野獣『野獣 40th Anniversary FINAL TOUR』ライブ・レポート@東京・目黒 鹿鳴館

Live Reports
70年代の伝説的ハード・ロック・バンド野獣。40周年を迎えた2019年に再び眠りにつくことを宣言。その最終公演となった12月1日(日)目黒鹿鳴館のレポート。

1977年結成、名古屋で絶大な人気を誇りヤマハ主催の東海地区のコンテスト「ミッドランド‘78」での優勝を引っ提げ、1978年度のEAST WESTにゲスト出演と知名度も全国的となっていたハード・ロック・バンド野獣(バンドの読み方はノケモノ)。1978年に初来日となったJUDAS PRIESTの名古屋公演のオープニング・アクトを務め、ライブで磨いた腕は多くのレコード会社からオファーが殺到したという。
1979年に唯一のアルバム「FROM THE BLACK WORLD」をリリース後に解散したが2016年に再結成、そしてデビュー40周年となる今年2019年に再び眠りに着くことがアナウンスされていた。

その最終公演となった12月1日東京目黒鹿鳴館公演に足を運んだ。

場内には熱心な野獣信者が詰めかけ、入り口で受け取った野獣バッジを手にどんな夜になるのか語り合っている。そこに野獣最後の夜になることへの悲壮感はなく、気持ちよく楽しく送り出そうという雰囲気が流れている。
何とも居心地の良い空気が流れている。
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定刻を少し過ぎた頃に場内暗転、雨と雷のSEが鳴り緞帳にはライトに照らされたメンバーの姿が浮かび上がる。ギターの音が場内に響きステージが露わになって野獣最後の夜が始まった。

オリジナル・メンバーではないが今の野獣のキーパーソンとなっている日下部“BURNY”正則の泣きのギターが“Down To Hell”のメロディを奏でる。彼らが全国的に注目を浴びたEAST WESTでのパフォーマンスを収録、そして記念すべき彼らの初音源となったオムニバス「EAST WEST'78」に収録されていた曲だ。

最後にステージに登場は仲谷“ACE”詠守<vo>、QUEENのフレディ・マーキュリーの様に足なしのマイクスタンドを手にシャウトを決め、「BURNY!」とコールしてソロへと導く。盟友とも言えるオリジナル・メンバーの中野“ROLLA”重夫<g>がソロを弾く場面で仲谷は背中合わせで中野を援護、その後ろでは同じくオリジナル・メンバーの千藏“CHERRY”正明が黙々と芯の太いベースを鳴らしている。ドラマーには今回ファイナル・ツアーに参加の名手、西田“DRAGON”竜一がビートを叩き出している。

曲の終わりには仲谷と中野により二人羽織風にソロを弾く場面もあり、オープニングからかなりの見せ場を作っていく。
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続く泣きのギターから始まったアルバムのタイトル・ナンバー“From The Black World”では一緒に歌ってと右手をフロアに向ける仲谷。
そして70年代ハード・ロック的ヘヴィ・グルーブが心地よい“Big Wednesday”では仲谷と中野がフォーメションを決め、それぞれ大きくマイクスタンドとギターを上下に振ってファンの目を楽しませる。日下部と中野のギター・ソロ対決ではいぶし銀の音がまるで強い酒を胃袋に流し込んだ様にグッと入っていく。中野はギターを背中に回して弾く場面もあり大サービスだ。仲谷は曲の終わりに力強く拳を握り、手を広げる。

風の音のSEに導かれてバラード調の“灰に消えた過去”が静かに響いていく。仲谷は昭和の香り漂う日本語詞を情感タップリに歌い上げ、初期SCORPIONSを想起させる中野と日下部の水墨画を思わせる淡さのある泣きのギターが感情を大きく揺さぶる。
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フロアからの拍手の中、野獣結成から40年経ったと噛みしめるように語る仲谷。そしてデビューが20歳だったメンバーが今は65歳だと笑いを誘う。あと10年したら75歳、ちょうど良い時に野獣を終えることが出来ると感謝の言葉へ続けると再び拍手が起こる。

仲谷の曲コールから1stアルバムには収録されなかった“偽曲”が中野と日下部の哀愁タップリのツイン・ギターから始まる。ジワジワと力強く盛り上がるミドル・ナンバーで仲谷の歌唱が光る逸品。仲谷は大きく手を上げ拍手を求める。背中合わせになりながら中野と日下部の泣きのギター対決がファンの心を鷲掴みにする。

曲の余韻を打ち破る西田のシンバルからノリの良い“Love Machine”が始まり、一緒に歌おうと仲谷はマイクをフロアに向け、曲のエンディングでジャンプも決める。曲が終わるとスポットライトに照らされた中野のギター・ソロが始まる。首を振りながら扇情的なソロを弾き、ジミ・ヘンドリックス風な味付けをしているところに中野らしさを感じさせる。終盤には“蛍の光”を織り込みファンをニヤリとさせる。
中野はそのままメロディを刻みヘヴィなイントロからシフトチェンジして疾走していく“蟻地獄”へと続く。西田のバスドラと千藏の太いベース・ラインが腹に響く。曲の終わりには仲谷が再びジャンプと野獣でステージに立つのが嬉しくて仕方ないといった感じだ。
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この記事のライター

別府 “Veppy” 伸朗
別府 “Veppy” 伸朗
新一万円札の顔となる渋沢栄一の生まれ故郷「深谷市」在住の兼業音楽ライター。メタルのレコードとシャツに囲まれての田舎暮らしですが、ノホホンとは出来ず残念!ベルボトムLOVEですが、サイズが…。

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