ジャパニーズ・クロスオーヴァー界の先駆者、ROSEROSEの35周年記念アルバム『YOUR IGNORANCE IS OUR DEATH』について思うこと。

みんなのレビュー
2019年の今年、ジャパニーズ・クロスオーヴァー・シーンの先駆者ROSEOROSEが結成35周年を迎える。ドラマーのE-gaya加入10周年も記念するアニバーサリー・アルバムが完成した。

ROSEROSEが35周年を迎えるという。
正確にはバンドは1983年12月に結成されているから、バンドとしてのキャリアはもっと長いわけだが、とにかくメデタイ話だ。

キャリア35年という事実にあらためて驚いた。
彼らはこの長い歴史のなかで、何度もメンバーが入れ替わり、音楽性も微妙に変化してきた。時期によって人数も違っていたりするし、音源のリリースも多いので、こまめに現場に足を運び続けていないと、なかなか全体像が把握し難いバンドである。
現在のメンバーはhiRo<Ba&Vo>、E-GAYA<Dr>、TAKEONG<G>の3人。この編成になってから3年が経過している。
 (12260)

彼らは日本のクロスオーヴァー・シーンを切り拓き、日本におけるスケート・ロックの元祖とも言われており、ジャパニーズ・ハードコアやスラッシュ・メタル、どちらの世界でも重鎮とも呼ばれているのだが、35年経った今もレジェンド的な威圧感などがまったくない。例えばANTHRAXのようなバンドに対してよく表現される“ストリート感覚”というものが、このバンドの根底にあるからだろう。要するにいつも身近な存在ということ。
それは創設メンバーのhiRo<Vo&B>のキャラクターによるところが大きいと感じた。

先日、hiRo氏に面会を申し込んだところ、快く承諾してくれた。僕はステージ上の彼しか知らないので、一度会って話を訊いてみたかったのだ。
35年以上バンドを牽引し続けてきた人物であるけれども、初対面の印象は、まったく気取ったところのない、お洒落で格好良いお兄さんだった。語り口が軽妙なのでずっと喋っていたくなるタイプの人だ。

彼が最初に憧れたバンドについて訊いてみた。
「小学生の頃はKISSばかり聴いていましたね。あとはフィンガー5やベイ・シティ・ローラーズとか子供が聴く音楽です。ハードロックはKISSだけ。その後はDEEP PURPLEとか高中正義のアルバムを聴いて、ギターをコピーしたりしていました」とhiRoは語ってくれた。
中学3年生になって初めてバンドを結成すると、いきなりオリジナルのパンクロック曲を演奏し始めた。
「たまたま皆と同じことをやりたくない奴らが周りにいたんです」

ライブハウスに出演し始めたのは、1980年代初頭。東京出身の彼はフォーク世代の残り香が漂う高円寺へと向かった。
「『Red House』っていう飲み屋があって、座敷とカウンターでお客さんが酒を飲みながら観るっていう、今で言うパブみたいなスタイルの店でした。そこで演奏していました。レゲエのお兄さんがノリノリになるという。高円寺ってそんな街だったんですよ」
バンドはその後、渋谷のラ・ママや新宿のJAMへと活動の場を移していく。
“当時はUK PUNKをベースにアップビートアレンジした楽曲が多くキャッチーなイメージが強かった”と、バンドのウェブサイトに記されている。

「当時、原宿のホコ天でやっていた『ロードサイドロッカーズ』というイベントによく通っていました。他には竹の子族やロックンローラー達が踊っていました」
これは1984、5年頃の、バンドブームが起こる以前の出来事だった。
原宿のパンクショップなどにたむろしているうちに、メンバーが集まった。1985年にLINE RECORDSよりソノシート“BLEED FOR YOU”がリリースされる。

ちょうどこの頃、hiRoは高円寺のレコードショップ『BOY』で働いていたという。
「海外からカット盤が送られて来るんです。聴いて、気に入ったらオーダーしてくれと。確かANTHRAXはテープが届いて、かなり早い段階で聴けましたね」
80年代半ばにレコードショップで、しかもかなり先鋭的な店で働いていたということが、彼の音楽に大きな影響を与えたことは間違いない。

誰よりも早く刺激的な音を耳にしていた彼はよりハードに、ファストな音に惹かれていくことになる。
1986年にDOGMA RECORDSよりリリースされた12inchシングル「EMOTIONAL DISTURBANCE」は存分に時代の音楽が反映されており、ハードコアとスラッシュが見事にクロスオーヴァーされている。
「“VENOMみたいだ”と言われたんだけど、自分はVENOM全然聴いたことなくて、聴いてみたらそんなに近いと思わなかったけどカッコよかった(笑)」

