帝王が聖地に降臨、伝説は再び動き出す SABBRABELLS@埼玉会館

Live Reports
昨年、7月に高橋喜一<Vo>が復帰し、『HEADSTRONG FES.18』にて衝撃的な復活を果たしたSABBRABELLS。彼らの聖地・埼玉会館で行ったワンマン公演を徹底レポート。
かつて“埼玉の帝王”と呼ばれた伝説のロック・バンド、SABBRABELLSが、彼らの聖地とも言える埼玉会館でワンマン・ライブを行った。

当日、会場最寄りの浦和駅から埼玉会館までの道を多くのメタル・ファンが、見事なまでにSABBRABELLSのシャツに身を包んだ多くのファンが、期待に胸を膨らませながら会場までの道のりを歩いていた。

場内に入ると、ステージでは忙しそうに動くスタッフの姿があり、悪魔の姿が描かれたバックドロップと、三段積みのマーシャルが我々を出迎える。

定刻17時ジャスト、ライトの当たらないステージにメンバーが姿を現した。セッティング中であるが、場内には緊張感とザワザワした独特な空気が広がっていく。流れていたBGMが消え、あの伝説の1stアルバム『SABBRABELLS』オープニングである鐘の音が場内に響くと、怒号にも似た歓声が上がる。そこに荘厳なキリエ・エレイソンが重なり、歓声は拍手へと変わる。
ちなみに、この登場のSEはSABBRABELLS復活ライブから使用しているのだが、その時、ヴォーカルを務めていたDIOKENが作成したという。

SEが終わると同時に、メタリックで切れ味鋭いリフが空間を引き裂き、“Metal Saber”からショウは開始した。
松川純一郎&lt;G&gt;

松川純一郎<G>

佐野博之&lt;G&gt;

佐野博之<G>

白色ライトの眩しいステージに、いくつものメロイック・サインが向けられ、日本で一番メロイック・サインが似合う男、高橋喜一<vo>が、右手を誇らしげに示しながら登場した。
サビでシャウト一発、右手人差し指を突き上げ、後ろに下がると松川純一郎<g>のソロが炸裂する。他のメンバーが黒で決めた中、ハットを被り白いシャツの松川が手にする愛機のギターも白であった。あの悪魔のイラストが入ったファンにはお馴染みのものだ。松川の後ろでは悪ガキの様な、そして本当に楽しそうな顔をした高橋がSABBRABELLSのステージを楽しんでいる。

ライトがブルーに変わり、間髪入れずに“Wolfman”が始まると、松川は体を前後に揺らし、佐野博之<g>は足を大きく開き、時折拳を力いっぱい握りしめながら、メロディを奏でる。ツイン・ギターの掛け合いも絶品であり、メンバーが一丸となってSABBRABELLSの世界を作り上げていく。
4筋のライトが差すステージで、マイク・スタンドを高く掲げ熱唱する高橋、曲の終わりには両手を大きく広げ、ファンのパワーを全身で受け止めている様に見えた。
宮尾敬一&lt;B&gt;

宮尾敬一<B>

高橋喜一&lt;Vo&gt;

高橋喜一<Vo>

関口文一&lt;Dr&gt;

関口文一<Dr>

「昔、一人の男のせいで多くのヤツが死んだことがあった、そいつの曲」と、オールドファンにはグッとくる口上から“Cold Bloody Man”。
不気味な薄いレッド・ライトのステージからヘヴィなリズムで観客の体を自然と揺らす。関口文一<ds>と宮尾敬一<b>のリズム隊が楽曲を引き立たせる。ショウの途中まで完全に忘れていたが、宮尾は回復してきていたとはいえ、足を骨折してのパフォーマンスであった。この曲での松川と佐野の泣き泣きのツイン・ギター・ソロに聴き惚れたファンも多かっただろう。ステージの端前までギリギリに出てきてその世界を表現した高橋は、最後に両手を大きく広げた後に右手で高く誇らしげにメロイック・サインを作り、そのまま跪いた。彼の一挙手一投足に目を奪われた観客は、SABBRABELLSの世界へと一気に引きずり込まれる。

