【あれから2年】 鈴木“あんぱん”政行(LOUDNESS/ds)インタビュー

Interview
2018年2月8日に病で倒れ現在完全復帰に向けてリハビリに励んでいるLOUDNESSのドラマー鈴木“あんぱん”政行へのインタビュー。

『2018年2月8日』、この日のことを忘れられないLOUDNESSファンは多いと思う。
世界同時発売となった「RISE TO GLORY -8118-」を引っ提げ、LOUDNESSは国内外のツアーを控えていた。
そんなタイミングで、まさかの『悪夢』が鈴木“あんぱん”政行に襲い掛かるとは誰も思ってもいなかっただろう。

2018年2月8日 鈴木“あんぱん”政行 脳梗塞発症

あれから2年、もしかしたらファンにとって初めて耳にする話や今だからこそ話せるショッキングなものもあるかもしれないが、LOUDNESS完全復帰に向けてリハビリに励んでいる鈴木,いやここでは『あんぱん』と呼ばせてもらおう、に色々な思いを語ってもらった。
約1時間、あんぱんは優しい口調で全てを語ってくれた。
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悟りを開いた様にパッと明るくなったのですが、それと同時に悪夢の中にいるのが分かりました


-今日のインタビューする前に、よろしくとメールした返事を見てちょっとウルっとしちゃったんですよ。

鈴木“あんぱん”政行(以下、あんぱん):それはどうしてですか?

-その前にメールしたのが2018年の年末で、まだまだ後遺症が残っているなと如実に分かる内容だったんですよ。それが今日のメールは普通にやり取り出来て、しかも可愛い絵文字も入っていて(笑)。その違いがリアルに伝わってきて、色々な感情が湧いてきて電車の中で泣きそうでしたよ。

あんぱん:そうか、1年前だとかなり違いが分かりますよね。思い出した、BURRN!onlineでライブレポートを書いてくれたけど、その時はまだ長文が読めない状態で残念だったんですよ。今はもう絵文字も普通に使えます。(笑)

-いきなりズバリ訊いてしまいますが、身体の状態は今どうなのですか?

あんぱん:右半身麻痺、感覚障害、言語障害、失語症といった症状が出ていたのですが、毎日着実に回復に向かっています。後遺症がまだ少し残っていますが、右半身のシビレはかなりなくなって、普通に生活するには気になりません。倒れた時は右半身頭の先から足先まで火傷した様な痛みもあったんですよ。LOUDNESSでプレイするにはまだ体力が戻っていないという方が僕にはキツイですね。医者がビックリしているのが、普通は1年で回復のリミットがくるのに、僕は今もバリバリ回復し続けていることなんです。それにバラバラだった体幹も戻ってきていて、(LOUDNESSで)短い時間を叩くのには問題ないと自分では思ってます。プレイの精度を高めるという課題はあるけど、今は90分ノンストップで叩けますし。

-2018年に開催された『METAL WEEKEND』で1曲叩いていますが、あの時の回復度は今振り返ると自分ではどれ位だったと思いますか?

あんぱん:実は覚えていないんですよ。いや、覚えてないというよりも夢の中で叩いていたという方が近いかもしれませんね。幽体離脱的な感じで、モニターを通して遠くから自分を見て「あ~、ドラム叩いてる」って。LOUDNESSのメンバーとして再びステージに立って、楽しいってことは心にあるけど、それだけ。記憶力も戻ってなかったし、実は全てがバラバラでした。これは初めて話しますね。

-あんぱんさんが倒れてから僕がステージを観たのが、2018年末の東京EX THEATER ROPPONGIでのライブで、アンコールで出てきて西田さんとドラム・バトルをした時でした。

あんぱん:あの時も楽しかった記憶はあるのですが、まだ半分位しか記憶がなくて。どこか他人事みたいで「楽しいね、あんぱん」って感じですよ。(笑)

-あの時ステージの姿を観た時は完全復帰まで近いかなと思ったのですが、その後に会って話をした時は「よくこの状態でドラムを叩いていたな」と驚きました。

あんぱん:楽屋で会った時ですよね?あの時、久しぶりに会って話をたくさんしたかったのに、全く出来なくて。話をしていても自分で何言っているか分からなかったし。もどかしくて時間ばっかり過ぎて悔しくて。

-そのタイミングで一度増田勇一さんがインタビューを行っていて(BURRN!JAPAN Vol.13)、その時の話では2019年内に完全復帰を目標にしていたのですよね?

あんぱん:勿論です。でも、その頃はじれったい程回復のペースが遅かったんですよ。これも初めて話しますが、(2019年の)5月に夢から覚めた様な感覚があったんですよ。その時にドーンて様々なことがリアルに迫ってきて、「わ~っ、大変だ」となって(笑)。今、色々と思い出せますが、退院して直ぐはボケーっとしてました。誰かと話をしても、変なことを言っていないかビクビクしてたし。
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-退院した頃のドラムの練習はどんな感じでしたか?

あんぱん:退院した頃は、筋肉が戻ってなくて30分歩くと立てなくなっただけでなく、シビレも痛みも出ました。体力がとにかくなくて、20分ドラムを叩くと2日間は身体が動かない状態になってしまって。だから、ドラムの練習は1週間で3日も出来たら上等でした。ボケーっとして気が付いたら4時間経っていたこともあったし。映画に行っても、本を読んでも何も分からないし、リハビリに行っても先生が何を言っているのか理解出来なくて、毎日が辛くて楽しくなくて。脳も身体も自分でも悲しくなる位ボロボロでした。
退院前の話ですが、集中治療室から出た時に、嬉しさから生命維持装置を付けながら拳立てしちゃったんですよ。そしたら倒れちゃって。その時に先生とか看護婦主任に「鈴木さん、あなたは入院して本当なら2回死んでいるんだから注意しなさい」って怒られました。その時は拳立てしていたのは覚えていなくて(苦笑)。右半身がシビレちゃってナースコール押せなかったんで、先生にそんな時はどうすればいいのかって質問したら「鈴木さん、そんな時は左手使えばいいんじゃない?」って、呆れた感じで言われました。(笑)

-今は笑い話になりますが、その時は必死ですよね?

あんぱん:その時はナースコールが押せない、どうしよう、死んじゃうって思いましたから。気持ちだけ焦って何とかしなくちゃってのがいけなかったですね。そして退院して、(2019年の)5月にまるで悟りを開いた様にパッと明るくなったのですが、それと同時に悪夢の中にいるのが分かりました。

-回復してきてパッと明るくなったと言ったのに、どうして悪夢の中にいると思ったのですが?

あんぱん:それは、自分の状態がリアルに分かる様になったからです。それまではずっと酔っぱらっている様な、夢見心地な感覚でしたから。それが夢から覚めて、自分の状態が分かると本当に地獄でしたよ。
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