【インタビュー】「音楽業界で何か変化が起こらない限り、新しいアーティストは立ち往生してしまう」ジャンカルロ・フロリディア(FAITHSEDGE/vo,g)

Interview
実力派シンガーソングライター、ジャンカルロ・フロリディアを中心にドッケン、ストライパー、バーニング・レイン、エデンズ・カースといったバンドの新旧メンバーが繰り広げる美しくキャッチーなメロディ満載の極上ハードロック、FAITHSEDGEの3年ぶり4枚目のアルバム『BLEED FOR PASSION』が2019年7月26日リリースとなった。
突如、米国のハードロック界に新鮮な風が吹いた。2019年7月26日に世界同時発売されたばかりのFAITHSEDGE『BLEED FOR PASSION』を聴いてそう感じた。

FAITHSEDGEは、南カリフォルニア在住のシンガーソングライター、ジャンカルロ・フロリディア<vocals & guitars>を中心に、元DOKKENのギタリストであるアレックス・デ・ロッソ、元STRYPERのティム・ゲインズ<bass>、MR.BIGのパット・トービーのサポートを努めたことで知られるマット・スター<drums>といった錚々たる面々によって繰り広げられるメロディック・ハードロック・プロジェクトだ。最新作『BLEED FOR PASSION』では、80年代中期から90年代初頭に煌めいていたハードロックをベースに、かつて日本のロック・バンド達が持っていた“歌心”をミックスさせた、これまでありそうでなかった感覚のサウンドが提示されている。

このプロジェクトの中心人物であり、“BURRN!読者でもあるジャンカルロに話を聞いてみた。

元RATTのフォアン・クルーシェとのレコーディングで学んだこと

──通算4作目のアルバム『BLEED FOR PASSION』が完成し、ついに7月26日、世界同時発売されました。今、どんな気分ですか。

ジャンカルロ・フロリディア(以下、ジャンカルロ) 日本でアルバムをリリースする時はいつもとてもワクワクするんだ。12歳の時からBURRN!を読んでいた俺が、今日、こうして君の取材を受けることはとても素晴らしいことだよ。日本語を読むことはできないけど、ずっとその頃から日本のハードロック・シーンのファンだったと言うべきか。特に俺の仲の良い友人の一人が日本出身だったこともあり、幼い頃からアメリカのバンドだけでなく、X JAPAN、SIAM SHADE、GLAY、LUNA SEAのような日本のハードロック・バンドに俺は親しみを持つことが出来た。だから俺たちの音楽を日本でリリースしてくれて、サポートしてくれるSPIRITUAL BEASTにはすべてのことでとても感謝している。いつか日本でプレイできることを望んでるよ。

──このプロジェクト・バンドを始動させる以前はどんな音楽活動をしていたんですか。また作詞や作曲といった創作活動はいつ頃から始めたのでしょうか。

ジャンカルロ 20歳の時にここアメリカでSHATTEREDというバンドをやっていたんだ。そのバンドは、けっこう良い感じで、最終的に幸運なことにSLAUGHTER、W.A.S.P.、RATT、KING’S Xのオープニング・アクトを務めたこともあった。その頃、SONYのジョン・カロドナーの PORTRAIT RECORDSのチームである、ロッド・ククラとA&Rであるジョン・ウィークランドのショーケースに出演したりして順調にいっていたから、俺はPORTRAIT RECORDSと契約するチャンスを望んでたんだけど、レーベルが終わってしまってね。それからもロッドとジョンとは友達だけどさ。その後、RATTのフォアン・クルーシェと、十分満足なリリースは出来なかったけれども、SHATTEREDのEP「IMAGES OF LIFE」で仕事を一緒にしたよ。それからは自分は片親としての責任と子供との十分な時間を過ごすために別の州に引っ越してしまいバンドを引退したんだ。でも俺は常に、FAITHSEDGEとしてカムバックすることを考え続けてたけどね。

──その10年前に元RATTのフォアン・クルーシェとレコーディングした音源がきっかけでデビューしたと伺ったのですが、どのようにして彼と出会ったのですか。また彼から教わったことなどありますか。