曲が終わり大歓声と拍手の中、高橋が口を開く。
「会いたかったぜ!今日は俺達のワンマン・ライブにようこそ!」と、感謝の言葉によって、ファンの気持ちを盛り上げる。

そして、この日のライブに至った経緯を話す。
「感謝の意味を込めて、このバンドを産んだここ浦和でみんなに会えたわけです」
彼の言葉が、かき消されるくらい大きな拍手と歓声が巻き起こる。
高橋が「喜んでばかりはいられない。氷は溶け、オゾン層には穴が開いている」と口にする。
「サタニック」「ドラマチック」いった面が強調されるSABBRABELLSであるが、実はその裏にはシリアスな一面も隠されている。
「俺たちはそういったヤバイことも皆に伝えられたら」と口にすると、ヘヴィな“破壊”のリフが刻まれた。この曲でのパフォーマンスは神が、いや、死神が憑りついた様な凄まじいもので、私は終始鳥肌を立てながら観ていた。高橋の表現する世界、メッセージ性の強い言葉の一言一言が心の奥にグサリと突き刺さり、関口のパワフルでヘヴィなドラミングがまるでハンマーの様に頭蓋骨を揺らす。松川のギター・ソロも絶品で、魔力を込めるかのごとく、高橋がアクションを決めていく。前半戦のクライマックスとも言っていいパフォーマンスだった。
 (13040)

「ここらで一発かましていきましょう! ヘヴィ・メタルだ何だって言ったって、結局ロックンロールなわけですよ」と、ノリが良くキャッチーな“Running My Way”。松川はクルっとターンをキメると、佐野は曲に合わせて大きく開いた足でリズムを取る。クールな松川と熱情的な佐野の対比、それもSABBRABELLSの魅力のひとつでもある。関口のバス・ドラムに合わせて自然と手拍子が起こり、佐野も宮尾も手拍子で更に後押しする。その手拍子の中、「ヘイヘイヘイ、マイ・マシーン!」と高橋はバイクにまたがった様なポーズでアクセルを吹かすアクションを決める。松川は愛機を操りバイクのエグゾースト音を出してから“Hell’s Rider”へとメドレー形式で繋ぎ、ヘヴィで豪快なリズムが再び会場を揺らしていく。
目を閉じると広大なアメリカの大地を走るハーレーの姿が目に浮かぶ。マイク・スタンドを手に跪きシャウトする横で佐野はネックを立てポーズをキメている。それらすべてがSABBRABELLSであった。高橋がサビでマイクを向けると、ファンも嬉しそうに全力で返す。

「この世界、ダークネス・ワールド」と3rdアルバム『ONE NIGHT MAGIC』収録の名曲“Darkness World”。クセが強くドラマチックな展開、高橋喜一独特の世界全開な歌詞、そこに絡むメロディアスなギター。どれもがSABBRABELLSにしか作り上げられない唯一無二の世界を表現している。特にこの曲での松川の煽情的なギター・ソロは絶品で、煽るように高橋は松川のギターに向かって右手を切り、メロイック・サインの両手をクロスする。曲の終わりに高橋がロング・シャウトをキメ、再びメロイック・サインで〆るまで、その世界に憑りつかれてしまう。
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高橋は深々と一礼して感謝の気持ち、今でもヘヴィ・メタルを愛し聴いていることを告げると場内から「同じだよ」といった感じで拍手が沸き起こる。昔話で笑いを誘いながらSAXONを聴いていたことを告げ、「奴らが胸に付けていたのは…」とのMCから繰り出されたのは、彼らへのリスペクトが込められた“Hawk Emblem”。パワフルな疾走系ナンバーで、先のMCもあってかSAXONのエキスをタップリと感じさせる楽曲である。高橋は鷹が羽ばたくアクションを見せ、歌の世界を広げていく。

ブルースも聴いていたという高橋のMCから話は続き、笑いも交えながら「空を見ながら、全国をツアーする前だったけど、この空の下にいる人たちに俺達の音楽を届けられたらいいな」、そんなことを思っていた時に出来た曲であると、“束縛”が紹介される。佐野はドラム・セットに座り、ブルース風にジャムりながら静かに曲に入っていった。ステージにはライトに照らされたメンバーのシルエットだけが浮かぶ。曲が盛り上がっていくと同時にステージが明るくなり、熱演するメンバーの表情も鮮明になっていく。
現在はブルース・ギタリストとしても活躍している松川のギターが空間に溶け込んでいく様で、心に染み入る。佐野は自らのギターの音に合わせる様に表情を作る。独特なハイトーン・ヴォイスが武器に思える高橋だが、実はこういったメロウな曲での表現力も絶品であり、何を言ってもチープに感じる程、パフォーマンスは凄まじかった。万雷の拍手が何よりの証拠だったと思う。

