが一体となって盛り上がっていく。
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