傑作「HUNTING TIME」完全再現&禁断の「森川vs坂本」詳細レポート ANTHEM『HUNTING TIME 30th Anniversary Live』8月3日@マイナビBLITZ赤坂

Live Reports
名盤「HUNTING TIME」のリリースから30周年を記念して、そしてこのアルバムのプロデューサーでもありANTHEMとの繋がりも非常に深かった今は亡きクリス・タンガリーディスへ捧げられた一夜。第一部はその「HUNTING TIME」完全再現ライブ、第二部は禁断とも言うべき『森川之雄vs坂本英三』で行われたこの日の公演を完全レポート。

第一部はクリス・タンガリーディスへ捧げる「HUNTING TIME」完全再現ライブ


ANTHEMの名盤誉れ高い「HUNTING TIME」のリリースから30周年を記念して、このアルバムのプロデューサーでもありANTHEMとの繋がりも非常に深かった今は亡きクリス・タンガリーディスへ捧げるライブとして行われたこの日の公演。第一部の『HUNTING TIME完全再現ライブ』だけでもファンにとってはたまらない夜だが、第二部は『森川之雄vs坂本英三』と、これまた興味深いライブとなっていた。しかも第二部は坂本時代の曲を森川之雄が、森川時代の曲を坂本英三が歌うという禁断とも言える内容で、選曲はファン投票を受けてというもの。当然ファンの注目度も高く、チケットはSOLD OUTとなり会場には多くのANTHEMファンが集結していた。
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ANTHEM『HUNTING TIME 30th Anniversary Live』


物販の先行販売もあり会場にANTHEMファンが少しずつ集まってきていた頃、丁度ANTHEMのサウンド・チェックが始まっていた。ANTHEMのご厚意によりサウンド・チェックから会場内にお邪魔させていただいたのだが、私が会場入りした時は、この日ゲスト・ドラマーとして出演がアナウンスされていた元メンバーMAD大内こと大内貴雅<ds>のチェックが丁度終わろうかというところであった。リーダーの柴田直人<b>は現ドラマーである田丸勇<ds>に向かって「どうだ、マッドのドラムは?」とニヤリとしながら言葉を投げかける。

既にこのサウンド・チェックの時点で、柴田によってゲスト・ミュージシャンとANTHEMメンバーとのバチバチは演出され始めているように見えた。柴田は自分のベースのチェックだけでなく、時に腕を組み、時に集中して目を閉じて、全てを一つ一つ細かなところまでチェックしていく。例えばSE一つ取っても、その音量、音質、そしてタイミングに至るまで実に念入りに秒単位近くまでチェックし、彼のイメージしているであろう演出と照らし合わせるように確認していく。その言葉は対寧ながらも柴田の鋭い指示がメンバーやスタッフに飛ぶと、ピリッとした空気がステージに流れていく。妥協なき姿勢のANTHEM、既にサウンド・チェックから戦いが始まっていることをはっきりと感じた。

このライブを完全なものにする為に、サウンド・チェックに用意されてした時間はあっという間に過ぎてしまったが、スペシャルな夜を心からファンの人たちに楽しんで貰うために一切妥協したくない思いがあったからだろう。それによって会場時間が少し遅れてしまったが、その裏ではANTHEMのメンバーやスタッフの本当にギリギリの戦いもあったのだ。
柴田直人&lt;b&gt;

柴田直人<b>

森川之雄&lt;vo&gt;

森川之雄<vo>


ファンで満員となっている会場には様々なハード・ロックやヘヴィ・メタルの名曲達がBGMとして流れていた。それがANTHEMの登場を告げるBLACK SABBATHの“Heaven And Hell”に変わると待ってましたとばかりに大きな歓声と拍手が会場を包む。緞帳が開くと更に歓声は大きくなり、勇壮なSEと共にまず田丸勇<ds>がゆっくりとステージに姿を現す。清水昭男<g>、柴田直人<b>、森川之雄<vo>、ゲスト・プレイヤーのYUHKI<key>がステージに登場し役者がステージに揃った。他のメンバーが黒で決める中、柴田は白で統一した衣装で決めている。

右手を突き上げた森川が「ANTHEM、HUNTING TIME完全再現いくぞ」とシャウトすると“The Juggler”のイントロが流れ出す。完全再現なのでこの曲がオープニングであるのも予め分かっているのだが、あのイントロが流れるとどうにも興奮してしまう。そして空気をビリビリと震わせるような爆音にも関わらず、音の粒がクッキリと感じられる程クリアなことに驚愕する。ステージは「HUNTING TIME」のイメージとも言うべき深紅で統一され、アンプ前の幕にはアルバム・ジャケットと同じくチェスの駒が描かれている。

曲が終わると一瞬の暗転があり、柴田のベースから静かに次曲のイントロが始まった。ANTHEMの、いや日本のヘヴィ・メタル史上最強の名曲と言っても過言ではない“Hunting Time”だ。オープニングの静寂を切り裂く様に森川のシャウトを合図に曲が疾走していくと、多くのファンが拳を握り歓声を上げる。魂を揺さぶる様な印象的なギター・ソロを清水が披露すれば、森川は体を前のめりにして魂を絞り出す様なシャウトを決める。柴田は髪を揺らしグッと口を結び、田丸と共に重厚なボトムを作り上げている。曲が終わり、森川が「サンキュー」と言うと地響きの様な歓声が会場を支配した。名曲にして名演、会場の多くのファンが酔いしれていたことがこの歓声から十分に伝わってくる。
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清水昭男<g>

田丸勇&lt;ds&gt;

田丸勇<ds>


いつまでも鳴りやまない歓声と拍手の中、柴田が口を開く。この日のライブが会場のファンだけでなくクリス・タンガリーディスに捧げられていることを告げ、今回のライブに関してのクリスの奥さんとのメールのやり取りの内容を話す。「クリスもそろそろ来るんじゃないかなぁ…」と言って会場を見渡してから、拍手の中ゲスト・プレイヤーのYUHKIを紹介する。そして、当時のレコーディングの話を交えながらゲスト・ドラマーのMAD大内を呼び入れるとまたも大きな拍手が沸き起こる。

森川が「ガンガン飛ばしていくぜ」と煽ってから、大内のシンバル・カウントを合図に“Evil Touch”が解き放たれる。スラッシュ・メタルばりのアグレッションを内包した曲で大内は何かを叫ぶように大きく口を開けながらMADのMADたる由縁のラウドでワイルドなドラミングを披露する。柴田、森川、清水のパフォーマンスも凄まじく、グングンとステージの熱が上がっていく様に思えた。火花散るパフォーマンスの後、清水にライトが当り“Tears for the Lovers”の美しく悲しいメロディが紡ぎ出される。熱気が渦巻くステージをクール・ダウンする様に冷たく薄いブルーのライトが照らす中、森川の情感を込めた歌が聴く者のハートを優しくしっとりと包み込んでいく。
MAD大内&lt;ds&gt;※ゲスト・プレイヤー、ex ANTHEM

MAD大内<ds>※ゲスト・プレイヤー、ex ANTHEM

YUHKI&lt;key&gt;※ゲスト・プレイヤー

YUHKI<key>※ゲスト・プレイヤー

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