『メタル第7世代~ザ・ワールド・イズ・マイン』 06“ファイティングマン”/前編

メタル第7世代~ザ・ワールド・イズ・マイン
音楽雑誌『BURRN!』の新卒新人編集者によるフレッシュなコラム。
前回「メタルサークルは素晴らしい出会いの場だ」と主張しましたが、実のところ諍いも存在します。主な火種は、支持するサブジャンルの違いです。端的に言ってしまうと、オールドスクールVSニュースクールの戦い、でしょうか。
世代でパキッと分かれていればまだ過ごしやすいのですが、同じ20代の中に頑固なオールドスクール派と聞く耳持たないニュースクール派が存在しているのでなかなか根深い問題になっているのです。
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オールドスクール  VS ニュースクール

オールドスクール勢力の主な内訳

・ハード・ロック
・NWOBHM
・スラッシュ・メタル
・デス・メタル
・ブラック・メタル
・プログ・メタル 


ニュースクール勢の主な内訳

・ニュー・メタル
・インダストリアル・メタル
・メタルコア
・デスコア
・ラウドロック
・Djent

テクニカル・デス・メタルやブルータル・デス・メタルはどちらの支持も受けており、狭間のジャンルと言えます。
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それぞれの価値観

両者の間には嗜好だけでなく、アティテュードの違いがあります。

オールドスクール派は硬派なアティテュードを重んじる傾向にあり、その中には「演奏技術の鍛錬」も含まれます。オールドスクールの方がニュースクールのバンドに対し比較的熟練したスキルが求められるものが多く、自然と楽器の上手い学生が集う傾向にあります。EXTREME、MEGADEATH、ANGRAなどのソロを弾きこなす学生もちらほら。
対してニュースクール派が好む楽曲には、一部のプログレッシヴなメタルコアとDjentを除けば、速弾きどころか、ギター・ソロ自体がない楽曲も珍しくないのです。学生の間でもメタルコアは比較的コピーしやすいという通説があります。

Extreme "Decadence Dance (Live)"

ギター・ソロは4:30から。

ASKING ALEXANDRIA - The Black

こちらの楽曲はギター・ソロなしで成り立っています。
しかし、ニュースクールに属するジャンルにおいて重要なのは、何と言ってもステージングです。国内の若手ラウドロック・バンドやメタルコア・バンドを観るとその傾向は顕著に表われていて、煽りが上手ければバンドに箔がつくというような風潮があります。

ヴォーカルはとにかくフロアを煽ることに精力を注ぎます。ギターやベースを回すパフォーマンスも人気があり、どのバンドもこぞって取り入れている様子。

Emmure - Summerblast 2016 (Official HD Live Video)

大人気のEMMURE、全力のLive。メタルコアのメンバー必携の技、「スタンピング」が見れます。
メタルコア・バンドのフロントマンの煽りの雰囲気、伝わるでしょうか。
(訳:ヴォーカル「ピット開けろ!聞こえてっか?(ここに絶対会場名入る)このハコ燃やし尽くすぞ!一人たりともWODやらない奴見たくねえからな!」 →ライヴハウスの店長:「」)
Twitterにアップされるライブ動画でも、オールドスクール派はギター・ソロを収めたものであるのに対し、ニュースクール派は派手なパフォーマンスやフロアで繰り広げられるモッシュの様子を切り取っていて、ライブに求めるものの違いが判然としています。
ファンが収めたANGRAのライブ動画
国産メタルコアバンド、Sailing Before The Windのパフォーマンスを収めた動画
大分のゴアグラインド・バンド、Viscera Infest名物「ゴキブリモッシュ」の動画
以前メタルコアのライブに通う先輩に「何がそんなに良いのか?」という旨の質問をしたところ、音楽性に先立って「参加型のライブが楽しい、ステージングが格好良い」との返答をいただき、なるほど!と手を打った記憶があります。パワーメタルのライブなどでは、拳を上げる以外に観客側が出来る動きってかなり限られているので、汗を流したい・暴れたいという人には物足りなく感じるのも致し方ないと思います。
一方で「眼前で音源並みの演奏を繰り広げられると震える...!」という人には、パフォーマンス重視のライブにカッチリとした演奏は求められないのでそれはそれで満足いかないことでしょう。

以上が主にライブ時に表出するアティテュードの違いについてでした。
次回はファッションなどについて書いていきます。
お付き合いありがとうございました🐜