ジャンルを標榜しないというコンセプト HETHのデビューEPが公開

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ひとことではタグ付けが不可能なバンドが誕生した。
ただしっちゃかめっちゃかに奇をてらったことをしていればプログレッシブだとかアヴァンギャルドだとかいう形骸化した言葉で片付けることが出来るのだが、彼らはそうした類の音楽はやっていない。
絶妙な加減でジャンルを横断しているのだ、このEP一枚の小さな世界の中で。

まず注目すべきはなんと言ってもオープニング・ナンバーの‟The Gades”だろう。
このインストゥルメンタル・トラックをプロデュースしたのは今大注目のHIPHOPクルー、舐達麻のメンバーNaiChopLawだ。しかし彼のドープかつアブストラクトとフィジカルを行き来するようなトラックの後に待ち受けているのはヘヴィなバンド・サウンド。

‟The Gades”はもちろんヘヴィ・ミュージックの範疇では(一般的に考えて)ないし、EPに収録された残りの6曲にHIPHOPの要素は表出しない。だが、このトラックリスト上で確かに融和している。突飛なようでいて、必然性がなければ実現し得ないコラボレーションが異彩を放つ。

2曲目の‟Rain Song”からはそのどれもがハードコア~デスメタル~グラインドを僅か1分前後でつないでしまうキメラ的な音楽性を持っている。単純なグラデーションではなく、各ジャンルのエッセンスがサンプリングされたようなサウンド。そしてサウンドのみではなく、ヴォーカル・スタイルまでが上記のジャンルのミックスで成り立っている。シャウトからスクイールまで用いて、節操のないアジテートを仕掛ける。

その凝縮されたパワーの源は得体が知れない。濃密でありながら、決して感情任せのパワー・プレイではなく、理知的に纏め上げられている印象も同時に持つ。思えば得体の知れないのは先に言及した1曲目からしてそうだったではないか。かくして我々はドライな質感を持つようでいて深淵な彼らの音楽性に溺れていく。

また、もう一つ注目すべきは総ての歌詞が日本語で書かれている、ということ。
内容は端的に言えば文学的で、優れた抽象性を持つ。一見するとインディー・ロックのような印象さえ受けるのだ。
詞の一部は聞き取れるように歌われているが、殆どは自力では解析不能なのでぜひ12月22日のdues新宿から販売される音源にて確認して欲しい。また、12月20日よりこのEPはBandcampで販売開始され、各種サブスクリプション・サービスにおいても解禁予定だ。

彼らは何処から来て、何処へ行くのか。そのサウンドの底に沈殿している見えないエッセンスを攫いきれていない。
次なる音源で施されるのは足し算か引き算か、早くも興味深く待つ自分がいる。
 (21028)

HETH 「The Garden」

Gt/Vo Norio Kato
Ba Tatsunobu Sakuraoka
Ds Tomohiro Sekino

The Gades prod. by NaiChopLaw(舐達麻)
Artwork by Glenno

ライブ予定

 (21055)

12/22(sun) 新宿Dues

HETH
SLIDE
BLOW YOUR BRAINS OUT
nervous light of sunday
DJ  GOD168


open/start 19:00/19:30
Entrance Free(要ドリンク代¥600)

この記事のライター

清家 咲乃
清家 咲乃
1996年生まれ。BURRN!編集部を経てフリーランスのライター/編集に。音楽に呪われています。 Twitter:@mawatamusick https://twitter.com/mawatamusick

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