ノイジーな音の隙間から吹き出すポップ感 LIGHTNING BOLT『Sonic Citadel』

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ライトニング・ボルト / ソニック・シタデル
LIGHTNING BOLT『Sonic Citadel』2019年10月9日発売/P-VINE
ライトニング・ボルト / ソニック・シタデル

ライトニング・ボルト / ソニック・シタデル

2019年10月9日発売
レーベル:P-VINE
品番:PCD-24879
みうらじゅんさん的に言うと、僕はわりと“童貞力”の高い人間だと思う。そのパワーをポジティブに仕事に生かしているつもりだなんだけど、あまり理解されていないように思う。まあそれはそれで構わないんだが。

で、童貞っぽさとは何なのかというと、好きな女性のタイプが定まっていないということがひとつ挙げられると思う。

シシド・カフカみたいな美しいお姉さんも好きだけど、みちょぱみたいなギャル系も好き。さらにラノベ原作のアニメによく登場する図書委員とか文芸部所属の地味なメガネっ子キャラも大好きだから手に負えない。だからといって女性なら誰でもいいというわけではないから、かなり面倒だ。それが童貞である。童貞じゃなくてオタクと言い換えてもいいのかな。複数のタイプが揃ったグループアイドルの人気が出やすいのは、簡単に言えばオタを釣り上げやすいから。しかしオタ側から言わせてもらうと、あえて手のひらの上でコロコロするのが楽しくて仕方ない、ということなのだ。

音楽の聴き方も似たような感じで、何でも聴くけど何でもいいわけではない。そんな人間にとってYou TubeやSpotifyが必要となってくるわけだ。結構なオッサンとなった今でも日々の生活が楽しく充実しているのは、それらサービスのおかげだろう。

最近アイドルの曲ばかり聴いており、まったく毛色の違う音楽が聴きたくなったところにちょうどいい盤がリリースされた。ライトニング・ボルト、約4年半ぶりの新作と聞いてピンとくる人はかなりの変態だろう。

ロードアイランド州プロビデンス出身で、ドラム/ヴォーカルのブライアン・チッペンデイルと、ベースのブライアン・ギブソンからなるノイズ・ロック・デュオ。25年のキャリアがあるバンドで、日本にも何度か来ている。それでもまだあまり知られておらず、昭和のプロレス的に言えば“まだ見ぬ強豪”感がある。

編成的にはドイツのMANTARと同じだが、こちらはもっとキャッチー寄りであると感じた。原始的なビートの上でただ闇雲に暴れているだけの音楽ではなく、キメ細やかなアレンジが施されており、ノイジーな音の隙間からポップが吹き出している感じがたいへん心地よい。アルバムのアートワークがそれをよくあらわしているようにも見える。

ノイズという言葉に拒否反応を示す人もいるだろう。でも便宜上そう呼ばれているだけで、このバンドにジャンルの形容詞は要らない。オーラスの“Van Halen 2049”は圧巻。ヴァン・ヘイレンと言われれば確かにそう聴こえるかもしれない。とにかく、いかようにでも捉えることができるのが、このバンドの音楽なのではないか。要するに童貞っぽさの残るいい歳のオタには最高に面白いロックだったというわけ。

ちなみに童貞についてはもっと色々書くことがあるんだけれども、このオシャレなサイトではあまりにもエグくて書くことは出来ない。またいつかどこかで。

この記事のライター

倉田 真琴
倉田 真琴
メタル音楽全般と萌えアニメが大好物なライター兼編集者兼カメラマン。主なメタル仕事は伊藤政則著『目撃証言』1&2編集協力、OUTRAGE『XXX BOX』ブックレット編集など。

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