アニソン×メタルを探せ! vol.1

アニソン×メタルを探せ!
倉田真琴 メタル音楽全般と萌えアニメが大好物。主なメタル仕事は伊藤政則著『目撃証言』1&2編集協力、OUTRAGE『XXX BOX』ブックレット編集など。

LAZYやJAM Projectでお馴染みのシンガー、影山ヒロノブ氏の著書『ゴールをぶっ壊せ 夢の向こう側までたどり着く技術』(中公新書ラクレ刊)にこのような記述がある。

“俺たちの歌う主題歌は「まんがの歌」と呼ばれ、どんなにヒットしても、歌謡曲やニューミュージックより一段も二段も下に見られていました”、と。

たしかにそんな時代もあったが、その感覚はもはや遠い昔のこと。
今ではアニソンは国内のヒットチャート上位に当たり前のようにランクインしており、多くの歌手が海外で公演を行い、毎年夏に開催される日本最大級のライヴイベント『Animelo Summer Live』は3日間で約8万人を動員している。それに国民的歌番組『NHK紅白歌合戦』ではアニソン枠が毎年必ず設けられている。アニソンが日本を代表する文化のひとつになったということは、紛れもない事実だ。

そんなアニソンを日常的に嗜んでいる筆者によるコラム連載、第一回。最初なので当コラムの説明から始めさせていただきたい。
まずアニソンの定義を記しておこう。

“アニソンとは、アニメや特撮の番組のために制作された歌のこと”。

簡単なことだ。ちなみに、筆者はメタルとアニソンを好んで聴いている40代。オッサンの密かな趣味はアニソンのOP、ED、挿入歌、キャラソン、劇伴の中から、ヘヴィメタルっぽい曲を探し出すことである。
アニソンの中にはメタル系アーティストが楽曲提供していたり、作者や演奏者がメタル系アーティストだったりすることが多数あるのだが、メタルとして扱われない場合もあったりするし、昨今は深夜アニメ作品が多数作られており、すべてをチェックするのはなかなか難しかったりする。

それでも“探す”という作業がたいへん楽しい。アニソン歌手、声優アーティストのオリジナル楽曲の中からメタル度の高い楽曲を探し出す作業もまた面白いので、並行して続けていたりもする。

当コラムでは僕がここ10年くらいかけて発見した、アニソンの中の隠れたメタル曲にスポットを当てていきたいと思う。ヘヴィ・メタルとアニメは相性が良いので、これまでメタルっぽい楽曲が数多く作られてきた。なぜ相性が良いのか、ここでその辺のことを論じるつもりはないのだが、簡単に言うと、“中二病的感性が近い”のだと思っているのだが。
そんなわけで、一発目は特撮ソングから。

先日、目黒鹿鳴館で山水館のライヴが開催されたのだが、残念ながら僕は観に行くことが出来なかった。なんということだろうか。伝説のバンドで、しかも東京初となるライヴだった。そもそも、そんな重要なギグがあるということすら知らなかったのだ。もっと宣伝してほしかった……なんて文句を垂れつつ、つくづく“ボーッと生きてちゃいかんなー”と反省している。

山水館といえば、後にプログレッシヴ・ロックバンドNOVELAに参加する高橋ヨシロウ<B>と山根基嗣<G>が在籍していたことで知られる関西のバンドだ。そして“元祖ハード・プログレ・バンド”とも呼ばれているNOVELAのデビューシングル「マジカル・アクション!!/アイム・ダンディ」が1980年4月に発表される。これは円谷プロダクション製作の特撮番組『ぼくら野球探偵団』OP&ED主題歌だった。この曲は元々、山水館のレパートリーであり、後に高橋を中心に結成されるACTION!の1stミニアルバム『ACTION! KIT 1』(1984年)収録曲「Action! 100,000VOLT」として発展し、80年代中期のジャパメタ・ブームを彩った重要な楽曲となる。

オープニング主題歌「マジカル・アクション!!」及びエンディング主題歌「アイム・ダンディ」は、国内のアニソンとしては初めてハードロックバンドの楽曲が使用された例である。これ以前にスレイドやスウィート的グラムサウンドによるハードなロックンロール・ナンバー『スーパーロボット マッハバロン』主題歌「マッハバロン」(1974年)もあるのだが、僕の提唱するアニソン×メタルの流れからはやや外れると感じる。
この時期のNOVELA楽曲は、RAINBOWやTHIN LIZZYといった70年代ハードロックからの影響が濃厚な作風だ。後のACTION!やアン・ルイスの仕事で開花する、高橋のロックに日本語を乗せキャッチーにまとめ上げるポップなバランス感覚は、この時点で十分に発揮されていると思う。

それほどヒットはせず、NOVELAのシングルは激レア盤となっているし、後にCD化された彼らのコレクターズ・アイテム集『シークレットテイクス』ですら入手困難な状況なのだが、機会があれば是非聴いていただきたい。ちなみに、ACTION!のCDも現在はどれも廃盤で入手し難い。この状況、なんとかならんかね。

それにしても山水館、観たかった…。
NOVELA『SECRET TAKES』

NOVELA『SECRET TAKES』

1993年8月、キングレコードよりリリースされたレアトラックス集。「マジカル・アクション!!/アイムダンディ」EPジャケが小さく写り込んでいる。
 (8793)

当時キングレコードからリリースされていたコンピレーション・アルバム。NOVELAの「マジカル・アクション!!」、「アイムダンディ」どちらも収録されている。中古盤店はマメにチェックした方がいいね。