「やばい夢を見て金縛りにあって、写る俺の姿が鏡に」と、“鏡張りの部屋”が不気味に始まる。リズムに合わせ場内からは自然に「オイオイ」と歓声が湧き上がる。高橋、松川は両手で煽り、佐野はファンと一緒に口を動かす。“ダークネス&ヘヴィネス”という彼らのキャッチコピーそのままの世界を表現した名曲だ。
高橋がフロアにマイクを向けるとファンは声を張り上げサビを歌い、戻した高橋はマイク・スタンドを横に構えシャウトを決める。椅子に座って熱演している宮尾に寄り添う様に佐野が隣で楽しそうに演奏。曲の最後のコーラスではいくつものメロイック・サインがステージに向けられ、バンドは演奏を止めて会場はファンの大コーラスを支配する。それらを体全体で受け止めるステージ上のSABBRABELLS。高橋のシャウトから再び曲が始まる。それまでクールに演奏していた松川だったが、ファンの姿にアツくさせられたのか、印を切る様なアクションをしながら愛機を操る。
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曲が終わると、「次はお前の番だよ」とばかりにコーラス・マイクを松川の前に向ける高橋。松川はちょっと照れ臭そうに感謝の言葉を述べ、「キイチ、すげぇな」。そのまま高橋とメタル愛、昔話、ファンへの感謝を話していく。何気ないシーンなのかもしれないが、SABBRABELLSのことを昔から追いかけているコアなファンならグッとくるシーンではなかったか。「ちょと時間を貰っていい?」と、松川の言葉からメンバー紹介が開始。

宮尾は杖を手にエア・ギター、関口は両手を振り一礼と紹介されていったが、佐野が紹介されていた時にボンベから酸素を吸っていたのだが、それを見て「シ●ナー」と茶化されていたのが可笑しくてたまらなかった。そして、天国から見ていると今は亡き元メンバー、石橋茂雄<ds>も紹介された。

「珍しい曲をやりたい」と告げ、「11月にヤバイ夢を見て…」と始まったのは“November’s Mystery”。宮尾のヘヴィで歪んだベース・ソロから再びSABBRABELLSの世界が広がっていく。数ある楽曲の中でもクセの強い不思議な浮遊感とメロディラインを持った曲で、彼らの懐の深さを感じさせる。松川と違う世界観を表現する佐野のギター・ソロが見せ場の楽曲。宮尾のベース・ラインも絶品である。

ステージが暗転し、ストロボ・ライトが発光、雨音と雷のSEが流れる。高橋がストーリーを語り、メロディアスでヘヴィなギターの音が鳴ると雨音をかき消して“Water Night”。大きく体を揺らし、長髪を揺らす高橋がSABBRABELLSの言葉を言霊として発していく。この独特な歌詞、むせび泣くギターから展開していく世界に言葉も出ない。佐野はアンプの前でギターのネックを立てている。美しくもどこか悲しく、静かに盛り上がっていく楽曲に、ファンはうっとりと聴き入り、魂を抜かれる。ステージはまるで雨に濡れた様に薄いブルーのライトに包まれていた。
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「次が最後の曲です」と高橋が告げると、場内からは「エエー」という声が上がる。「ウソでしょ!」と声を上げるファンもいた。「それが本当なんだよ」と高橋は切り返し、笑いを誘う。私ももうそんな時間かと思ったが、この時点で軽く1時間を超えていた。それだけSABBRABELLSの世界に飲み込まれていたのだろうし、場内のファンも一緒だったはずだ。

「空が2つに割れてるぜ!空襲警報のサイレンが聞こえてくる」と言えば、“あの曲か!”とファンが盛り上がる。
空襲警報のサイレンが鳴り響き、高橋は飛行機の様に両手を広げ、松川と並んで上を見上げる。勿論、あのセリフも忘れない。「空を見ろ!」と右手人差し指を突き上げると、ファンも一斉に対空砲火の様に手を突き上げる。関口のドラムを合図にメロディアスなギターが鳴り、ドラマチックな“Dog Fight”が始まった。
熱唱する高橋の後ろで、弦楽器隊がフォーメーションをキメる。時折椅子に座ってベースを弾いていた宮尾だったが、この時は立ち上がりリズムを刻んでいたが、それを励ます様に佐野が寄り添い、二人並んでいる光景も感動的である。中間部、高橋は再び両手を広げ飛行機が飛んでいるアクションをしながら、あのセリフ、そして松川の飛行機の旋回音を思わせるギターからソロに流れていく。松川は上手に、佐野は下手のステージの前に立ち、ファンのいるところに少しでも近くにと、泣きの絶品のツイン・ギター・バトルを聴かせる。

