『メタル第7世代~ザ・ワールド・イズ・マイン』 02.“遙か地平線の向こうへ”

メタル第7世代~ザ・ワールド・イズ・マイン
『BURRN!』編集部に配属されたばかりの新人編集者による新世代コラム第二回。
第2回ということで、自己紹介がてら今度は自分がメタルを聴き始めた経緯を書きたいと思います。
初回でこれをやると“隙あらば自分語り”感がエグいので控えました。


厳密に言えば、前回ご紹介したパターンの中で自分が当てはまるものはありません。国内のラウド・ロックについても今だに疎いくらいですし、親はメタルはおろかハード・ロックの類も聴いてはいませんでした。メタル好きを公言すると、同世代からはほぼ100%マキシマム ザ ホルモンの話を振られるのですが、正直辟易してしまいます。ホルモンの好き嫌いの話ではなく、あまりに「うるさい音楽」についての周囲のイメージが一辺倒だからです。これ、メタルを掘っている学生さんには共感してもらえるのでは。ホルモンのダイスケさんはつい最近もBUTCHER ABCのTシャツを着用されていて一部を賑わしていましたし、同年代のキッズがそれを入り口にしてくれれば喜ばしいですが。


ではなぜ私がメタルに興味を持ったのか?きっかけは同人音楽でした。

いわゆるアニメオタクだった私は、小学5年生頃から動画サイト『ニコニコ動画』に入り浸るようになりました。典型的な“インターネット世代”ですね。今や若者人気No.1のアーティスト・米津玄師さんが音楽活動を始めたころ、そして支持を得ていく様を目の当たりにしました。『ニコニコ動画』は熱意あるアマチュア・クリエイターの発表の場としてみるみる盛り上がっていきました。中学に上がる頃には、『コミックマーケット』や『M3』などの即売会で音源を頒布する同人音楽サークルの宣伝ツールの主力として重宝されるように。溢れかえる様々な動画を媒介に辿り着いたのが、Sound Horizonという音楽グループのMVでした。

このSound Horizon、1枚のアルバムでひとつの物語を表現するといういわゆるコンセプト・アルバムを作るサークルで、動画で1曲だけ取り出して聴いたところでいまいち理解できません。幸いこの時既にメジャーデビューを果たしていたため、音源の一般流通がありました。私はすぐにアルバムを購入すべく近くのショップに走りました。アニメ主題歌のシングルを単発で聴くことが主だった音楽初心者は、コンセプト・アルバムという独特の形態に出会うことで、アルバム単位で音楽を聴くことの愉しさを知ってしまいました。ひょっとしてこの経験をしないままだったら、今でもアルバム単位で音楽を聴かないままだったかもしれません。

中学2年生の初夏、待望のSound Horizonの新譜が発売されました。好きなものについては何でも知りたい気質だった私は、参加ミュージシャンまで把握するようになっていました。新譜のクレジットを見てみると、ギターに「マーティ・フリードマン」の文字。このシングル“イドへ至る森へ至るイド”のリード・トラックはこれまでになくダークな雰囲気で、ギターが一層目立つ曲に仕上がっていました。すぐさまサーチするとかつてMEGADETHというバンドで活躍していた人のよう。Sound Horizon主宰者のRevoさんも学生時代にコピーしていたとか。彼の音楽性に影響を与えていること間違いなしと判断し、さらに「スラッシュ・メタル」の頁へと飛びました。
どうやらヘヴィ・メタルという巨大なジャンルの一角であるらしいと判明、とりあえず『ニコニコ動画』の「メタル」のタグを漁ってみることに。その時再生数トップに君臨していた動画はRHAPSODY OF FIREの“Emerald Sword”。オタクの大好物であるところのファンタジー・テイストの曲に一発でひきこまれメロスピに傾倒、そのままズルズルとプログ・メタル~ブラック・メタル~デス・メタル…と各サブジャンルに手をつけていきました。
アニメソングや同人音楽というのは音楽性によって括られておらず、今や無法地帯と言っても過言ではないジャンルになっています。メタルはおろかプログレ、ヒップホップを取り入れたものまで。それに親しんできた自分は無自覚のうちに典型的なJ-POP以外の音楽に免疫がついてしまっていたのでしょう、デスボイスにも長尺の曲にも何ら抵抗を感じず聴けました。

実のところ同人音楽からメタルに入った若者も結構いるのです。同人というだけあって存分にオマージュを盛り込んだ楽曲が頻発し、元ネタに触れる機会もそれだけ増えます。代表格は今や国内シーンを引っ張る実力派バンド、Unlucky Morpheusでしょうか。大学時代にあんきもをきっかけにメタルを聴き始めた、という先輩に何人も出会いました。
大学生がこぞってコピーするTHOUSAND EYESのKoutaさんや道元さんも以前は同人音楽のフィールドで活躍されていましたし、BABYMETALに“メギツネ”ほか多数の楽曲を提供しているゆよゆっぺさんは『ニコニコ動画』でVOCALOIDを用いた楽曲を投稿したり、同人サークルDraw The Emotionalで音源を発表されていました。活動はしたいが立地やメンバーに恵まれないという若手クリエイターは、まずネットを通した活動で売名してみるコースに踏み切るのが手っ取り早いかと思われます。

良質なサークルさんはどんどん話題にしたいですし、ここに我ありという方は是非自分のTwitterにDMなりしてみて下さい。お待ちしております。同人音楽はまだまだオワコンなんかじゃない、はずです。

今回はここまで。おつきあいいただきありがとうございました。

「9th Story Concert『Nein』~西洋骨董屋根裏堂へようこそ~ Blu-ray&DVD」ダイジェスト

同人音楽から紅白出場を果たした唯一のアーティスト。
このアルバムにはUnlucky MorpheusのFUKI、第2期GALNERYUS/DELUHI/BABYMETALで知られる現Far East DizainのLeda、ジョー・リン・ターナーのサポートも務めたGERARDの長谷川淳、元SIAM SHADEの淳士など多数の精鋭が参加。

Megadeth - She Wolf - 7/25/1999 - Woodstock 99 West Stage (Official)

やはりマーティ・フリードマンは偉大。

Unlucky Morpheus - 断罪は遍く人間の元に (OFFICIAL LIVE VIDEO)

今はメタル・バンドとして活動しているあんきも、同人サークル時代の楽曲。

「Vanished truth」/Draw the Emotional

BABYMETAL楽曲提供者ゆよゆっぺの同人サークル、Draw the Emotional。

ハチ MV「結ンデ開イテ羅刹ト骸」

米津玄師が「ハチ」名義で投稿した曲。彼は当時18歳。