レコード怪盤ゾーン Vol.1 『ものすごくクサイVIO-LENCEのレコード』

レコード怪盤ゾーン
ヘヴィ・メタルのレコードに関してのよもやま話。

何故レコードを収集するようになったのか?


さて、また新たに始めましたこのコラム。ヘヴィ・メタルやハード・ロックのレコードについてあれこれと書いていきます。一時期レコードは絶滅寸前でしたが近年は人気が復活して、今ではかなりのスペースを使って販売している店舗さんもあります。

このコラムの序章代わりにまずは「何故レコードを収集するようになったのか?」ってことを語ってみようかと思います。
それは一言で言えば「貧乏」だったからです。

私が一番音楽に敏感だった高校~大学時代は丁度レコードからCDへの切り替え時期で、中古レコードの価格が一番暴落していた頃だったのではないかと記憶しています。ネットも発達していなかった当時、価格は店員さんのさじ加減一つ。レコードはもう「時代遅れのメディア」として見られていて、今でこそレア盤として高額なアイテムも当時は数百円で売られていたことも多々ありましたし、デス・メタル/ブラック・メタル/スラッシュ・メタルのレコードは1,000円以上出したら「負け」なんてことも言われていました。
レコードのセールに並んでいる人も殆どいない感じでした。

音楽に敏感でしたが、貧乏学生だった私は自然と安い値段で買えるレコードを集めるようになりました。ポリシーもこだわりも何もありません。
理由は「安かった」の一言です。もし、その時代にCDが安かったらCDを買っていたでしょうし、配信音源が一番安ければそれに流れていたでしょう。

僅かなお金を握りしめて、安かったレコードをあれこれと買って音楽を楽しんでいました。

そんな感じで集めていったレコードを、配信やCDでは味わえないだろう視点から少し紹介していこうかと思います。

私の手元にある「ものすごくクサイVIO-LENCEのレコード」


「レコードにはニオイがある」と言うコレクターも少なくない。
カビ臭いのは少し勘弁ですが、CDにはない独特のニオイがたまらなく好きだというコレクターもかなり多いです。それは使用される剥離剤のニオイだったり、レコード・クリーナーのニオイだったり。プレスされた国によってニオイの違いもありますしね。
中古レコード屋に入って独特のニオイに包まれないと安心できないという病的なコレクターを何人も知っています。

そんなレコードのニオイですが、今回紹介するレコードはそのニオイとは別。
とにかくクサイのである。

そのレコードはUSスラッシュ・メタル・バンドのVIO-LENCEが1988年にリリースした「ETERNAL NIGHTMARE」の10epシングル。彼らのファンからは「VOMIT PACK シングル」として知られている作品です。
VIO-LENCE「ETERNAL NIGHTMARE...

VIO-LENCE「ETERNAL NIGHTMARE」の10epシングル


『VOMITシングル』とは何ぞやと思う人が殆どかと思いますが、簡単に説明すれば「ゲロ入りカバー付きシングル」ということです。この手のものではSLAYERが1990年にCDシングルとしてリリースした「Seasons In The Abyss 」の限定ヴァージョンで人工の血液をパッケージにした「BLOOD PACK シングル」が知られていますね。
SLAYER「Seasons In The Abyss...

SLAYER「Seasons In The Abyss 」BLOOD PACKシングル


そのSLAYERの2年前にVIO-LENCEはゲロをパッケージにしたシングルをリリースしていたのである。勿論ゲロは人工のものであるが、BLOOD PACKシングルに比べて嫌悪感が強い。
因みにファクトリー・シールには「DO NOT EAT」とあるが、USのメタル番組の「HEADBANGERS BALL」でこのゲロの味見をして、ザワークラウトをかなり酸っぱくした味だと言っていた記憶があります。

もうかなりの年月が経っているのでどちらのシングルもすっかり水分が飛んでしまいカピカピになってしまいました。
VIO-LENCEのパックは見た目もかなりグロいですね。
問題のゲロ入りカバー部。見た目も気持ち悪い。

問題のゲロ入りカバー部。見た目も気持ち悪い。


そんな「VOMIT PACK シングル」であるが、とにかくクサイ。
元が人工とはいえゲロということもあってか、酸っぱさとカビが混ざり合った様な独特なニオイが2019年現在でも鼻腔の奥に突き刺さってくるのである。
実は何を血迷ったのか一時期2枚このシングルを持っていたのだが、もう一枚はあまりにもニオイがキツかったので処分したか売り払ってしまった。

水分が飛んでカピカピになった見た目も最高に気持ち悪いし、中身がどこかから漏れているのは湿気の高いこの夏になると触ると独特な粘りが手についてしまうのも正直勘弁して欲しいところ。

持っていても少しも嬉しくないシングルなのだが、手放すことができないのは悲しきコレクターの性。
そして一年に一度位、レコードラックから取り出してこのクサさを再確認するのである。

70年代に液体をパッケージやレコード事体に注入するアイデアはあり、THE FLEMING LIPSというバンドが様々なアーティストとコラボレーションして、参加アーティストの血液をパックした「THE FLEMING LIPS AND HEADY FWENDS」なんていうとんでもない作品もあるそうです。

The Flaming Lips and Heady Fwends Blood Vinyl


こんな感じでCDや配信では楽しめないレコードの別の魅力をのんびりと書いていきますのでよろしくお願いいたします。