曲が終わり、メンバーはステージから去っていく。

鳴り止まない拍手の中、上手から松川、下手から佐野が登場。最後に高橋が登場し、深くゆっくりと一礼する。拍手や歓声を鎮める松川の情感の籠ったギターが、静かに染み入り会場に響く。アカペラでサングラス姿の高橋が続き、“ルルドの泉”が開始。ステージはマイク・スタンドに取り付けられたライトが点灯しているのみ。ほの暗くうっすらとメンバーの姿を映し出す。SABBRABELLS流のバラードと言えるかもしれないが、怪しく不気味であり、“サタニック・メタル”的世界が展開されていく。佐野は胸の前で十字を切るようなアクションからステージ前で座り込み、感情を絞り出す様に、憑りつかれたかの如くギターをかき鳴らす。

「ここにルルドの泉があれば~」のパートでは、ステージがブルーのライトで照らし出される。高橋はサングラスをフロアに投げ込み、素晴らしいドラムを聴かせる関口に向かって“やるな”といった感じでメロイック・サインを突き付ける。静かに曲が終わり最後の音が消えていく。合わせてブルーのライトもゆっくりと消えていき、最後に高橋がありがとうと言ってパチリとマイク・スタンドのライトを消すと再び闇がステージを支配するのだった。
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高橋が今後のことは決まっていないと口にしたが、「またみんなが呼んでくれたらステージに立ちたい」と述べると、大きな拍手がSABBRABELLSに向けられる。

続けてサプライズ。新曲を作ってきたとのMCに驚きの声が上がる。
「もう一度鐘を鳴らそうぜ!」と、始まったのは“Ring The Bell”。鐘の音に似たギターの音色から静かに盛り上がっていく楽曲だった。メタリックで力強いナンバーであり、再結成後の姿に、その歌詞世界が重なり合う。ファンは両手を振り上げ新曲を歓迎している。静かに曲が終わり、佐野の奏でるメロディに合わせ、メンバーが一人づつ静かに去っていく。歌い終わった高橋もステージから去り、最後に残った佐野が最後の1音を鳴らし一礼。聴き入っていたファンは拍手で見送った。

まだまだ足りないと拍手が鳴り響く中、高橋が跳ねる様にステージに姿を現し、「1曲やってないのは何だ?」と、ファンに問いかける。
そして「すべてが円運動」と、そのヒントを口にする。松川のギターが鳴り響き、高橋が曲名をシャウト。“Devil’s Rondo”が始まった。佐野はターンをキメ、「悪魔~♪」と高橋が歌えば、それはお前だといった風に指さす。高橋はサビで大きく手を振り、ファンと一体となり会場を盛り上げる。ギター・ソロでは床にひざまずき、松川はそれまでのクールな雰囲気とは逆に鬼神の如き姿を見せる。その横で高橋と佐野は並んでヘッドバンギング。関口と宮尾はそんな姿を楽しみながらも、ボトムをしっかりと機能させている。会場からは、いくつものメロイック・サインがステージに向けられ、“この時間が終わって欲しくない”と、全力でアピールしている。
高橋はメロイック・サインをゆっくりと、松川は愛機を高々と掲げ、佐野は大きく手を回し、関口は肩で大きく息を吸い、宮尾はやり切ったといった柔らかな表情を見せていた。これにてSABBRABELLSのワンマン・ライブは終了となった。

ステージからメンバーが去り、客電が点いて場内が明るくなっても、鳴りやまぬ拍手に根負けしたメンバーが再び登場、万雷の拍手の中、メンバーがファンへ最後の挨拶を行い、埼玉の帝王は生誕の地である浦和でのワンマン・ライブを締めくくった。

長く再結成が望まれながらも、その翼を広げることのなかったSABBRABELLS。
メンバーの都合もあっただろうし、どうしても超えられない感情的な側面もあったのだろう。ご存知のファンも多いかと思うが、彼らは浦和を拠点に同級生で結成したバンドである。そんなバンドが再び結集して、彼らの生誕の地でワンマン・ライブを行ったという意義は大きい。

打ち上げの席で盃を交わし、談笑するメンバーの姿を見て、彼らの様々な思いを想像してしまった。SABBRABELLSの歌ではないが、点が線となり、その線が繋がり輪になった瞬間を見た様な気がした。ファンの声があればまた戻ってくると、高橋はステージで宣言していた。もちろん拒むファンはいないだろう。彼らが再び悪魔の翼を広げ、我々の目の前に姿を現してくれることを願って止まない。
SABBRABELLS@浦和/埼玉会館
2019年5月25日(土)

SETLIST
01. Metal Sabre
02. Wolfman
03. Cold Bloody Man
04. 破壊
05. Running My Way~Hell’s Rider
06. Darkness World
07. Hawk Emblem
08. 束縛
09. 鏡張りの部屋
10. November’s Mystery
11. Water Night
12. Dog Fight

13. ルルドの泉
14. Ring The Bell

15. Devil’s Rondo