やがて、このバンドの重要な要素であるスケートボード文化も混ざり合い、ROSEROSEは独自に進化、唯一無二の存在となっていく。
しかしその結果、パンク側からは“メタルじゃねーか”と言われてしまい、メタル・シーンでは異端児、キワモノとして扱われてしまう。
hiRo曰く「メタルでもなんでもいいじゃねーか」であるのだが。
 (12267)

多くのメタルヘッズがROSEROSEの名前を知ったのは、1987年3月にリリースされた『SKULL THRASH ZONE Vol.1』だろう。他にDOOM、SHELLSHOCK、X、JURASSIC JADE、GROUND ZEROが参加したオムニバス。
この頃、神楽坂のライブハウス、EXPLOSIONでも働いていた彼は数多くのステージを生で体験していく。
「“メタルすげえ!”と思いました。とにかく演奏が上手くて、“こうならなきゃダメじゃん!”って色んな人に言いました」
この後、バンドはさらなる進化を果たしながら続き、35年が経とうとしている。

ところで、今東京にシーンがあるのかどうか知らないけれども、最近スケートボードをやっている若い子達は何を聴きながら滑っているんだろうか。
そもそも日本のスケボー人口は現在どのくらいいるのか。
かつてSLAYERみたいな音楽をBGMに滑るのがカッコいい時代があったのだが、今はどうなっているんだろう。
ヒップホップが主流となっているのか、もしくはメロコアか。まあそれもいいだろう。

ROSEROSEの最新作をいち早く聴かせてもらったのだが、やはりスケーターはこういう音楽を聴くべきだと感じた。ちなみに、hiRo氏は最初はハードコアを聴きながら滑っていたのだが、曲が長いからたくさん滑れるという単純な理由でMETALLICAに変えたという。

ROSEROSEはスラッシュ、デス、ハードコアがミックスされた攻撃的なロックバンドだ。このスタイルで、ほぼ変わることなく続けて来たけれども、それでも多少変化はあったと思う。
ここ数年のROSEROSEは調子がいいというか、そもそも調子悪い時があったのかどうか疑問だが、とくに調子がよさそうだ。
とくに元URBAN TERROR/HATERのE-GAYA加入後の安定感は素晴らしく気持ちがいい。
TAKEONGのスラッシーなギターも含め、3人の色がより濃く表面に浮き出した楽曲は、どれも馬鹿馬鹿しいほどに疾走している。
やはりこの馬鹿馬鹿しさは痛快であった。馬鹿馬鹿しい音楽には愛や哲学がある。
そして、馬鹿馬鹿しい音楽に自分自身がどれほど救われたことか。
そんなことをあらためて思い出させてくれたアルバムである。

スピードチューンである1曲目、2曲目の強烈なインパクトに圧倒されたかと思えば、7曲目や8曲目におけるオールドスクール・スラッシュ的な展開に新鮮な魅力を感じた。

アルバムのタイトルは“オマエの無知は死に値する”という意味だろう。
とにかく知らないのはもったいない。35年も続いているこの奇跡のバンドを知らないでは済まされない。
こんなバンドが東京に存在するということをもっと多くの人に知ってほしいと強烈に願う次第である。

なお、指定された店舗で購入すると、特典としてカバー曲が3曲収録されたCD-Rが付属するのだが、これがまたヤバい作りであった。D.R.I.、Attitude Adjustmentというクロスオーヴァー界の2大バンドと、“盟友”JURASSIC JADEという実に彼ららしいバンドがセレクトされている。
ROSEROSE / YOUR IGNORANCE I...

ROSEROSE / YOUR IGNORANCE IS OUR DEATH

発売日:2019年5月1日
レーベル:B.T.H. RECORDS
品番:BTH65

◆収録曲
01. Survivor of dead
02. Black Hole
03. Evils send to hell
04. Murdered realism
05. Getting lies and screaming cheat
06. Dominates
07. Crucified
08. Slave
09. Money game
10. All conflict is heading for risk
11. Just like justice
12. World wide nightmare service
13. Evil's consume
 (12264)

※特典CD-Rが付くSHOPはこちら。
◎高円寺・RECORD BOY
recordboy.shop-pro.jp/?pid=141785889
◎梅田・ROCK STAKK
rockstakk.shop-pro.jp/?pid=142030459
◎難波・S.A.MUSIC
bit.ly/2UQhpvo
◎ディスクユニオン
https://diskunion.net/punk/ct/detail/1007865366

ROSEROSE/Black Hole【Music Video】