ジャンカルロ フォアンとはたぶん19歳くらいの頃だと思うけど、あるパーティーで出会い友達になったんだ。それから連絡を取り合うようになって彼のスタジオに行き、一緒に音楽の仕事をすることになった。そして4曲入りのEPの制作をプロデューサーであるファブリツィオ・グロッシ(STEVE VAI / STARBREAKER)と一緒にやったことが、俺たちデビュー・アルバムのプロデュースにも繋がり、この仕事の扉を開けることにも繋がったんだよ。俺はフォアンとスタジオで過ごした時間でとても多くのバックグランド・ヴォーカルについて学んだよ。だから、FAITHSEDGEのアルバムのバックグラウンド・ヴォーカルのレイヤーはフォアンが教えてくれたものなんだ。初めて会ったときはヴォーカルを重ねることをよくは理解していなかったんだけど、彼が教えてくれてからはそのテクニックを使っているんだ。だから俺は本当にフォアンに感謝しなければならない。あらためてフォアンありがとう!

俺は80年代から90年代の初めにアメリカで育った子供だった

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──音楽的にはメロディアスなハード・ロックで’80sスタイルを強く感じます。どんなアーティストからの影響がありますか。

ジャンカルロ その通り、80年代から90年代初頭の音楽スタイルだ。俺は80年代から90年代の初めにアメリカで育った子供だったから、学校から帰って毎日MTVを観ることができたのはラッキーだった。それは俺の人生に於いて素晴らしい時間だったよ。MTVの中のジョージ・マイケル、リチャード・マークス、ブライアン・アダムスのようなポップ・シンガーにも影響されたな。それからメイクをしていなかった頃のKISSやQUEENSRYCHE、そしてもちろんSTRYPERのようなハードロック・バンドにも興味を持ってた。だから今、自分の子供の頃のヒーロー達と仕事をできるのは嬉しいことだよ。そして10代前半になるとMEGADETHやANTHRAXのようなよりヘヴィなバンドに入れ込み始めた。それから20代ではモータウンを聴き始めたんだ。それは自分のボーカルをさらに向上させ、もっと感情を持って歌い、より調和するアイデアを学ぶ手助けにもなった。そしてさっき話したように俺は日本のロックの大ファンだったから、それはFAITHSEDGEの作曲スタイルにも影響し、ミックスされ、素晴らしいスタイルを確立したと思うよ。

──今回、アルバムのアートワークが印象的でした。リリック・ビデオも素晴らしい仕上がりでした。担当したフェデリコ・モンデッリにはどのような注文をしたのですか。

ジャンカルロ フェデリコと一緒に仕事をすることができて嬉しかったし、彼のバンド、FROZEN CROWNとBE THE WOLF が日本で上手くいっていることも嬉しいよ。そして、フロントカヴァーとインサートされてるアートワークについては、イタリアのレーベルSCARLET RECORDSがまとめたんだ。フェデリコとの仕事は非常にやりやすくて、仕事倫理の点で彼と私のヴィジョンはとてもよく似ていると思う。つまり彼は音楽とビデオも含めた全体の構想を持っているから、音楽だけでなくビデオとアートワークの面でも上手くやれた。彼と一緒に仕事ができるのは素晴らしいことだよ。多分、今度俺達は試しに一緒に曲作りに取り組むと思う。俺たちはきっと素晴らしい何かを思いつくことができると確信している。彼は“Angelic”のリリック・ビデオで素晴らしい仕事をしてくれたけど、これから数週間の内にまた新しいリリックビデオを作る予定なんだ。フェデリコありがとう!

FAITHSEDGE - Angelic (Lyric Video)

本当に音楽を愛し、この状況から前進するために情熱を注ぐ必要がある

──アルバムのタイトル『BLEED FOR PASSION』に込められた意味を教えてください。

ジャンカルロ 意味はいくつかあり、一つはここアメリカでのミュージックシーンについてだ。アメリカではもうミュージック・ストアは殆どなくなり、もはや誰も音楽に代金を払うことはなくなってしまって、俺たちをはじめ、これからキャリアをスタートさせようとしている新しいアーティスト達を失望させているんだ。だからこそ、ここで本当に音楽を愛し、この状況から前進するために情熱を注ぐ必要があるということ。それはすなわち、俺がここに辿り着くために経験しなければならなかった人生における闘いについてでもありるんだ。ほとんどの人が諦めていただろうと思う多くのことを経験した。そして俺は諦めなかったので、それを反映してる。時に物事というのは簡単にはいかないけど、あなたがそれを愛するならば、時には戦わなければならない…というのがタイトルのコンセプトだよ。

