満員のスタジアムを納得させるアーティスト力 マキシマム ザ ホルモン『SUMMER SONIC2019 DAY.2』

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マキシマム ザ ホルモン『SUMMER SONIC2019 DAY.2』2019年8月17日(土)@ZOZOマリンスタジアム/MARINE STAGE
マキシマム ザ ホルモンのライブは地元に近い熊谷他で単独公演を観ているし、フェスティバルでも観ているのだが、この『SUMMER SONIC』ほど彼らの人気がライトからコアなファンまで浸透していると感じたことはなかった。
真夏の太陽が容赦なく照り付ける中、メッセ会場からZOZOマリンスタジアムへの大行列に驚いた。期待感に溢れているファンの顔、終演後に大満足したと興奮していた汗まみれの若者たち、それらを忘れることはできない。

歌詞はコミカル調であるが演奏はソリッドかつタイトで、何よりスタジアムを埋め尽くしたオーディエンスを納得させるアーティスト・パワーが凄まじい。国産ラウド系でここまで一般に認知されて説得力のあるバンドがどれだけいるだろうか?
私個人の感想ではあるが、「コアなヘヴィ・メタル・ファン」からの評価は低いのではないか。マリンスタジアムを埋め尽くした人々が皆一斉に大きく体を前後に揺らしヘッドバンギングを楽しんでいる姿を見て、「もしも」のマキシマム ザ ホルモン世界を色々と想像していたりもした。
ライブ終了後に10代と思えるファンが「本当にカッコよかった!あんな風になりたいな」と興奮気味に話している姿を見て、私がヘヴィ・メタルを聴き始めた頃にいつも感じていたアツい思いが鮮明にフラッシュバックもしてきた。80年代、90年代と様々なヒーローがいたとしたら、現代のヒーローはマキシマム ザ ホルモンなのかもしれない。
もし今後機会が与えられるなら、マキシマム ザ ホルモンについて取材したい気持ちは強いし、色々な話をメンバーから訊いてみたいとも思う。

以下、サマソニからの現場レポート。

台風が完全に去りピーカン照りで真夏のギラギラした太陽が照りつけるZOZOマリンスタジアム。続々と人が集まってくる様子に次に登場するアクトの人気をひしひしと感じた。
まもなく開始するマキシマム ザ ホルモンのステージを目指しての民族大移動が始まっていた。

ファンにはお馴染みのSEであるSPACE COMBINEの“Marchin' Mint Flavors”に乗せてメンバーがステージに登場する。
ダイスケはん<vo>の曲名シャウトから“恋のメガラバ”が始まると、内野席を埋め尽くしたファンによる縦ノリポップなリズムに乗せたモンキー・ダンスが繰り広げられた。ダイスケはんも一緒になって踊りまくっている。ヘヴィなパートでは、体を大きく前後に揺らしてのヘッドバンギング。そんな会場の一体感は凄まじく、その光景は圧巻としか言えない。ダイスケはんは、そんな光景を見ながら「津田製麺所」と書かれたお立ち台に乗って腰を振り振り踊るのだった。

大歓声の中、ナヲ<ds,vo>がご機嫌なシャウトを上げ、「ヤバイ、SUMMER SONIC!」と叫び「台風一過のこの暑さの中、こんなに集まって基本的には運動禁止のはずで」と笑いを誘う。
スタジアムに集まった観客に「無理はしないで」と心配しつつ、「君たちの無茶が見たい!」と言えば、「上等だ」とばかりに、大歓声がステージに向けて押し返す。
ラストまで生きて帰るには音楽のパワーが必要だ、と“maximum the hormone II~これからの麺カタコッテリの話をしよう~”の強烈なグルーヴがメンバーと観衆の体をさらに大きく揺らしていく。途中ナヲが前に出てキュートに歌う場面では「かわいい」なんて声も飛び交う。

マキシマムザ亮君<g,vo>は目をむき出しにしながらギターの弦を掻きむしり、上半身裸の上ちゃん<b>は汗を光らせながら野太いビートを弾き出す。

続く“「F」”のアグレッションがさらなる興奮を誘い、ヘッドバンギングにクラウドサーフィンと、盛り上がり方も半端ない。隣同士で肩を組んで大きく輪になる“花いちもんめモッシュ”も発生していた。曲名の由来にもなっているアニメ「ドラゴンボール」フリーザのセリフが飛び出した後には、メタリックな亮君のギター・ソロがさらにヘッドバンギングを激しく誘発させる。
ダイスケはんが言いたいことも言えない、と前振りしてから、胸の内全てを暴露することにしましたと言うとスクリーンには『M 隠すべき人がいて』と、最近自伝小説を出版したばかりの浜崎あゆみをネタにした映像が大写しとなり、場内に爆笑が渦巻く。
「ロックンロールで燃え尽きるぜ!」と“Gold~en~Guy”。縦ノリのリズムがファンをまたしても大きく揺らし、高速パートに突入すれば、いくつものモッシュピットの渦が次第に広がり、内野席にも発生。高速ナンバーの“包丁・ハサミ・カッター・ナイフ・ドス・キリ”では、さらに多くの人間がステージに向かって波の上を転がっていく。各地で発生したモッシュピットの渦も激しさを増し、高速へと変化する。
亮君と上ちゃんの弦楽器隊はステージ狭しと駆け回り、スクリーンには楽しそうな顔で激しいドラミングのナヲが大写し。両手を振り上げて煽るダイスケはんに合わせウォール・オブ・デスで観衆が体をぶつけ合う。

ナオが「SUMMER SONIC、生きてますか?」と叫べば、「まだまだ来いよ!」とばかりに、大きな歓声がステージに飛んでいく。そんな反応に、少し嬉しそうに「元気やね」とダイスケはんが返す。

この日のトリであるRED HOT CHILI PEPPERSと矢沢永吉までもをイジリ倒し、最後にファンだけでなくスタッフも巻き込んで「麺かたコッテリ!!」を反るバージョンで決行してからのディスコ調“恋のスペルマ”。フロアはヘッドバンギング、モッシュ、ひげダンスと激しく楽しく盛り上がり、コーラスでは「スペルマ」とスタジアム一体となって大合唱で締め括るという圧巻のステージ。

エンディングSEの“ロッキンポ殺し”が鳴る中、ファンは汗をだらだら流しながらも満面の笑みでステージを去るメンバーを見送った。

後から耳にした話ではトラブルによって“予襲復讐2~サマーソニック20周年スペシャル Ver.”を削られていたようで残念であったが、それでも大満足のステージだった。これほどヘヴィな音楽によって、多くのファンを獲得しているマキシマム ザ ホルモン。彼らの懐刀を見た気がした。


マキシマム ザ ホルモン◆SETLIST
01. 恋のメガラバ
02. maximum the hormone II~これからの麺カタコッテリの話をしよう~
03. 「F」
04. G'old~en~Guy
05. 包丁・ハサミ・カッター・ナイフ・ドス・キリ
06. 恋のスペルマ

この記事のキュレーター

別府 “Veppy” 伸朗
別府 “Veppy” 伸朗
新一万円札の顔となる渋沢栄一の生まれ故郷「深谷市」在住の兼業音楽ライター。メタルのレコードとシャツに囲まれての田舎暮らしですが、ノホホンとは出来ず残念!ベルボトムLOVEですが、サイズが…。

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