──FAITHSEDGEのレコーディングはどのようなプロセスや環境で制作されているのでしょうか。

ジャンカルロ 現代のテクノロジーでのレコーディングの優れている点の1つは、レコーディングが安くできること、そして世界中にデータをファイルで送信できることだよね。俺が全ての曲をレコーディング・プログラムで書いて、基本となるアルバム全体のデモを作って、それをイタリアに住んでいるギタリストのアレックス・デ・ロッソに送る。ティム(ゲインズ) と一緒に書いた4曲目の“Through The Scars”は彼と一緒に部屋に座ってレコーディングしたんだけど楽しかったよ。それ以外の曲は俺が書いたものをイタリアに送って、そこからアルバムが作り上げられていく。皆が別々のスタジオでそれぞれのパートをレコーディングするんだ。

──今作中、“I Know I Need To Let You Go”のようなエモーショナルなバラードも印象的でしたが、ご自身のお気に入りのポイントを教えてください。

ジャンカルロ どうもありがとう! “I Know I Need To Let You Go”は既に評判がいいんだ。バラードをやることは時にリスキーなんだけど、俺はこの曲が本当に好きなので3rdシングルとしてこの曲を出すだろうね。俺はこの曲を前作「RESTORATION」に収録のバラード、“Faith And Chris”と同じレベルのものにしようとしていたんだけど、それにかなり近づいたか、目標を達成したかなと思ってるよ。FAITHSEDGEのアルバムには様々なスタイルがあるんだ。たとえば“Back From This”のようなダークなスタイルのヘヴィ・メタル・ソングがあって、その後に突然 “Angelic”のようなテンポの速い80’s風の曲が登場する。そして“Through The Scars”のようなモダンでプログレッシヴな曲に行き、次は“I Know I Need To Let You Go”のようなバラードもある。俺たちの音楽は多くのスタイルをカバーしているので、ポイントではなく、アルバムを全部聴いてみてくれ。自分が若い頃にそうしたように、ヘッドフォンで徹底的に聴きながら、歌詞を読み、アートワークを見るってことを、できれば俺たちの音楽でも経験してほしいんだ。人々はデジタル・ストリーミングに移行して行くだけかもしれないけど、ゆっくりアルバム全体を聴いて、感想をフィードバックしてくれる人がいたらいいなと思うよ。 だから、時間があるなら座ってすべてをチェックしてくれ!
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──レコーディング・メンバーでのライヴの可能性はありますか。またアメリカでツアーするのは困難な状況なのでしょうか。ぜひ日本にもいらしてください。

ジャンカルロ アメリカではすべてのミュージック・ストアが閉店し、人々が音楽の為にお金を使わないので、それは不可能なんだよ。かつてレーベルはお金をかけてバンドのツアーに投資したけどね。音楽業界で何か変化が起こらない限り、新しいアーティストは立ち往生しているんだ。正直なところ、俺は日本かイタリアに行って演奏したいよ。東京に行ってショーをすることは常に俺の夢だった。他のメンバーも俺自身も日本に行きたい。 うまくいけば日本でニュー・アルバムが大きな話題となり、プレイしに行くことができるかもしれないな。何が起こるか見ててくれよな! 本当にサポートしてくれてありがとう!
フェイスエッジ / ブリード・フォー・パッション

フェイスエッジ / ブリード・フォー・パッション

2019年7月26日発売
レーベル:SPIRITUAL BEAST
品番:IUCP16311
解説:幅 由美子 (BURRN!) 歌詞・対訳付
価格:2,571円+税

◆収録曲
01. Back From This
02. Angelic
03. Acceptance
04. Through The Scars
05. I know I Need To Let You Go
06. Girl When
07. Sky
08. I’ve Changed
09. Bleeding With The Memories
10. Reflecting A Voice
11. Angelic(Acoustic Version)*ボーナストラック
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◆メンバー
ジャンカルロ・フロリディア<vocals & guitars>
アレックス・デ・ロッソ<guitars>
ティム・ゲインズ<bass>
マット・スター<drums>